【1】書式概要
本「外国人採用規程」は、グローバル化が進む現代の企業ニーズに応える雛型です。
本規程は、外国人労働者の採用から退職までの全過程をカバーし、公正かつ適切な雇用管理を実現するためのガイドラインとなります。
採用方針、雇用契約、労働条件、教育訓練、キャリア開発支援、安全衛生、コミュニケーション促進など、外国人雇用に関する重要な側面を網羅しています。
特に、在留資格の管理や文化的配慮、ハラスメント防止といった外国人雇用特有の課題にも対応しており、企業の法令遵守と外国人労働者の権利保護の両立を図ります。
適宜ご編集の上でご利用いただければと存じます。
〔条文タイトル〕
第1条 (目的)
第2条 (定義)
第3条 (適用範囲)
第4条 (採用方針)
第5条 (採用手続)
第6条 (内定及び採用取消)
第7条 (雇用契約)
第8条 (賃金)
第9条 (労働時間及び休日)
第10条 (休暇)
第11条 (社会保険)
第12条 (人事評価)
第13条 (異動・配置転換)
第14条 (在留資格の管理)
第15条 (教育訓練)
第16条 (キャリア開発支援)
第17条 (安全衛生教育)
第18条 (健康診断)
第19条 (住宅支援)
第20条 (コミュニケーション促進)
第21条 (相談窓口)
第22条 (ハラスメントの防止)
第23条 (退職)
第24条 (解雇)
第25条 (帰国支援)
第26条 (改廃)
第27条 (準用)
【2】逐条解説
第1条 (目的)
この規程は、会社における外国人労働者の採用や雇用管理について定め、適切な雇用管理を行うとともに、外国人労働者の権利を保護し、働きやすい環境を整備することを目的としています。基本的な理念として、外国人労働者の権利保護と働きやすい環境整備が明確に示されています。
第2条 (定義)
本規程で使用される重要な用語の定義を示しています:
「外国人労働者」:日本国籍を持たない従業員
「技能実習生」:技能実習の在留資格を持つ者
「高度専門職」:高度専門職の在留資格を持つ者
これらの定義により、適用範囲が明確になっています。
第3条 (適用範囲)
この規程は会社に雇用されるすべての外国人労働者に適用されますが、別途定めがある場合はその定めが優先されます。包括的な適用を基本としつつも、特別なケースへの対応も可能な柔軟性を持たせています。
第4条 (採用方針)
採用における基本方針を定めています:
国籍に関わらず、能力・資質・経験に基づく公平な評価
在留資格の確認による合法的な就労の確保
外国人労働者が能力を発揮できる職場環境の整備
差別のない採用と適法性の確保、そして能力発揮のための環境整備という3つの柱が示されています。
第5条 (採用手続)
採用時の具体的な手続きについて規定しています:
提出書類(履歴書、職務経歴書、在留カードなど)
面接の言語(原則日本語、必要に応じて英語)
試験の実施(必要に応じて実技試験または筆記試験)
採用プロセスの透明性を確保し、適切な人材選考を行うための手続きを定めています。
第6条 (内定及び採用取消)
採用内定とその取消条件について定めています:
内定通知書の交付
内定取消の条件(在留資格が得られない場合、健康上の問題、虚偽申告など)
採用内定の法的位置づけを明確にし、取消の条件を限定することで公正さを担保しています。
第7条 (雇用契約)
雇用契約の形態と契約書作成について規定しています:
原則として無期雇用(特定の条件下では有期雇用も可)
契約書は日本語版と母国語または英語版の2種類を作成
外国人労働者の理解を促進するため、母国語または英語での契約書提供を義務付けている点が特徴的です。
第8条 (賃金)
賃金に関する基本原則を定めています:
日本人従業員と同等の基準での賃金決定
詳細は別途定める給与規程による
昇給・賞与は会社業績と個人の勤務成績を考慮
同一労働同一賃金の原則に則り、国籍による差別を禁止しています。
第9条 (労働時間及び休日)
労働時間と休日は労働基準法および会社の就業規則に準拠することを定めています。外国人労働者に対しても日本の労働法令を遵守することを明確にしています。
第10条 (休暇)
休暇制度について規定しています:
年次有給休暇は労働基準法に基づき付与
