【1】書式概要
この売買規約テンプレートは、国際取引において企業間の商品販売やサービス提供に関する権利義務関係を明確にするための重要な契約文書です。外資系企業や日本企業が国際取引を行う際に必要となる基本的な条項を網羅しており、特に為替変動リスク、支払条件、保証内容、不可抗力、契約解除などの重要事項を詳細に規定しています。
このテンプレートは、英語と日本語の対訳形式で提供されており、契約当事者双方が内容を正確に理解できるよう配慮されています。国際取引において言語の壁によるミスコミュニケーションや解釈の違いから生じるトラブルを未然に防ぐことができます。特に日本企業が外国企業と取引を行う場合や、外資系企業の日本法人が現地顧客と契約を結ぶ際に有用です。
改正民法に対応しており、最新の法改正に準拠した内容となっているため、法的リスクを軽減できます。商品の販売だけでなく、サービスの提供に関する条項も含まれているため、幅広いビジネスシーンで活用できます。製造業、商社、ITサービス企業など、国際取引を行うあらゆる業種の企業にとって、契約関係の基礎となる重要な文書として活用いただけます。
企業間取引における見積もりから契約成立、支払い、保証に至るまでの全プロセスをカバーしており、個別の状況に応じてカスタマイズすることで、円滑なビジネス関係の構築に貢献します。特に国際取引初心者の担当者にとって、契約上考慮すべき重要ポイントを網羅した参考資料としても価値があります。
〔条文タイトル〕
第1条(Scope/契約の範囲)
第2条(General/一般条項)
第3条(Foregin Exchange/外国為替)
第4条(Net Price/最終価格)
第5条(Prices/価格)
第6条(Interest/利息)
第7条(Payment Terms/支払期日)
第8条(Quotation/見積)
第9条(Validity of Quotations/見積の有効期限)
第10条(Order Number/発注番号)
第11条(Client's charges/顧客負担)
第12条(Risk of Loss/危険負担)
第13条(Insurance/保険)
第14条(Claim/クレーム)
第15条(Warranty/保証)
第16条(Warranty Claim/保証クレーム)
第17条(Force Majeure/不可抗力)
第18条(Cancellation/契約の解約)
第19条(Breach/契約違反)
第20条(Governing Law/準拠法)
第21条(Languages/言語)
【2】逐条解説
第1条(契約の範囲)
この条項では契約の成立要件を規定しています。ABC社と顧客間の販売契約は、顧客が書面で発注し、ABC社が書面で受領確認した場合にのみ成立することを明確にしています。口頭での約束ではなく、書面による合意のみが法的拘束力を持つという原則を明示しています。
第2条(一般条項)
口頭での要求に関する取扱いを定めています。口頭による要求のみでは契約は成立せず、顧客は書面で確認し、ABC社も書面で承認する必要があります。これがない場合、誤解や間違いに対してABC社は責任を負わないとしています。また、ABC社は変更要求を受け入れるか拒否するかの裁量権を持つことも明記しています。
第3条(外国為替)
為替変動リスクへの対応策を規定しています。見積は1ドル=85円の為替レートを基準としており、商品納入時やサービス提供時に為替が5%を超えて変動した場合、ABC社は現行の為替レートに基づいて価格を修正する権利を保有します。国際取引における為替リスクの分担を明確にしています。
第4条(最終価格)
見積価格が最終価格であり、これ以上の値引きがないことを簡潔に述べています。交渉の余地がないことを明確にすることで、後の価格交渉を防止する意図があります。
第5条(価格)
価格に関する詳細な条件を規定しています。特に明記されていない限り、記載された金額には税金や課徴金、配送・梱包費用が含まれていないことを明確にしています。これらの追加費用はすべて顧客負担となります。また、価格の適用に関する基本原則も示しています。
第6条(利息)
支払遅延に対する法定利息の適用を規定しています。期日を過ぎても支払われない金額に対しては、「支払遅延時の商業的負債(利息)法2002年」に基づく法定利息が加算されることを明記しています。支払の適時性を確保するための抑止力となります。
第7条(支払期日)
支払条件について定めています。特別な合意がない限り、請求書発行日から30日以内に、一切の控除を行うことなく支払いを完了することが求められます。また、付加価値税は各請求書に別項目として記載されることも明記しています。
