【1】書式概要
この文書は、企業が学生を対象としたインターンシップ制度を導入する際に必要となる社内規程のテンプレートです。近年、多くの企業で学生の職場体験を通じた人材確保や企業PRが重要視されており、適切な制度設計が求められています。
本規程では、インターンシップの目的から募集方法、実施内容、責任体制まで包括的に定めており、企業が安心してインターン制度を運用できるよう配慮されています。特に無給インターンシップの実施において問題となりがちな法的側面についても、奨励手当の位置づけや傷害保険の取り扱いなど、実務上重要なポイントが明記されています。
大学との連携を図りながら学生に貴重な職場体験の機会を提供したい企業、新卒採用の母集団形成を効率的に行いたい人事担当者、社会貢献活動の一環として教育支援に取り組みたい経営陣の方々にとって、即座に活用できる実用的な書式となっています。Word形式で提供されているため、自社の実情に合わせて条文の修正や追加が容易に行えます。
【2】条文タイトル
第1条(総則) 第2条(定義) 第3条(目的) 第4条(対象者) 第5条(募集人員) 第6条(募集方法) 第7条(提出書類) 第8条(選考基準) 第9条(実施時期) 第10条(時間構成) 第11条(実習内容) 第12条(配属先) 第13条(実施責任者) 第14条(奨励手当) 第15条(交通費) 第16条(傷害保険) 第17条(秘密保持のための誓約書)
【3】逐条解説
第1条(総則)
この条文は規程全体の基本姿勢を示すもので、インターンシップに関する取り扱いを統一的に定めることを宣言しています。企業内でインターン制度を運用する際の根拠規定として機能し、関係者が参照すべき基準を明確化する役割を果たします。
第2条(定義)
インターンシップの概念を法的に明確化する重要な条文です。「学生」「一定期間」「業務体験学習」という三つの要素を組み合わせることで、通常の雇用関係との区別を図っています。この定義により、後続の条文で使用される「インターンシップ」という用語の解釈に統一性をもたらします。
第3条(目的)
制度導入の目的を5項目にわたって具体的に列挙しており、単なる労働力確保ではなく教育的意義を重視する姿勢を示しています。特に「職業選択の参考」「理解促進」「職場活性化」といった相互利益の観点を盛り込むことで、学生・大学・企業の三者にとってメリットのある制度設計であることを明示しています。
第4条(対象者)
大学2年次以上という条件設定には実務上の合理性があります。1年次学生は大学生活への適応期間中であることが多く、専門知識も限定的なため、より充実した体験学習を提供するための配慮といえます。この条件により、一定の基礎知識を有する学生を対象とできます。
第5条(募集人員)
年度ごとの柔軟な人員調整を可能とする条文で、企業の事業規模や受入体制に応じた適切な運用を図れます。景気動向や事業戦略の変化に対応しながら、継続的な制度運営を実現するための重要な仕組みです。
第6条(募集方法)
大学との連携、自社ウェブサイトの活用、その他の手法という三段階のアプローチを示しており、幅広い学生層へのリーチを意図しています。特に「その他」の項目により、SNSや就職情報サイトなど時代に応じた新しい募集手法への対応余地を残しています。
第7条(提出書類)
履歴書と応募理由書という二つの書類により、学生の基本情報と参加動機を把握する仕組みです。書類の不返却と適正な廃棄処分を明記することで、個人情報の取り扱いに対する企業の責任を明確化し、学生に対する透明性を確保しています。
第8条(選考基準)
公正性の確保と具体的な選考観点を両立させた条文です。「熱意・意欲」と「目的意識」という主観的要素を基準とすることで、学力偏重ではない多様な学生の受入れを可能としています。これにより企業側も意欲的な学生との出会いの機会を広げられます。
第9条(実施時期)
夏季休暇期間中の実施は学生の学業への影響を最小限に抑える配慮です。7月から9月という設定により、前期試験後から後期開始前までの期間を有効活用でき、学生にとって参加しやすい環境を提供しています。
第10条(時間構成)
1日6時間、週5日で計30時間という設定は、学生の体力的負担と学習効果のバランスを考慮した現実的な構成です。通常の就業時間に近い体験を提供しながらも、学生の身分に配慮した適度な時間設定となっています。
第11条(実習内容)
組織概要、経営方針、業務概要という三段階の学習プログラムにより、企業理解を段階的に深める構成です。単純作業ではなく、企業の本質的な部分を理解してもらうことで、学生にとって価値ある体験学習を実現しています。
第12条(配属先)
状況に応じた柔軟な配属を可能とする条文で、学生の専攻や希望、企業側の受入状況に応じた最適なマッチングを図れます。画一的な配属ではなく、個別最適化されたプログラム提供を実現するための重要な仕組みです。
第13条(実施責任者)
現場レベルでの責任体制を明確化し、プログラムの質的向上と学生の安全確保を図る条文です。実習プログラム作成から人事部署との調整まで、包括的な業務範囲を定めることで、組織的な対応体制を構築しています。
第14条(奨励手当)
無給インターンシップにおける微妙な位置づけを明確化した重要な条文です。時給500円の奨励手当により学生のモチベーション維持を図りつつ、労働基準法上の賃金ではないことを明記することで、制度の教育的性格を保持しています。
第15条(交通費)
実費支給による学生の経済的負担軽減は、参加機会の平等性確保に重要な役割を果たします。公共交通機関に限定することで、支給額の適正性と事務処理の簡素化を両立させています。
第16条(傷害保険)
企業負担による保険付保は、学生の安全確保と企業のリスク管理を同時に実現する仕組みです。保険金受取人を企業とすることで、治療費等の迅速な支払いと事務処理の効率化を図っています。
第17条(秘密保持のための誓約書)
企業の機密情報保護は現代のビジネス環境において不可欠な要素です。事前の誓約書提出により、学生に対する情報管理の重要性を認識してもらうとともに、企業としてのリスク管理体制を整備しています。
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