第1条(目的)
この条文では規程全体の適用範囲を明確にしています。営業社員の賞与支給について統一的な基準を設けることで、公平性を確保しています。特に重要なのは、営業部門の役職者は対象外とする点です。これは管理職には別途管理職手当や役職給があることを前提としており、一般営業職員の成果を適切に評価する制度として機能します。例えば、営業課長や営業部長は対象外となり、営業担当者や営業主任クラスが対象となるケースが一般的です。
第2条(支給時期)
賞与の支給タイミングを年2回、夏と冬のボーナス時期に合わせて設定しています。6月と12月という時期設定は、多くの企業の賞与支給時期と合致しており、従業員の家計管理の面でも合理的です。営業成果を半年ごとに評価することで、短期的なモチベーション維持と中長期的な目標達成のバランスを取っています。実際の運用では、6月支給分で前年秋から春にかけての成果を、12月支給分で春から秋にかけての成果を評価することになります。
第3条(算定期間)
賞与計算の対象となる期間を具体的に定めています。夏季賞与が前年10月21日から当年4月20日まで、年末賞与が当年4月21日から10月20日までとすることで、1年を通じて重複や空白期間なく評価対象期間をカバーしています。この設定により、営業担当者は常に評価期間を意識しながら業務に取り組むことができ、継続的な営業活動を促進します。例えば、3月に大型契約を獲得した場合は6月の夏季賞与に反映され、9月の成果は12月の年末賞与に反映されることになります。
第4条(支給額の算定)
最も核心となる賞与計算方法を定めています。販売契約額の3%という明確な率を設定することで、営業成果と報酬の関係を透明化しています。この方式では、例えば算定期間中に1,000万円の契約を獲得した営業担当者は30万円の賞与を受け取ることになります。売上高に直接連動する仕組みのため、営業スタッフにとって非常に分かりやすく、売上向上への強いインセンティブとして機能します。会社にとっても売上増加に比例して人件費が増える構造となり、収益性を保ちながら成果報酬を支払うことができます。
第5条(最低保証)
業績連動型賞与制度において重要な安全網の役割を果たしています。営業成果が低調だった期間でも、最低限として月給1か月分は保証される仕組みです。これにより、営業担当者の生活安定と心理的安心感を確保しています。例えば、月給25万円の営業担当者が算定期間中の成果により計算した賞与額が15万円だった場合、差額の10万円が特別支給として加算され、合計25万円の賞与を受け取ることができます。この制度により、市場環境の悪化や顧客都合による契約遅延などの外的要因による収入減少リスクを軽減できます。
第6条(支給対象者)
賞与支給の基本的な条件を定めています。算定期間中に実際に勤務していることと、支給日に在籍していることの両方を満たす必要があります。これは一般的な賞与制度の考え方と同様で、労働の対価としての性格を明確にしています。例えば、算定期間の途中で入社した従業員や、支給日前に退職した従業員への取り扱いを明確化することで、人事管理上のトラブルを防止します。中途入社者については在籍期間に応じた按分計算、退職者については支給対象外とするのが一般的な運用となります。
第7条(異動者の取り扱い)
組織変更や人事異動があった場合の賞与計算について定めています。営業部門から他部門への異動や、営業担当者から管理職への昇進があった場合でも、営業部門在籍中の成果は適切に評価される仕組みです。例えば、算定期間の途中で営業部から総務部に異動になった従業員については、営業部在籍中の売上実績に基づいて賞与を計算します。また、営業担当者が営業課長に昇進した場合も同様の取り扱いとなり、昇進前の個人成果に対する正当な評価を受けることができます。
第8条(解約の場合の取り扱い)
契約解除リスクへの対応策を定めています。賞与支給後に販売契約がキャンセルになった場合、その分を次期賞与から差し引く仕組みです。これにより、一時的な契約獲得による賞与支給と、その後の契約解除による損失のバランスを取っています。例えば、6月に300万円の契約に基づいて9万円の賞与を受け取った後、8月にその契約が解除された場合、12月の賞与から9万円が差し引かれることになります。この制度により、営業担当者にはより確実性の高い契約獲得を促し、会社としても適切なリスク管理を行うことができます。