第8条(見積)
見積の前提条件と追加作業が発生した場合の対応を規定しています。見積はあくまで顧客から提供された情報に基づいて作成されるものであり、追加作業や範囲変更が必要な場合は、書面による承認が必要です。書面による承認の有無にかかわらず、追加作業に対する費用は顧客負担となることを明確にしています。
第9条(見積の有効期限)
見積の有効期間と変更条件を規定しています。見積の有効期限は30日間であり、作業範囲や商品の変更がある場合、ABC社は価格を変更する権利を有します。また、製造元の価格上昇があった場合も同様に価格変更ができますが、5%未満の上昇であれば顧客は契約を解除できないという制限も設けています。
第10条(発注番号)
機器搬入前の手続きを規定しています。ABC社が機器を搬入する前に、顧客は書面で発注番号を通知する必要があります。これにより、発注の正式な記録が確保され、後の混乱を防止します。
第11条(顧客負担)
追加費用の負担について明確にしています。見積書に明記されていない限り、税金、サーチャージ、保管費用、各種手数料などのすべての追加費用は顧客負担となります。予期せぬ費用発生に対する責任分担を明確にする重要な条項です。
第12条(危険負担)
商品の危険負担の移転時点を明確にしています。ABC社の施設から商品が発送されたら、輸送中の紛失や損傷のリスクはすべて顧客が負うことになります。所有権の移転とは別に、リスクの移転を規定することで責任の所在を明確にしています。
第13条(保険)
輸送中の保険に関する取り決めです。特別な合意がない限り、ABC社は輸送中の商品に保険をかけず、保険手続きや輸送中のリスクに対して一切の責任を負わないことを明記しています。顧客が必要と判断した場合は別途保険手配する必要があります。
第14条(クレーム)
商品の数量不足に関するクレームの手続きを規定しています。クレームは商品受領から30日以内に書面で行う必要があり、発送リストなどの証拠書類を添付することが求められます。適切な証拠に基づいたクレーム手続きを確保するための条項です。
第15条(保証)
製品保証の内容と条件を明記しています。ABC社製造の商品には発送日から12ヶ月の材質・製造上の欠陥に対する保証があります。ただし、適切に使用・維持され、改造されていないことが条件です。また、この保証は直接の購入者のみに適用され、転売された商品には適用されないことも明確にしています。
第16条(保証クレーム)
保証請求の手続きと対応方法を詳述しています。欠陥発見から30日以内に書面で通知し、発送日から12ヶ月以内にABC社に届く必要があります。ABC社は欠陥商品の修理、交換、返金のいずれかの対応を取り、修理の場合は元の保証期間の残り期間のみが適用されます。保証請求の期限と手順を明確にすることで、不当な請求を防止しています。
第17条(不可抗力)
当事者のコントロールを超えた事象による契約不履行について規定しています。不可抗力により契約の遅延や不履行が生じた場合、当事者は責任を負わず、速やかに相手方に通知する義務があります。不可抗力が2ヶ月以上続く場合は、いずれの当事者も契約を終了させることができます。予期せぬ事態に対する対応策を明確にしています。
第18条(契約の解約)
顧客都合による解約時の費用負担を規定しています。顧客が注文を解約する場合、準備段階で発生した費用、既に提供された作業、調達済みの項目などに加え、間接費と予想利益への補償をABC社は請求できることを明記しています。一方的な解約による損失を防止するための条項です。
第19条(契約違反)
契約違反時の対応手順を規定しています。重大な違反があった場合、顧客は速やかにABC社に通知し、修正可能な違反については、契約終了前にABC社に修正の機会を与える必要があります。この場合もABC社は第18条に基づく費用賠償を受ける権利があります。契約違反による即時解除を防ぎ、修正の機会を確保する条項です。
第20条(準拠法)
契約の準拠法と管轄裁判所を定めています。本契約は英国法に準拠し、英国の裁判所が専属的管轄権を持つことが明記されています。国際取引において非常に重要な条項であり、紛争発生時の適用法と解決の場を事前に決定しています。
第21条(言語)
契約に関する連絡の使用言語を規定しています。すべての連絡は口頭・書面を問わず英語で行われることを明記しています。多言語環境での誤解を防ぎ、コミュニケーションを円滑にするための条項です。日本語訳は参考として提供されていますが、正式な契約言語は英語であることを意味しています。