【1】書式概要
このライセンス契約書テンプレートは、技術や知的財産のライセンス供与に関する権利と義務を明確に定めた包括的な法的文書です。日英両言語で提供されており、特に自動車業界向けの技術プロセスのライセンス供与に最適な構成となっています。
契約書には定義条項から始まり、テリトリー、技術支援、費用負担、ライセンス条件、ロイヤリティ、支払条件、契約期間・解除条件、秘密保持義務に至るまで、ライセンス契約に必要な要素を網羅しています。特に、各当事者の権利と責任を明確にし、紛争を未然に防ぐための詳細な条項が含まれています。
このテンプレートは、国際的なビジネス展開を計画している企業や、自社の技術やノウハウを他社にライセンス供与したい企業にとって、時間とコストを節約できる貴重なリソースです。日本の改正民法に対応しており、和訳付きであるため、外国企業との契約締結においても言語の障壁なく利用できます。
契約書の各条項は必要に応じてカスタマイズ可能で、さまざまな業種や取引形態に応用できます。特に技術移転、製造ライセンス、独占的販売権などの取引に適しており、知的財産権の保護と商業的利益の確保を両立させる内容となっています。
〔条文タイトル〕
第1条(定義)
第2条(テリトリー)
第3条(技術支援)
第4条(費用)
第5条(ライセンス)
第6条(ロイヤリティー)
第7条(支払条件)
第8条(契約期間および契約解除)
第9条(秘密保持)
【2】逐条解説
第1条(定義)
この条文では契約で使用される重要な用語の定義を行っています。特に「ABCプロセス」「装置」「ノウハウ」「テリトリー」「商標」「図面」などの用語を明確に定義することで、契約内容の解釈における誤解を防ぎます。定義条項は契約全体の解釈の基礎となる重要な条項です。特に技術的な内容を含む契約では、技術用語の定義が明確であることが紛争予防に役立ちます。
第2条(テリトリー)
この条文ではライセンシー(XYZ社)に対して付与される権利の地理的範囲を定めています。本契約では英国内を「テリトリー」として、その範囲内での独占的実施権を与えています。特に(a)へこみ補修サービスの独占的実施権、(b)装置の製造権、(c)商標使用権の3つの独占的権利が明確に区別されています。この条文により、ライセンス供与の具体的な範囲と内容が明確になります。
第3条(技術支援)
ライセンサー(ABC社)がライセンシーに提供する技術支援の内容を定めています。具体的には(a)書面によるノウハウの提供、(b)技術者の派遣、(c)図面や技術情報の提供について規定しています。特に技術情報の提供方法と、ライセンシーが技術情報から逸脱した製造を行うことの禁止が明記されており、技術移転の具体的な方法と制限を定めています。
第4条(費用)
技術支援にかかる費用の負担について詳細に規定しています。(a)ライセンシーの従業員派遣費用、(b)ライセンサーの技術者派遣費用、(c)トレーニング費用、(d)法規適合のための設計変更費用など、想定される費用項目ごとに負担者を明確に定めています。こうした費用負担の明確化は、後の紛争を防ぐために重要です。
第5条(ライセンス)
ライセンスの条件と制限について規定しています。特に(a)サブライセンスの禁止、(b)商標使用の制限と立入検査の権利、(c)第三者への販売禁止などが含まれています。この条文は、ライセンシーが許可された範囲を超えてライセンスを利用することを防止し、ライセンサーの権利を保護するものです。
第6条(ロイヤリティー)
対価としてのロイヤリティーの支払いについて詳細に規定しています。(a)初期支払い金額、(b)売上高に対する継続的なロイヤリティー率、(c)売上高に応じたロイヤリティー率の変更条件、(d)為替レートの決定方法、(e)支払先、(f)会計記録の保管義務などが含まれています。特に売上高に連動したロイヤリティー構造は、両者のインセンティブを調整する重要な要素です。
第7条(支払条件)
製品や装置の発注と支払いに関する条件を規定しています。(a)発注方法、(b)支払期限と支払先、(c)販売促進の義務などが含まれています。この条文は、取引の基本的な流れと義務を明確にすることで、スムーズな事業運営を確保します。
第8条(契約期間および契約解除)
契約の有効期間と終了条件について規定しています。(a)契約の自動更新と通知による終了、(b)破産などの事由による契約解除、(c)契約終了後の競業避止義務、(d)(e)残存在庫の買戻し条件などが含まれています。特に契約終了後の関係についても規定している点が重要です。
第9条(秘密保持)
機密情報の取り扱いについて規定しています。(a)秘密保持義務の期間、(b)従業員の秘密保持契約の締結義務、(c)情報持ち出しの禁止などが含まれています。技術ライセンス契約では、知的財産の保護が重要であり、この条文がその基盤となります。
このライセンス契約書は、技術移転ビジネスにおける両当事者の権利義務を明確かつ詳細に規定しており、国際的な技術ライセンス契約の良いモデルとなっています。