【1】書式概要
社外監査役責任限定契約書は、企業のコーポレートガバナンスを強化し、適切な監査体制を構築するための重要な法的文書です。本書式は、会社法に基づいて社外監査役の責任を合理的に限定することで、有能な人材の確保と企業の透明性向上を両立させる実務的なフレームワークを提供します。
この契約書は、上場企業をはじめとする株式会社において、社外監査役としての職責を明確にし、同時に過度な責任リスクから監査役を保護するバランス機能を果たします。責任限定額の設定や再任時の取り扱いなど、実務上頻繁に問題となる事項について確実に対応できるよう設計されています。
新たに社外監査役を選任する場面では、人材確保の観点から必須となる文書であり、既存の監査役との関係でも任期満了による再任時にその効力を維持する柔軟な運用が可能です。また、組織変更や役職変更等の場面での失効規定も明確に定められており、企業運営の実態に即した実務対応が可能です。
特に、昨今の法改正に対応した最新版フォーマットを提供することで、企業法務担当者や法律専門家が安心して使用できる書式となっています。重大過失の免責条項など、実務上重要な判断基準も適切に盛り込まれており、企業防衛の観点からも有益な契約書雛型といえます。
企業の法務部門、監査役会、総務部門などで活用いただくほか、法律事務所や監査法人、経営コンサルティング会社など、実務経験豊富な専門家の方々にも広くご活用いただける実践的な契約書テンプレートです。
〔条文タイトル〕
第1条(責任限度額)
第2条(再任の場合の効力)
第3条(責任限定契約の失効)
第4条(通知)
第5条(責任限定契約の開示)
第6条(協議事項)
第7条(合意管轄)
【2】逐条解説
第1条(責任限度額)は、社外監査役の任務懈怠による損害賠償責任を限定する核心条項です。善意かつ重大な過失がない場合に限り、責任限度額または会社法の最低責任限度額のいずれか高い額を責任の上限とする保護規定を定めています。この条項により、合理的な範囲での監査役の責任限定が可能となり、企業にとって重要な外部人材の確保につながります。
第2条(再任の場合の効力)は、社外監査役の再任時における契約効力の継続性を規定する重要条項です。再任のたびに新たな契約を締結する必要がなく、業務上の効率性と法的安定性を両立させる機能を果たします。ただし、再任時に新契約の締結を選択する柔軟性も確保されており、企業の実情に応じた運用が可能となっています。
第3条(責任限定契約の失効)は、社外監査役が業務執行サイドに転じた場合の失効規定を定めています。社外性が失われた場合には監査役としての責任限定の必要性がなくなるため、将来に向かってのみ契約が終了する点が明確に規定されており、予測可能性の高い契約運用を実現します。
第4条(通知)は、会社法上の新株予約権に関する実務対応を具体化した条項です。責任限定が適用される場合の通知義務や新株予約権証券の預託義務を定めることで、監査役の義務履行を明確化し、適正な手続執行を担保します。
第5条(責任限定契約の開示)は、法令遵守と透明性確保の観点から重要な規定です。情報開示義務を負う場合の対応を明確にすることで、コーポレートガバナンスの信頼性向上に寄与し、株主や取引先からの信頼確保にも貢献します。
第6条(協議事項)は、契約未定事項への対応規定として実務上の柔軟性を確保します。想定外の事態や追加的な取り決めが必要となった場合の基本的枠組みを提供し、円滑な当事者間協議を可能にします。
第7条(合意管轄)は、紛争解決の効率性と予測可能性を確保する管轄合意条項です。第一審専属管轄を明確に定めることで、紛争発生時の煩雑性を回避し、迅速かつ確実な解決プロセスを担保します。特に企業所在地との関連で適切な管轄裁判所を選定することで、実務的な訴訟対応も容易になります。