【1】書式概要
この「育児休業規程」は、改正育児・介護休業法に対応した企業向けの規程テンプレートです。本文書は、企業が従業員の育児と仕事の両立を支援するための制度を適切に整備するための完全な雛形となっています。
本テンプレートには、育児休業の定義から始まり、対象となる従業員の範囲、申請手続き、育児休業期間の設定方法、1歳以降の子の育児休業の条件、育児休業中の待遇(給与・賞与・昇給など)、育児短時間勤務制度、深夜業・所定外労働・時間外労働の制限、子の看護休暇、さらにはハラスメント防止条項まで、育児休業に関する包括的な規程が網羅されています。
改正法に対応しており、男女問わず利用できる制度や、保育所に入所できない場合の延長措置、時間単位での看護休暇取得など、最新の法律要件を満たした内容となっています。企業の人事担当者は本テンプレートを基に、自社の状況に合わせて必要な個所(就業規則との整合性が必要な箇所等)を調整するだけで、法令遵守した育児休業規程を容易に作成することができます。
従業員が安心して子育てと仕事を両立できる職場環境の整備は、優秀な人材の確保や生産性向上にもつながります。本テンプレートを活用することで、企業の法令遵守はもちろん、従業員にとって働きやすい職場環境の構築にも貢献できるでしょう。
〔条文タイトル〕
第1条(目的)
第2条(育児休業の定義)
第3条(対象従業員)
第4条(申出手続)
第5条(撤回手続)
第6条(1歳未満の子の育児休業)
第7条(1歳以降の子の育児休業)
第8条(回数)
第9条(育児休業期間中の給与)
第10条(休業期間中の住民税住民税)
第11条(年次有給休暇の算定)
第12条(育児休業終了後の待遇)
第13条(届出内容の消滅)
第14条(育児短時間勤務制度)
第15条(育児のための深夜業の制限)
第16条(育児のための所定外労働の制限)
第17条(育児のための時間外労働の制限)
第18条(子の看護休暇)
第19条(育児休業等に関するハラスメントの禁止)
第20条(所管および改廃)
【2】逐条解説
第1条(目的)
本条は規程の目的を明確にするものです。この規程が育児休業だけでなく、看護休暇、労働時間の制限、短時間勤務など、育児と仕事の両立支援に関わる様々な制度について定めていることを明示しています。これにより、会社が従業員の仕事と家庭の両立を支援する姿勢を示しています。
第2条(育児休業の定義)
育児休業の基本概念を定義しています。原則として1歳未満の子と同居し、養育するための休業であるという基本的な考え方を明確にしています。この定義が後続の条文の前提となります。
第3条(対象従業員)
育児休業を取得できる従業員の範囲と、取得できない従業員の例外を規定しています。実子だけでなく養子も含まれること、休業後も継続して勤務する意思があることが基本要件です。また、日雇従業員や一定の条件を満たす期間契約従業員、労使協定で除外された従業員(入社1年未満、雇用終了が明らかな者、週2日以下勤務者)は取得できないことを明確にしています。これは法律で定められた適用除外の範囲に準じています。
第4条(申出手続)
育児休業の申出方法と期限を定めています。原則として休業開始日の1ヶ月前までに必要書類を提出する必要があること、契約更新時の再申出方法、会社からの通知方法、1歳及び1歳6ヶ月を超える育児休業の場合の手続きなどを規定しています。適正な運用のための実務的な手続きを明確にしています。
第5条(撤回手続)
申し出た育児休業の撤回方法について定めています。休業開始予定日の前日までに届出をすれば撤回可能であること、撤回後の再申出制限、子の死亡等による申出みなし消滅などを規定しています。これにより、適切な撤回と、その後の取扱いを明確にしています。
第6条(1歳未満の子の育児休業)
原則的な育児休業(子が1歳に達するまで)の期間設定や変更手続き、終了事由を規定しています。休業開始予定日の繰り上げ変更(1回のみ)や終了予定日の繰り下げ変更(1回のみ)の手続き、育児休業が終了する事由(子が1歳に達した場合、他の休業が始まった場合など)を明確にしています。
第7条(1歳以降の子の育児休業)
