【1】書式概要
この雇用契約書は義肢装具士として医療機関や福祉施設で働く専門職の方を正社員として雇用する際に必要となる重要な契約書類です。義肢装具士は患者さんの身体機能を補助する義肢や装具の製作から適合まで幅広い業務を担当する国家資格者であり、その専門性に応じた適切な労働条件を明記することが求められます。
本契約書は最新の改正民法に完全対応しており、義肢装具士特有の業務内容である採型作業、製作技術、患者への装着指導、アフターケアなどの専門業務を具体的に定めています。医療現場では患者情報の取り扱いが特に重要となるため、守秘義務や個人情報保護についても詳細に規定されています。
実際の使用場面としては、義肢装具作所が新たに義肢装具士を採用する際、リハビリテーション病院が専門スタッフを雇用する場合、または医療法人が事業拡大に伴い技術者を増員する際などに活用いただけます。また、既存の雇用関係を見直す際の参考資料としても有効です。
Word形式で提供されているため、貴社の実情に合わせて給与額や勤務地、その他の条件を自由に編集することが可能です。空欄部分に必要事項を記入するだけで、すぐに実用的な雇用契約書として使用できる実践的な書式となっています。
【2】条文タイトル
第1条(契約の目的) 第2条(就業場所) 第3条(職務内容) 第4条(契約期間) 第5条(勤務時間) 第6条(時間外勤務) 第7条(休日) 第8条(給与) 第9条(賞与) 第10条(退職金) 第11条(昇給) 第12条(社会保険・労働保険) 第13条(年次有給休暇) 第14条(特別休暇) 第15条(研修・自己研鑽) 第16条(守秘義務・個人情報保護) 第17条(副業・兼業) 第18条(懲戒) 第19条(退職) 第20条(その他)
【3】逐条解説
第1条(契約の目的)
この条項では雇用関係の基本的な枠組みを確立しています。単に「従業員として雇用する」ではなく「義肢装具士として雇用する」と明記することで、専門職としての地位と責任を明確にしています。例えば一般事務職とは異なり、国家資格に基づく専門業務に従事することが前提となります。
第2条(就業場所)
勤務地に関する定めです。義肢装具士の場合、本社工房だけでなく病院への出張採型や患者宅での調整作業なども想定されるため、業務の必要性に応じた勤務場所の変更について柔軟性を持たせています。例えば新しい提携病院ができた場合の配置転換などがスムーズに行えます。
第3条(職務内容)
義肢装具士の専門業務を具体的に列挙した重要な条項です。採型、製作、適合という一連の技術的工程から、患者への装着指導やアフターケアまで幅広い業務範囲を明確化しています。例えば下肢義足の製作では、断端の採型から歩行訓練指導まで一貫して担当することになります。
第4条(契約期間)
正社員としての無期雇用契約であることを明記しつつ、3か月の試用期間を設けています。義肢装具士は高度な技術と患者対応能力が求められるため、実際の業務を通じて適性を判断する期間が重要になります。
第5条(勤務時間)
標準的な労働時間を定めています。医療現場では患者の都合に合わせた柔軟な対応が必要なため、始業・終業時刻の変更についても規定されています。例えば入院患者の採型は診療時間内に行う必要があることなどを考慮しています。
第6条(時間外勤務)
緊急の修理対応や患者の急な要請に対応するための時間外勤務について定めています。義肢装具の不具合は患者の日常生活に直結するため、場合によっては緊急対応が必要になることがあります。
第7条(休日)
基本的な休日体系を定めています。医療関連業界では土日祝日が基本休日となることが多く、患者サービスの継続性も考慮した休日振替の仕組みも含まれています。
第8条(給与)
義肢装具士特有の資格手当を含む給与体系を規定しています。国家資格者としての専門性を評価した資格手当の設定により、技術者としての地位向上を図っています。通勤手当や住宅手当も含めた総合的な待遇を明確化しています。
第9条(賞与)
年2回の賞与支給について定めています。個人の技術力向上や患者満足度なども評価対象に含めることで、専門職としてのモチベーション向上を図る仕組みになっています。
第10条(退職金)
長期勤続を促進するための退職金制度です。義肢装具士は経験と技術の蓄積が重要な職種であるため、3年以上の勤続者に対する退職金支給により人材の定着を図っています。
第11条(昇給)
年1回の昇給機会を設けています。技術力の向上や新しい製作技術の習得、患者対応能力の向上などを総合的に評価して昇給額を決定する仕組みです。
第12条(社会保険・労働保険)
各種社会保険への加入を明記しています。医療従事者として安定した社会保障制度への加入は重要な労働条件の一つです。
第13条(年次有給休暇)
年次有給休暇の付与と取得に関する基本的なルールです。患者のアポイントメントとの調整が必要な業務特性を考慮し、事前申請制度を採用しています。
第14条(特別休暇)
慶弔休暇などの特別休暇制度です。結婚や出産、忌引きなど人生の重要な節目での休暇取得を有給で保障しています。従業員の福利厚生向上を図る内容となっています。
第15条(研修・自己研鑽)
義肢装具士として継続的な技術向上が求められるため、研修受講と自己研鑽に関する条項です。新しい材料や製作技術、リハビリテーション理論の習得など、専門職として必要な学習機会の提供と支援について定めています。
第16条(守秘義務・個人情報保護)
医療情報を扱う職種として特に重要な条項です。患者の身体状況や病歴など機密性の高い情報を日常的に扱うため、在職中だけでなく退職後も継続する守秘義務を厳格に定めています。
第17条(副業・兼業)
副業に関する基本的なルールです。医療従事者としての本業に支障がない範囲での副業については、合理的な理由なく禁止しない姿勢を示しています。
第18条(懲戒)
職務上の規律違反に対する懲戒処分について定めています。患者の安全に直結する業務であるため、職務怠慢や指示不履行に対しては適切な処分を行う仕組みを整備しています。
第19条(退職)
退職に関する手続きと要件を明確化しています。専門技術者の急な退職は業務継続に大きな影響を与えるため、30日前の事前申出を求めています。
第20条(その他)
契約書に記載されていない事項については就業規則や関係法令に従うことを明記し、契約内容の変更は書面で行うことを定めています。これにより契約の安定性と変更時の透明性を確保しています。
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