- 第1条(目的)
- 第2条(業務内容)
- 第3条(業務遂行)
- 第4条(報酬)
- 第5条(契約期間)
- 第6条(秘密保持)
- 第7条(個人情報の取扱い)
- 第8条(権利義務の譲渡禁止)
- 第9条(反社会的勢力の排除)
- 第10条(解除)
- 第11条(損害賠償)
- 第12条(協議事項)
- 第13条(準拠法及び管轄裁判所)
【3】逐条解説
第1条(目的)
この条文では契約全体の狙いを明記しています。専門家側が依頼者に対して不動産に関する助言やサポートを提供する関係であることをはっきりさせるものです。契約を結ぶ前に「何のための契約なのか」を双方で確認する意味があります。
第2条(業務内容)
具体的にどんなサービスを提供するのかを列挙した条文です。市場の分析レポート作成、投資戦略のアドバイス、物件の価値評価、税金や契約面での相談などが含まれています。たとえば「来月このエリアで物件を買おうと思うんだけど、適正価格かどうか見てほしい」といった依頼に応える内容ですね。最後の項目で「その他合意した事項」と書かれているので、状況に応じて柔軟に業務を追加できる余地も残されています。
第3条(業務遂行)
専門家側がどういう姿勢で仕事に取り組むべきかを定めています。「善良なる管理者の注意」というのは、その道のプロとして期待される水準で丁寧に業務を行うという意味です。また、進み具合を随時報告する義務も明記されており、依頼者が放置されることなく安心できる仕組みになっています。
第4条(報酬)
お金の話を明確にする条文です。毎月いくら払うのか、いつまでに振り込むのか、振込手数料はどちらが負担するのかまで細かく決めています。月末払いで専門家の口座に送金する形が一般的ですが、これも編集可能なので実情に合わせて調整できます。報酬額は税抜き表示になっているので、消費税分も考慮して記入しましょう。
第5条(契約期間)
契約がいつからいつまで有効なのかを示す条文です。基本は1年間で、期限の1か月前までに「やめたい」という連絡がなければ自動で次の1年に延長される仕組みになっています。長期的な関係を前提にしたい場合に便利な設定ですね。もちろん期間は自由に変更できます。
第6条(秘密保持)
お互いに知った情報を外に漏らさないという約束です。不動産の投資計画や財務状況など、センシティブな話題が出てくるのは当然なので、この条文で守秘義務を課しています。契約が終わった後も3年間は守る必要があると明記されており、安心して情報共有できる環境を作っています。
第7条(個人情報の取扱い)
依頼者から預かった個人データをきちんと管理するという条文です。たとえば物件オーナーの名前や連絡先、収入情報などを扱う際、個人情報保護のルールに沿って慎重に扱うことが求められます。近年はデータ管理に対する意識が高まっているので、この条文があることで信頼感が増します。
第8条(権利義務の譲渡禁止)
契約上の立場や権利を勝手に他人に譲ってはいけないという決まりです。たとえば専門家側が「忙しくなったから別の人に任せます」と無断で変更することを防ぎます。もし譲渡したい場合は相手の書面による了解が必要です。人間関係と信頼が重要な顧問契約では欠かせない条文といえます。
第9条(反社会的勢力の排除)
暴力団などの反社会的な組織と関わりがないことをお互いに約束する条文です。もし後から関係が発覚した場合は即座に契約を打ち切れる仕組みになっており、さらに損害賠償も請求できます。健全なビジネス環境を維持するために今では多くの契約書に盛り込まれている標準的な内容です。
第10条(解除)
契約を途中で終わらせる条件を定めています。相手が約束を破った場合、まずは「直してください」と伝えて、それでも改善されなければ解除できます。ただし重大な裏切り行為や倒産手続きなどの緊急事態では、警告なしで即座に契約を終了させることも可能です。万が一のトラブルに備えた大切な規定ですね。
第11条(損害賠償)
契約違反によって相手に損害を与えた場合、その分を補償する責任があるという条文です。たとえば専門家が重要な情報を漏らしてしまい、依頼者に実害が出た場合などに適用されます。シンプルな内容ですが、責任の所在を明確にする意味で重要です。
第12条(協議事項)
契約書に書かれていないことが起きたり、解釈で揉めたりした場合は、お互い誠実に話し合って解決しましょうという条文です。いきなり裁判に持ち込むのではなく、まずは当事者同士で歩み寄る姿勢を大切にするための規定といえます。
第13条(準拠法及び管轄裁判所)
この契約が日本の法律に基づくこと、万が一裁判になった場合はどこの裁判所で争うかを事前に決めておく条文です。管轄裁判所は当事者の所在地などに応じて記入する形になっており、後々の手続きをスムーズにする狙いがあります。
【4】活用アドバイス
この契約書を使う際は、まず●印の箇所をすべて埋めることから始めましょう。当事者の氏名や住所、報酬額、契約開始日、管轄裁判所などは必須項目です。特に報酬額と支払日は後々トラブルになりやすいので、双方が納得できる金額と期日をしっかり話し合って決めてください。
第2条の業務内容は、実際に提供するサービスに合わせてカスタマイズすることをおすすめします。リストに載っている内容以外にも「月次レポートの提出」「年2回の戦略会議」など具体的な項目を追加すると、期待値のズレを防げます。逆に必要のない項目は削除しても構いません。
契約書は2通作成し、双方が署名捺印(または記名押印)した上で1通ずつ保管します。電子契約システムを利用する場合でも、この書式をベースにして内容を移行できます。契約開始前に必ず相手と一緒に全文を読み合わせ、疑問点があればその場で解消しておくと安心です。
また、自動更新の仕組みを採用しているため、もし契約を終了したい場合は期限の1か月前までに必ず書面で通知することを忘れないようにしましょう。更新のたびに報酬額や業務内容を見直す機会にもなります。
【5】この文書を利用するメリット
まず最大のメリットは、継続的なアドバイザリー関係を明確な形にできる点です。口約束だけだと「言った言わない」のトラブルになりがちですが、書面にしておけばお互いの役割や責任がはっきりします。
月額報酬制なので、相談のたびに見積もりを取ったり契約書を作り直したりする手間が省けるのも大きな利点です。気軽に専門家に相談できる環境が整うため、ビジネスのスピード感も上がります。
秘密保持や個人情報保護の条項がしっかり入っているので、安心して内部情報を共有できます。不動産投資では戦略や財務状況など機密性の高い話題が多いため、この安心感は非常に重要です。
また、反社会的勢力の排除条項や解除条件が明記されているため、万が一の際にも迅速に対応できます。予期せぬトラブルから身を守るセーフティネットとしても機能します。
Word形式で提供されるため、業種や状況に応じて自由に編集できる柔軟性も魅力です。士業の方がクライアント向けにカスタマイズしたり、企業が自社の契約書フォーマットとして採用したりと、幅広い使い方が可能です。