【1】書式概要
こちらは改正民法に対応した寄託契約書の雛形です。物を預ける側(寄託者)の立場を守る内容になっているので、大切な物を他の人や会社に預けるときに安心して使えます。
この契約書は、例えばこんな場面で役立ちます:
- 会社の商品を倉庫業者に預けるとき
- 貴重品や重要書類を専門の保管業者に任せるとき
- 美術品やコレクションを一時的に保管してもらうとき
この雛形の特徴は、物を預かる側の責任や義務がしっかり書かれていること。特に「預かった物を丁寧に扱うこと」「勝手に使わないこと」「許可なく他の人に再び預けないこと」などが明記されています。もし預かっている間に物が傷ついたり紛失したりした場合の賠償責任も明確です。
また、契約をやめたいときのルールや、反社会的な団体との関わりがあった場合の解除条件なども含まれています。
空欄に具体的な情報(物の内容、保管場所、料金など)を埋めるだけで使えるので、法律の専門知識がなくても安心です。大企業だけでなく、個人事業主や中小企業の方々にも使いやすい内容になっています。
大切な物を他者に預けるときの不安を減らし、万が一のトラブルを防ぐための便利なツールです。
〔条文タイトル〕
第1条(本契約の目的、本目的物受領前の契約解除)
第2条(乙の義務)
第3条(責任の始期および終期)
第4条(本目的物の保管場所)
第5条(保管料)
第6条(通知義務)
第7条(本目的物の返還)
第8条(甲の損害賠償義務及び費用償還)
第9条(乙の損害賠償義務)
第10条(解除)
第11条(合意管轄)
第12条(協議)
【2】逐条解説
第1条(本契約の目的、本目的物受領前の契約解除)
この条文は「何を預けるのか」と「物を受け取る前に契約をやめるルール」を決めています。物を預ける人(甲)は、相手(乙)がまだ物を受け取っていないうちなら契約をやめられますが、その場合は相手に生じた損害を払わなければなりません。また、約束の時期を過ぎても甲が物を渡さない場合、乙は一定期間待った後で契約をやめることができます。
第2条(乙の義務)
この条文は預かる側(乙)の責任を定めています。乙は「丁寧かつ注意深く」物を保管する義務があります。また、預かった物を勝手に使ったり、他の人に預け直したりしてはいけません。どうしても他の人に預け直す必要がある場合でも、その人にも同じ責任を守らせなければなりません。
第3条(責任の始期および終期)
乙の責任はいつ始まっていつ終わるのかを明確にしています。物を受け取ったときに責任が始まり、返すときに責任が終わります。これにより「いつの時点での損害か」という争いを防ぎます。
第4条(本目的物の保管場所)
物をどこで保管するかを決めています。保管場所を変えたい場合は、正当な理由があり、事前に連絡すれば変更できます。預ける側は自分の物がどこにあるのかを常に知ることができます。
第5条(保管料)
保管の料金とその支払い方法について定めています。「いくら払うのか」「いつ払うのか」を具体的に記入する欄があります。
第6条(通知義務)
もし誰か第三者が「その物は自分のものだ」と言ってきたり、裁判や差し押さえをしてきたりした場合、乙は甲にすぐに知らせなければなりません。ただし、甲がすでに知っている場合は知らせる必要はありません。
第7条(本目的物の返還)
乙は甲が返してほしいと言ったら物を返さなければなりません。返してもらうとき、甲は物をチェックして、傷や数の過不足がないか確認します。
第8条(甲の損害賠償義務及び費用償還)
預けた物の性質や欠陥によって乙に損害が生じた場合、甲がその賠償をします。ただし、甲がその性質や欠陥を知らなかったことに大きな落ち度がない場合や、乙がそれを知っていた場合は支払う必要はありません。また、乙が物の保管のために使ったお金は、甲が物を取り戻してから1年以内に請求する必要があります。
第9条(乙の損害賠償義務)
甲の指示によるものを除き、保管中に物が汚れたり、壊れたり、紛失したりした場合、乙がすべての損害を賠償します。これは預ける側にとって重要な保証です。
第10条(解除)
契約をやめることができる場合を詳しく説明しています。例えば相手が差し押さえを受けた、破産した、事業をやめた、反社会的勢力と関わりがあるなどの場合は、すぐに契約をやめることができます。また、契約に違反した場合も、改善を求めた後一定期間経っても直らなければ契約をやめられます。
第11条(合意管轄)
もめごとが起きて裁判になった場合、どこの裁判所で争うかを決めています。これにより、遠くの裁判所に行かされるといった不便を防ぎます。
第12条(協議)
契約書に書かれていないことや、解釈が分かれる問題が出てきたら、お互いに話し合って解決することを定めています。すべてを細かく契約書に書ききれないので、この条項があることで柔軟に対応できます。