例外的な育児休業(1歳以降の延長)について規定しています。配偶者が同時または先に育児休業をしている場合の「パパ・ママ育休プラス」制度(1歳2ヶ月までの延長)、保育所入所待ちなどの理由がある場合の1歳6ヶ月までの延長、さらに2歳までの再延長の条件と手続きを定めています。これは改正育児・介護休業法の重要なポイントで、保育所等の待機児童問題に対応する措置です。
第8条(回数)
育児休業の取得回数を原則として子1人につき1回と定めています。ただし、産後パパ育休(出生後8週間以内の取得)は回数にカウントしないこと、延長申出や特別な事情がある場合の例外を明記しています。これは法改正で導入された「産後パパ育休」制度に対応するものです。
第9条(育児休業期間中の給与)
育児休業中の給与や賞与、昇給についての取扱いを規定しています。原則として給与は支給せず、賞与は出勤日数に応じた日割計算、休業中の定期昇給は行わないことを明確にしています。
第10条(休業期間中の住民税住民税)
育児休業中の住民税の取扱いについて定めています。会社が一時的に立て替え、後日従業員に請求することで、納税に支障が出ないようにする実務的な取り決めです。
第11条(年次有給休暇の算定)
育児休業期間中や看護休暇期間は、法律に従って年次有給休暇の出勤率計算において出勤したものとみなし、不利益にならないよう配慮しています。
第12条(育児休業終了後の待遇)
育児休業から復帰後の職場、職務、給与等の待遇を規定しています。原則として休業前と同じ職場・職務に復帰できること、退職金や昇進・昇格の算定において育児休業期間が不利にならないよう勤続年数に含めること、給与も休業前と同じ水準を保障することを明記しています。これは育児休業取得者の不利益取扱いを防止する内容です。
第13条(届出内容の消滅)
子の死亡など、育児休業の前提となる事由が消滅した場合の取扱いを規定しています。速やかに会社に届け出ることで、休業を終了できるようにしています。
第14条(育児短時間勤務制度)
3歳未満の子を養育する従業員向けの短時間勤務制度について詳細に規定しています。所定労働時間を6時間に短縮する措置、対象外となる従業員、申出手続き、給与や賞与の取扱い、昇給や退職金の算定方法などを明確にしています。これは法律で義務付けられた短時間勤務制度を具体化したものです。
第15条(育児のための深夜業の制限)
小学校就学前の子を養育する従業員の深夜業(午後10時〜午前5時)の制限について規定しています。制限の対象外となる従業員、申出手続き、制限期間、終了事由などを詳細に定めています。子育て中の従業員の生活リズムに配慮した措置です。
第16条(育児のための所定外労働の制限)
3歳未満の子を養育する従業員の所定外労働(残業)の制限について規定しています。対象外となる従業員、申出手続き、制限期間、終了事由などを明確にしています。小さな子どもを持つ従業員の負担軽減を図る措置です。
第17条(育児のための時間外労働の制限)
小学校就学前の子を養育する従業員の時間外労働を月24時間、年150時間以内に制限する措置について規定しています。対象外となる従業員、申出手続き、制限期間、終了事由などを定めています。前条の所定外労働の制限よりも対象年齢が広く設定されています。
第18条(子の看護休暇)
小学校就学前の子の看護のための休暇制度について規定しています。子が1人の場合は年5日、2人以上の場合は年10日の休暇が取得可能であること、時間単位での取得も可能であること、無給であることなどを明確にしています。病気の子どもの看護や予防接種・健康診断のための休暇制度です。
第19条(育児休業等に関するハラスメントの禁止)
育児休業等の制度の申出・利用に関するハラスメントを禁止し、違反者に対しては就業規則に基づいて厳正に対処することを明記しています。これは法律で義務付けられたハラスメント防止措置を具体化したものです。
第20条(所管および改廃)
本規程の所管部署と改廃の手続きを定めています。適切な部署による管理と、必要に応じた改定のプロセスを明確にすることで、法改正や社内環境の変化に対応できるようにしています。