【1】書式概要
このテンプレートは、お金を貸した側(債権者)が確実に返済を受けるために、借りた側(債務者)が持っている株式を担保として一時的に譲り受ける契約書です。最新の改正民法に対応しているので安心してご利用いただけます。
お金を借りる際に不動産などの担保がない場合や、所有している株式を活用して資金を調達したいときに特に役立ちます。また、企業間の取引で支払いの保証として株式を使いたい場合にも最適です。
この契約書には、どのような債務を担保するのか、どの株式を担保とするのか、株券の受け渡し方法、配当金の扱い、税金などの負担、債務が返済されなかった場合の対応、そして債務が返済された後の株式の返還方法まで、必要な項目がすべて含まれています。
株式の価値が債務額より高い場合や低い場合の清算方法についても明記されているので、双方にとって公平な契約となっています。また、万が一トラブルが発生した場合の対処法も定められています。
専門用語をできるだけ避け、誰にでも理解しやすい言葉で書かれているため、法律の専門家でなくても安心して使うことができます。必要事項を書き込むだけで簡単に契約書が完成する便利なテンプレートです。
〔条文タイトル〕
第1条(被担保債権・株式譲渡担保の設定)
第2条(引き渡し等)
第3条(配当等)
第4条(公租公課)
第5条(保証)
第6条(担保権の実行)
第7条(精算)
第8条(本件株式の返還)
第9条(合意管轄)
第10条(協議)
【2】逐条解説
第1条(被担保債権・株式譲渡担保の設定)
ここでは、どんな借金(被担保債権)を保証するために、どの会社のどんな株式をいくつ担保にするのかを具体的に書きます。借金の詳細(誰が貸して誰が借りたのか、いくら借りたのか、いつまでに返すのか、金利はいくらか)と、担保にする株式の情報(会社名、株式の種類、株数)を明確にします。
第2条(引き渡し等)
契約を結ぶときに、株券を借りる人から貸す人に渡すことと、株主名簿の名前を借りる人から貸す人に変えることを決めています。これで正式に株式が担保として移ったことが明らかになります。
第3条(配当等)
担保になっている株式から得られる配当金や新株を買う権利などは、その権利が生じた時点で株主名簿に名前が載っている人のものになると定めています。つまり、名義変更後は貸した人(甲)がこれらの権利を持つことになります。
第4条(公租公課)
株式にかかる税金などは、その税金が発生した時点で株主名簿に名前がある人が払うことになります。名義変更後は貸した人(甲)が払うことになりますが、これは第3条で配当などの権利を得ることのバランスをとっています。
第5条(保証)
借りる人(乙)は、担保にする株式に他の人の権利がついていないことを約束します。もし株式に何か問題があった場合、貸した人(甲)が自分の責任と費用でそれを解決することも定めています。
第6条(担保権の実行)
借りる人(乙)がお金を返せなくなった場合、貸した人(甲)は裁判所などの手続きを経ずに担保の株式を売ったり自分のものにしたりして、その代金や価値を借金の返済に充てることができます。これが「譲渡担保」の便利なところです。
第7条(精算)
担保の株式を処分したとき、株式の価値が借金より高ければ、貸した人(甲)は余った分のお金を借りた人(乙)に返します。逆に、株式の価値が借金より低ければ、借りた人(乙)は足りない分を貸した人(甲)に支払わなければなりません。これで双方が公平になります。
第8条(本件株式の返還)
借りた人(乙)が借金を全額返済したら、貸した人(甲)は担保の株式を借りた人に返さなければなりません。これは「譲渡担保」が単なる売買ではなく、あくまで担保のための一時的な譲渡であることを示しています。
第9条(合意管轄)
もし契約についてもめごとが起きたときは、あらかじめ決めておいた特定の地方裁判所で解決することを定めています。これで裁判になった場合にどこで争うかが明確になります。
第10条(協議)
契約書に書かれていないことや、解釈があいまいな点については、貸す人と借りる人がその都度話し合って解決することを約束しています。これで予想外の問題が起きても対応できます。