【1】書式概要
この書式は、会社が役員や従業員に対してRSU(譲渡制限付株式ユニット)を付与する際に必要となる取締役会議事録のひな形です。RSUというのは、将来的に自社株式を受け取る権利のことで、優秀な人材を引き止めたり、モチベーションを上げたりするための報酬制度として最近注目されています。
たとえば、スタートアップ企業が優秀なエンジニアを採用したいけど、現金での高額報酬は難しい...そんなときにRSUを活用すれば、将来の株式という形で魅力的な報酬パッケージを提示できるわけです。また、すでに在籍している社員に対しても、一定期間勤続したら株式がもらえるという仕組みを作ることで、長期的な定着を促すことができます。
この議事録では、誰に何株付与するか、どんな条件をクリアしたら株式がもらえるか、いつまで売却できないかなど、RSU制度の具体的な内容を決定しています。Word形式で編集可能なので、自社の状況に合わせて付与対象者の人数や株式数、権利確定の条件などを自由にカスタマイズできます。株式報酬制度の導入を検討している企業にとって、すぐに使える実用的なテンプレートとなっています。
【2】解説
第1号議案(譲渡制限付株式ユニット(RSU)の具体的付与条件決定の件)
この議案では、RSU制度の詳細な内容を決定しています。まず付与対象者として取締役と従業員を明確に定めて、それぞれ何名に付与するかを記載する形になっています。実際の運用では、営業成績が優秀な社員とか、プロジェクトで大きな成果を出したメンバーとか、具体的な選定基準を社内で決めておくとスムーズです。
付与株式数の総数も決議事項として明記されています。これは会社の資本政策にも関わる重要な数字なので、既存株主への影響も考慮しながら慎重に決める必要があります。たとえば、発行済株式総数の5%程度に収めるといった目安を持っている会社も多いですね。
権利確定条件として、在籍期間と業績指標の2つが設定されています。「3年間在籍したら株式がもらえる」といった時間ベースの条件と、「営業利益が20%成長したら」といった成果ベースの条件を組み合わせることで、単に居続けるだけでなく、会社の成長に貢献することへのインセンティブも働きます。
譲渡制限期間は、権利確定後もすぐに売却できないようにする期間のことです。これによって、株式を受け取った後も引き続き会社に貢献してもらう仕組みを作ることができます。上場企業の場合は、インサイダー取引の観点からも重要な規定になります。
【3】活用アドバイス
この文書を使う際は、まず自社の状況に合わせて具体的な数値や条件を検討することから始めましょう。付与対象者の選定基準や付与株式数は、会社の規模や成長ステージによって大きく変わってきます。また、権利確定条件についても、単純な在籍期間だけでなく、部門別の業績目標や個人の成果指標を組み込むことで、より効果的なインセンティブ設計が可能になります。
議事録作成の際は、日時や場所、出席者などの形式的な部分も正確に記載することが大切です。特に定款で定められた取締役の定数と実際の出席人数を明記することで、決議の有効性を担保できます。また、執行の細部を代表取締役に一任する条項を入れておくことで、実務的な運用の柔軟性も確保できます。
【4】この文書を利用するメリット
この議事録テンプレートを使用することで、RSU制度導入に必要な取締役会決議を適切に行うことができます。必要な決議事項が網羅されているため、重要な項目の検討漏れを防ぐことができ、制度設計の抜け穴を防げます。
また、Word形式で提供されているため、自社の実情に応じて柔軟にカスタマイズできるのも大きなメリットです。付与対象者の範囲や権利確定条件など、各社の人事戦略に合わせて自由に変更できます。
さらに、この文書があることで、税務調査や監査の際にも、適切な手続きを経てRSU制度を導入したことを証明できます。将来的に上場を目指す企業にとっては、ガバナンス体制の整備という観点からも重要な文書となります。
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