【1】書式概要
中小企業退職金共済制度対応
退職金規程 Word雛形
この退職金規程は、中小企業退職金共済制度(中退共)を利用して従業員の退職金制度を整備したい企業様向けの実用的なテンプレートです。改正労働基準法にも対応しており、すぐにでも自社の制度として活用していただけます。
中退共制度は国が運営する退職金共済制度で、特に中小企業にとって従業員の退職金を効率的に管理できる優れた仕組みです。しかし、この制度を導入する際には、自社独自の退職金規程を策定する必要があります。多くの経営者様や人事担当者様が「どのような内容にすれば良いのか」「どんな条項が必要なのか」といった疑問を抱えていらっしゃいます。
本雛形では、役職別の掛金設定から退職金の支給方法、懲戒解雇時の取扱いまで、実際の運用で必要となる全ての項目を網羅しています。特に注意が必要な懲戒解雇時の退職金減額手続きや、退職金の返還規定についても詳細に定めており、トラブル防止に役立ちます。
Word形式での提供となりますので、貴社の実情に合わせて掛金額や適用範囲などを自由に編集・カスタマイズが可能です。人事制度の見直しを検討されている企業様、新たに退職金制度を導入される企業様、既存の規程を最新の法改正に対応させたい企業様に最適な内容となっています。
労務管理の専門知識がなくても安心してお使いいただけるよう、実務で起こりがちなケースを想定した条文構成になっています。従業員100名以下の中小企業様で特にご活用いただいており、人事担当者様からは「導入がスムーズに進んだ」「運用上の疑問点が事前に解決できた」といったお声をいただいています。
【2】逐条解説
第1条(退職金)の解説
この条項は退職金制度の基本原則を定めています。従業員が自己都合で退職する場合も会社都合で解雇される場合も、等しく退職金支給の対象となることを明確にしています。第2項では、中退共制度を通じて退職金を支給することを規定しており、会社が直接現金で支払うのではなく、共済機構から支給される仕組みであることを示しています。これにより、会社の資金繰りに影響を与えることなく安定した退職金制度を運営できます。
第2条(適用範囲)の解説
退職金制度の適用対象者を明確に定めた条項です。正社員には原則として適用されますが、パートタイマーや定年後の嘱託社員は対象外としています。これは中退共制度の性質上、長期継続雇用を前提とした制度設計になっているためです。例えば、週3日勤務のパートタイマーの方や、定年退職後に再雇用された嘱託の方などは対象外となります。ただし、会社の方針によってはパートタイマーも対象に含めることも可能で、その場合は条文を修正する必要があります。
第3条(退職金共済契約)の解説
中退共制度への加入タイミングを定めています。新入社員については試用期間終了後、さらに1年間の勤務実績を経た翌月からの加入としています。これは試用期間中や入社直後の早期退職リスクを考慮した実務的な判断です。例えば、4月1日に入社し3か月の試用期間を経て7月1日に本採用となった従業員の場合、翌年の8月から中退共契約が開始されることになります。この期間設定により、会社にとって無駄な掛金負担を避けることができます。
第4条(掛金月額)の解説
役職に応じた掛金設定を定めています。部長から一般社員まで5段階の役職区分を設け、それぞれ異なる掛金額を設定できるようになっています。毎年4月の掛金調整は、昇進や会社の業績に応じて掛金額を見直すためのものです。実際の運用では、一般社員は5,000円から10,000円程度、管理職は15,000円から30,000円程度の掛金設定をする企業が多く見られます。中退共制度では掛金の上限額が設けられているため、それを超えない範囲での設定が必要です。
第5条(退職金の額)の解説
退職金の計算方法を明確にしています。掛金月額と納付月数に基づいて、中退共制度の基準に従って退職金額が決定されます。第2項では懲戒解雇時の特別な取扱いを定めており、会社が中退共本部に減額申請できることを規定しています。例えば、横領や重大な背任行為で懲戒解雇となった従業員については、通常の退職金額から一定割合を減額することが可能です。ただし、この減額申請は会社の任意であり、必ず行わなければならないものではありません。
第6条(退職金共済手帳の交付)の解説
退職時の手続きに関する条項です。退職金の受給には退職金共済手帳が必要となるため、退職者本人(死亡時は遺族)に対して遅滞なく交付することを義務付けています。この手帳が退職金請求の際の重要な書類となるため、紛失しないよう注意深く取り扱う必要があります。実務上は、退職手続きの際に人事担当者が直接手渡しするか、確実に本人に届く方法で送付することが大切です。
第7条(退職金の支給)の解説
実際の退職金支給手続きを定めています。会社が直接支払うのではなく、中退共本部から退職者本人に支給される仕組みを明確にしています。第2項の「勤続年数が2年未満の者については退職金を支給しない」という規定は、短期間での離職に対する抑制効果も期待できます。例えば、入社から1年11か月で退職した場合は退職金は支給されませんが、2年1か月で退職した場合は支給対象となります。
第8条(退職金の減額又は返還)の解説
懲戒処分に関する退職金の特別な取扱いを定めた重要な条項です。懲戒解雇や懲戒解雇相当の事由がある場合の減額申請について規定しています。第2項では、会社が減額申請をしなかった場合や、退職後に懲戒解雇相当の事実が判明した場合の返還請求権を定めています。例えば、自己都合退職後に在職中の横領が発覚した場合、すでに支給された退職金の返還を求めることができます。第3項でこの返還義務を明確にすることで、不正行為への抑制効果を高めています。
第9条(規程の改廃)の解説
規程の柔軟性を確保するための条項です。法改正や会社の経営状況の変化に応じて規程を見直せることを定めています。労働基準法の改正や中退共制度の変更があった場合、また会社の業績悪化により掛金額の見直しが必要になった場合などに、この条項に基づいて規程を改定することができます。ただし、労働条件の不利益変更になる場合は、従業員の同意や十分な説明が必要となることに注意が必要です。
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