【1】書式概要
この自動車使用貸借契約書は、改正民法対応版として貸主側の権利をしっかりと保護する内容で作成されています。親子間や友人同士での車両の無償貸し借りをはじめ、法人が従業員に社用車を貸与する際や、自動車販売店が代車として無償で車を貸し出す場合にも最適な雛形となっています。
本契約書の特徴は、無償での使用貸借でありながら、貸主の権利保護を重視した構成となっている点にあります。特に、借主による適切な車両管理を促すため、自賠責保険や任意保険への加入義務、車両の修繕費や車検費用の負担を明確に規定しています。
また、契約違反時には貸主が直ちに解除できるよう、具体的な解除事由を詳細に列挙することで、トラブル発生時のリスクを最小限に抑えています。
さらに、反社会的勢力との関係遮断に関する条項も含まれており、コンプライアンス面でも安心して使用いただけます。2年間という契約期間設定も、長期的な使用関係を想定した現実的な内容となっています。
この契約書は、車両の無償貸し借りにおける当事者間の権利義務を明確化し、将来的なトラブルを未然に防ぐための重要なツールとしてご活用いただけます。専門的な法律知識がなくても扱いやすいよう配慮された、実務的な内容となっています。
〔条文タイトル〕
第1条(使用貸借契約)
第2条(契約期間)
第3条(使用目的)
第4条(乙による使用・収益)
第5条(修繕等)
第6条(使用目的の変更等)
第7条(保険加入・事故への対応)
第8条(解除)
第9条(損害賠償)
第10条(本件車両の返還・原状回復)
第11条(合意管轄)
第12条(協議)
【2】逐条解説
第1条(使用貸借契約)
本条は契約の対象となる車両を特定し、使用貸借契約の締結を明確にする基本条項です。車両の登録番号、車名、型式など具体的な特定事項を記載することで、後日の紛争を防止しています。また、車両の引き渡し時期を定めることで、契約の効力発生時点を明確にしています。
第2条(契約期間)
2年間という具体的な契約期間を設定するとともに、当事者双方に解約権を認めている点が特徴的です。また、借主の死亡による契約終了を明記し、相続トラブルを未然に防止する実務的な配慮がなされています。
第3条(使用目的)
車両の使用目的を限定することで、想定外の使用による損耗や事故を防止しています。目的外使用は契約違反となり、解除事由にもなり得るため、重要な規定となっています。
第4条(乙による使用・収益)
使用貸借における善管注意義務を明確化し、第三者への転貸禁止を規定しています。これにより、貸主の意図しない第三者による車両使用を防止し、管理責任の所在を明確にしています。
第5条(修繕等)
借主が車両の維持・管理に関する費用を負担することを明確にしました。無償貸借であっても、実際の使用者が費用を負担するのは合理的であり、貸主の負担を軽減する重要な条項です。
第6条(使用目的の変更等)
車両の使用目的変更や改造について事前承諾制としています。これにより、車両の価値や安全性を維持し、返還時のトラブルを防止する効果があります。
第7条(保険加入・事故への対応)
自賠責保険および任意保険の加入義務を課し、事故発生時の責任の所在を明確にしています。特に第三者から貸主への請求があった場合の補償義務を規定し、貸主の保護を図っています。
第8条(解除)
広範囲にわたる解除事由を列挙し、貸主の解除権を強化しています。反社会的勢力との関係について詳細な規定を設けることで、コンプライアンス対応も万全です。無催告解除を認めることで、迅速な対応を可能にしています。
第9条(損害賠償)
使用収益違反や契約違反による損害賠償請求権に3年の期間制限を設けています。これにより、長期にわたる紛争を防止し、法的安定性を確保しています。
第10条(本件車両の返還・原状回復)
車両の即時返還義務と原状回復義務を定めています。特に、損傷の原因を問わない原状回復義務は、貸主有利の重要な条項となっています。
第11条(合意管轄)
紛争時の管轄裁判所を明確に定め、法的手続きの予測可能性を高めています。専属的合意管轄とすることで、貸主にとって便利な裁判所での紛争解決が可能となります。
第12条(協議)
最終的な紛争解決方法として協議を位置づけ、円満な解決を促しています。本条文と合意管轄条項の組み合わせにより、柔軟かつ確実な紛争解決体制が構築されています。