母国の慶弔等に配慮した特別休暇の取得可能性
文化的背景の違いに配慮し、特別休暇の取得を認めている点が特徴的です。
第11条 (社会保険)
外国人労働者も日本の社会保険制度(健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険)に加入することを規定しています。社会保障面での平等な取り扱いを保証しています。
第12条 (人事評価)
評価制度について定めています:
日本人従業員と同一基準での評価実施
評価結果の昇進・昇格等への活用
評価における公平性を確保するための規定です。
第13条 (異動・配置転換)
業務上の必要に応じた異動・配置転換について規定していますが、在留資格に基づく活動範囲を逸脱しないよう配慮する点を明記しています。法的制約への配慮を示しています。
第14条 (在留資格の管理)
在留資格の管理について詳細に規定しています:
人事部門による在留資格・期間の管理と更新手続き支援
従業員の変更・更新報告義務
更新不可・期間満了時の雇用契約終了
法的要件遵守のための責任分担を明確にしています。
第15条 (教育訓練)
外国人労働者への教育訓練について規定しています:
実施する教育訓練の種類(入社時研修、技能訓練、日本語教育など)
教育訓練の就業時間内実施と労働時間としての取り扱い
外国人労働者の特性に配慮した教育訓練を提供する姿勢を示しています。
第16条 (キャリア開発支援)
キャリア開発支援について定めています:
定期的な上司との面談機会の提供
社内公募制度やジョブローテーションの機会提供
外国人労働者のキャリア発展を支援する姿勢を示しています。
第17条 (安全衛生教育)
安全衛生教育の実施について規定し、必要に応じて母国語または英語での説明資料を用意することを明記しています。言語の壁を超えた安全確保への配慮を示しています。
第18条 (健康診断)
健康診断の実施と結果に基づく措置について定めています:
年1回の定期健康診断の実施
必要に応じた就業上の配慮措置
健康管理面での責任を明確にしています。
第19条 (住宅支援)
外国人労働者の住居確保のための支援(社宅提供や住宅手当支給)について規定しています。生活基盤の確保を支援する姿勢を示しています。
第20条 (コミュニケーション促進)
職場内のコミュニケーション促進策について定めています:
交流会や文化交流イベントの開催
必要に応じた通訳の手配
言語や文化の違いを乗り越えるための具体的な取り組みを示しています。
第21条 (相談窓口)
外国人労働者向けの相談窓口設置について規定しています:
人事部門内の相談窓口設置
プライバシーへの配慮と通訳の活用
問題の早期発見・解決のための体制整備を示しています。
第22条 (ハラスメントの防止)
ハラスメント防止について定めています:
国籍・人種・民族等に基づくハラスメントを含む防止措置
相談窓口の設置
差別やハラスメントの防止に対する会社の姿勢を明確にしています。
第23条 (退職)
退職事由について規定しています:
本人の申し出と会社の承認
定年到達
有期雇用の期間満了
在留期間満了・在留資格取消
死亡
外国人労働者特有の事由として在留期間満了・資格取消を明記しています。
第24条 (解雇)
解雇事由について定めています:
健康上の理由
勤務成績・業務能率の不良
事業縮小等の会社都合
その他やむを得ない事由
解雇は限定的な条件下でのみ可能とし、不当解雇を防止する姿勢を示しています。
第25条 (帰国支援)
退職・解雇時の帰国支援について規定しています。外国人労働者の円滑な帰国をサポートする姿勢を示しています。
第26条 (改廃)
規程の改廃は取締役会の決議によることを定めています。規程変更の手続きを明確にしています。
第27条 (準用)
本規程に定めのない事項は労働関係法令や会社の就業規則に準拠することを規定しています。法令遵守の姿勢を示しています。
附則
規程の施行日を定めています。
この規程全体を通じて、外国人労働者の権利保護、差別の禁止、文化的・言語的配慮、法令遵守といった理念が一貫して示されており、企業の社会的責任を果たすための包括的な枠組みとなっています。