【1】書式概要
この退職金規程は、企業が従業員の退職時に支給する退職金制度を体系的に定めた実用的な書式です。勤続年数に応じた算定基礎額と支給率を掛け合わせるシンプルな計算方式を採用しており、中小企業から大企業まで幅広く活用できる汎用性の高い内容となっています。
特に人事担当者や経営者の方々にとって、退職金制度の新規導入や既存制度の見直しを検討する際に重宝される書式です。自己都合退職時の減額規定や功労加算制度も盛り込まれているため、公平性と柔軟性を両立した制度設計が可能です。また、懲戒解雇者への対応や死亡時の遺族支給についても明確に規定されており、実務上想定される様々なケースに対応できます。
この規程は労働基準法に準拠した内容で作成されており、そのまま就業規則の付属規程として使用することができます。Word形式での提供のため、自社の実情に合わせて条文の修正や支給率の調整が簡単に行えます。退職金制度の透明性確保と従業員への説明責任を果たすためにも、明文化された規程の整備は不可欠です。
人事制度の整備を進める企業、退職金制度の見直しを検討している会社、新規事業立ち上げに伴う就業規則の策定が必要な組織など、様々な場面でご活用いただけます。
【2】逐条解説
第1条(目的)
この規程の適用範囲を明確にする条文です。正規社員のみを対象としており、契約社員やパート社員は除外されます。企業によっては非正規雇用者も含める場合がありますが、その際は条文の修正が必要です。
第2条(支給要件)
退職金支給の最低条件を定めています。勤続3年以上という要件は中小企業でよく見られる設定で、短期離職者への支給を避ける目的があります。「円満退職」という表現により、懲戒解雇等は除外される仕組みです。
第3条(算出方法)
退職金計算の基本公式を示しています。算定基礎額に支給率を掛ける単純明快な方式で、従業員にとっても理解しやすい制度設計となっています。例えば勤続10年で基礎額175,000円、支給率9.0の場合、175,000×9.0=1,575,000円が基本退職金額となります。
第4条(算定基礎額)
勤続年数に応じた基礎額を別表で定める旨を規定しています。この表は企業の財務状況や業界水準を考慮して設定されており、長期勤続者ほど高い基礎額が適用される仕組みです。
第5条(支給率)
支給率についても別表による定めを規定しています。勤続年数が長いほど支給率が高くなる累進的な設計で、従業員の定着促進効果が期待できます。
第6条(1年未満の端数の取り扱い)
実務上重要な端数処理の方法を定めています。15日以上を1か月とする処理は一般的で、例えば3年7か月と20日勤続の場合は3年8か月として計算されます。
第7条(自己都合退職の減額)
自己都合退職者への減額措置を規定しています。勤続年数が短いほど減額率が高く設定されており、特に5年未満では15%の減額となります。これにより会社都合退職との差別化を図っています。
第8条(功労加算)
特別な貢献をした従業員への加算制度です。具体的な加算率は空欄となっており、企業が独自に設定できる柔軟性があります。売上向上や技術開発などの功績に対する報奨として活用されます。
第9条(懲戒解雇者の取り扱い)
懲戒解雇者への退職金不支給を明確に規定しています。重大な規律違反や背任行為を犯した場合の厳格な措置で、他の従業員への規律維持効果も期待されます。
第10条(支払方法)
退職金の支払形態を一時金のみと定めています。年金形式との選択制を採用する企業もありますが、この規程では管理の簡素化を重視した設計となっています。
第11条(支払時期)
原則2週間以内の支払いを定めつつ、引き継ぎ不備や貸与品未返却等の場合の例外規定も設けています。実務的な配慮がなされた条文で、円滑な退職手続きを促進します。
第12条(死亡退職のときの取り扱い)
従業員の死亡時における遺族への支給について定めています。労働基準法施行規則を準用することで、支給対象となる遺族の範囲と優先順位が明確になります。
第13条(受給権の処分禁止)
退職金請求権の譲渡や担保提供を禁止する条文です。これにより従業員の生活保障という退職金本来の目的が確保され、債権者による差押えからも一定の保護が図られます。
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