【1】書式概要
この文書は、競馬予想に関するソフトウェアやアプリケーションを販売する際に使用する契約書の雛形です。近年、競馬予想の分野でもAI技術やデータ分析を活用したソフトウェアが数多く開発されており、こうしたデジタルコンテンツを安全かつ適切に販売するためには、きちんとした契約書が欠かせません。
この契約書は、最新の改正民法に完全対応しており、従来の「瑕疵担保責任」から「契約不適合責任」への変更点もしっかりと反映されています。Word形式で編集可能なため、お客様のビジネスに合わせて自由にカスタマイズできます。
具体的には、個人が開発した競馬予想ソフトを販売する場面や、企業が競馬データ分析システムを顧客に提供する際に活用できます。また、スマートフォンアプリとして配信する場合の契約書としても使用可能です。この契約書があることで、売主は知的財産権を守りながら、買主には適切な使用許諾を与えることができ、双方にとって安心な取引が実現できます。
予想の的中率や収益性について過度な期待を抱かせないよう免責条項も充実しており、ギャンブル関連のソフトウェア販売特有のリスクにも配慮した内容となっています。
【2】逐条解説
第1条(目的物)
この条項では、売買の対象となるソフトウェアを具体的に特定します。ソフトウェア名やバージョン、媒体(DVDかダウンロードかなど)を明記することで、後々のトラブルを防げます。例えば「ウマダス Pro v2.1」といった具合に、できるだけ詳細に記載しましょう。付属品についても、マニュアルやライセンス証書の有無を明確にしておくことが大切です。
第2条(売買代金)
代金の支払い方法と時期を定めています。一括前払いを基本としていますが、実際の取引では分割払いや後払いも検討できます。消費税込みの表示にしているのは、買主にとって分かりやすいためです。個人間取引の場合は消費税は不要ですが、事業者が販売する場合は必須となります。
第3条(引渡し)
ソフトウェアの引渡し方法と期限を決めています。最近はダウンロード販売が主流ですが、USB配布やクラウドストレージ経由での提供もあります。引渡しに要する送料やサーバー費用をどちらが負担するかも重要なポイントです。営業日で期限を設定することで、土日祝日の配慮もできています。
第4条(ライセンス)
これは売買というより「使用許諾」の側面が強い条項です。ソフトウェアは物理的な商品と違い、著作権で保護されているため、買主は使用する権利を得るだけです。何台のパソコンで使用できるか明記することで、不正コピーを防止できます。家庭用なら1台、事業用なら複数台という使い分けも可能です。
第5条(知的財産権)
ソフトウェア開発者の権利を守る重要な条項です。買主がソフトを購入しても、著作権は売主に残ります。これは音楽CDを買っても作詞作曲者の権利が移らないのと同じ理屈です。第三者のライブラリを使用している場合は「許諾者」という表現でカバーしています。
第6条(使用目的の制限)
競馬予想ソフトの性質上、個人利用に限定するのが一般的です。商業利用を許可すると、買主が競馬予想サービスを始めてしまう可能性があります。また、パチンコや競輪など他のギャンブルでの使用を禁止することで、ソフトの目的を明確にしています。
第7条(予想精度に関する免責)
ギャンブル関連ソフトで最も重要な条項です。「必ず当たる」「確実に儲かる」といった誤解を避けるため、的中や収益を保証しないことを明記しています。実際の競馬予想では、どんなに優秀なソフトでも外れることがあります。この条項により、売主は結果責任から免れることができます。
第8条(動作環境・サポート)
ソフトウェアが正常に動作するための条件と、購入後のサポート体制を定めています。Windows10以上、メモリ8GB以上といった具体的な動作環境を別紙で示すのが一般的です。サポート期間を限定することで、売主の負担を軽減できます。平日のみの対応とすることで、個人開発者でも対応可能な範囲に収められます。
第9条(契約不適合責任)
改正民法の目玉である「契約不適合責任」に対応した条項です。従来の「瑕疵担保責任」から名称が変わり、買主の権利が強化されました。ソフトに不具合があった場合、まずは修正や代替品提供で対応し、それが困難な場合は解除や代金減額も認めています。通知期限を設けることで、いつまでも責任を負い続けることを避けています。
第10条(データ更新・バージョンアップ)
競馬予想ソフトでは、騎手情報や馬場状態のデータが日々変化するため、定期的な更新が必要です。1年間無償更新することで、買主の満足度を高められます。大幅な機能追加を伴うバージョンアップについては、開発コストを考慮して有償とする選択肢も残しています。
第11条(禁止事項)
ソフトウェアの不正使用を防ぐための条項です。リバースエンジニアリング(解析)や改変を禁止することで、技術流出を防げます。また、買主が勝手に再販売することを防ぎ、売主のビジネスモデルを保護しています。予想情報の商業販売を禁止することで、競合サービスの誕生も防いでいます。
第12条(契約解除)
契約違反があった場合の対処方法を定めています。通常の違反では催告(警告)を前置としますが、禁止事項違反のような悪質なケースでは無催告解除を認めています。これにより、売主は迅速に契約関係を終了させることができます。
第13条(損害賠償)
売主の責任を売買代金の範囲内に制限することで、予想外の高額賠償を避けています。例えば10万円のソフトを販売した場合、仮に買主に損害が生じても、賠償額は最大10万円に留まります。これにより、個人開発者でも安心してソフトを販売できます。
第14条(個人情報の取扱い)
個人情報保護法に配慮した条項です。サポートやソフト改善の目的でのみ個人情報を使用し、第三者への提供は行わないことを明記しています。メールアドレスや電話番号といった連絡先情報の取扱いについて、買主の不安を解消できます。
第15条(準拠法・管轄)
日本国内の取引であることを前提に、日本法の適用を明記しています。紛争が生じた場合の裁判所も売主所在地としており、売主にとって有利な取り決めとなっています。買主が遠方に住んでいても、売主の地元で裁判を行うことができます。
第16条(その他)
契約の変更は書面で行うことを定め、口約束によるトラブルを防いでいます。また、一部条項が無効になっても契約全体は有効に存続するという「可分性」の原則を確認しています。これにより、想定外の事態でも契約の基本的な効力は維持されます。