【1】書式概要
この「飲食店運営委託契約書(委託者有利版)」は、飲食店オーナーが自身の店舗の運営を他者に委託する際の契約関係を明確にするための法的文書です。契約書は民法改正に対応した最新の内容となっており、委託者(店舗オーナー)の立場を優先した条件設定がなされています。
この契約書は、飲食店のオーナーでありながら自ら運営せず、経験豊富な経営者や料理人に店舗運営を任せたい方に最適です。例えば、不動産投資として飲食店物件を所有している方、多店舗展開で全ての店を直接管理できない方、または飲食店経営のノウハウは持たないものの店舗物件を所有している方などが活用できます。
契約書には運営委託の詳細な条件が網羅されており、営業日・営業時間の設定、業務委託料の計算方法、契約解除の条件、反社会的勢力の排除など、トラブル防止に必要な条項が含まれています。特に委託者にとって有利な点として、基本委託料と歩合給の設定、店舗の目的外利用禁止、運営経費の負担関係などが明確に規定されています。
契約期間や違約金、解約通知期間なども詳細に定められており、委託者の権利を守りながらも健全なビジネス関係を構築するための基盤となります。民法改正に対応しているため、最新の法的要件を満たした安心してご利用いただける内容となっています。
契約関係の明確化によって将来的なトラブルを未然に防ぎ、円滑な飲食店運営委託を実現するための必須ツールです。
〔条文タイトル〕
第1条(目的)
第2条(契約期間)
第3条(委託業務の内容)
第4条(業務委託料)
第5条(店舗の目的外利用禁止)
第6条(租税公課・運営経費)
第7条(契約解除)
第8条(反社会的勢力の排除)
第9条(協議事項)
第10条(管轄裁判所)
【2】逐条解説
第1条(目的)
この条項では契約の基本的な目的を定めています。委託者(甲)が受託者(乙)に飲食店の運営を委託するという関係性を明確にし、店舗を引き渡すこと、また受託者が自己の名義で営業を行うことを規定しています。店名、業種、所在地を明記することで、契約の対象となる店舗を特定しています。
第2条(契約期間)
契約の有効期間を定める条項です。契約の開始日と終了日を明示し、期間満了後の更新については当事者間の協議によることを規定しています。また、受託者が契約期間中に解約する場合の違約金と解約通知期間を定めることで、委託者の利益を保護しています。特に違約金の規定は受託者の安易な解約を抑制する効果があります。
第3条(委託業務の内容)
受託者が行うべき業務範囲を明確に列挙しています。ホール業務、調理業務から人事管理まで幅広い業務が含まれており、店舗運営に必要な全般的な業務を網羅しています。また、営業日・営業時間・休業日を具体的に定めることで、運営の基本的な枠組みを設定しています。これにより業務範囲に関する誤解やトラブルを防止できます。
第4条(業務委託料)
受託者への報酬体系を規定しています。基本委託料に加えて、一定の利益水準を超えた場合の歩合給を設定することで、受託者の経営努力を促す仕組みになっています。また支払期日を明記することで金銭面での紛争を予防しています。
第5条(店舗の目的外利用禁止)
委託者の承諾なく店舗を第三者に転貸したり一時使用させたりすることを禁止しています。これにより店舗の使用目的が限定され、委託者の意図しない使用方法を防止できます。
第6条(租税公課・運営経費)
店舗に関する税金や運営費用の負担者を明確にしています。この条項では委託者の負担としており、「委託者有利版」という文書の性質とは一見矛盾するように見えますが、これは委託者が店舗の実質的なオーナーとしての立場を維持するための条項と考えられます。
第7条(契約解除)
契約を即時解除できる事由を列挙しています。契約違反、支払停止状態、差押え、破産申立などの重大な事由が発生した場合、相手方への通知や催告なしに契約を解除できるとしています。これにより、問題のある相手方との契約関係からの迅速な離脱が可能になります。
第8条(反社会的勢力の排除)
反社会的勢力との関係を持たないことを当事者間で相互に確約する条項です。反社会的勢力の定義を明確にし、該当した場合の契約解除権を規定しています。これは現代の契約書では標準的な条項となっており、健全な取引関係を維持するために重要です。
第9条(協議事項)
契約書に明記されていない事項については、当事者間の協議により解決することを定めています。これは契約書で想定しきれない事態に対処するための柔軟性を持たせる条項です。
第10条(管轄裁判所)
紛争が生じた場合の管轄裁判所を特定しています。これにより、訴訟となった場合の裁判所が事前に決まっているため、管轄権に関する争いを回避できます。通常は委託者の所在地を管轄する裁判所が指定されることが多いです。