【1】書式概要
この契約書は、動産(物品・商品・設備など)を売買する際に使用する専用の契約書テンプレートです。改正民法に完全対応しており、特に買主側の権利を手厚く保護する内容となっています。
従来の売買では売主側に有利な条項が多く見られましたが、この書式では買主の立場を強化した条項構成になっています。例えば、商品に不具合があった場合の対応や、代金支払い前に商品が損傷した場合のリスク分担など、買主にとって安心できる取り決めが盛り込まれています。
実際の使用場面としては、製造業者が原材料や部品を仕入れる場合、小売業者が商品を卸売業者から購入する場合、オフィス用品や機械設備を購入する場合、在庫品を他社から譲り受ける場合など、様々な商取引で活用できます。
契約金額の大小を問わず使用でき、一括払いから分割払いまで柔軟に対応できる構成となっています。また、昨今重要視される反社会的勢力の排除条項も含まれており、コンプライアンス面でも安心してご利用いただけます。
【2】条文タイトル
第1条(本件動産の売買)
第2条(代金の支払い)
第3条(本件動産の引き渡し・所有権の移転)
第4条(危険の移転)
第5条(解除)
第6条(契約不適合)
第7条(合意管轄)
第8条(協議)
【3】逐条解説
第1条(本件動産の売買)
この条項では売買の対象となる動産と代金額を明確に定めています。動産とは不動産以外の有体物のことで、機械、商品、原材料、車両など移動可能な財産を指します。例えば、印刷会社が新しい印刷機を購入する場合や、レストランが厨房設備を導入する場合などが該当します。売買代金についても具体的な金額を記載することで、後日のトラブルを防止しています。
第2条(代金の支払い)
支払方法と支払期限を定める重要な条項です。一括払いの場合は支払期限を、分割払いの場合は各回の支払額と支払日を明記します。実務では、高額な設備購入時に頭金と月々の分割払いを組み合わせたり、商品納入後30日以内の支払いとしたりするケースが多く見られます。この条項により支払いスケジュールが明確になり、資金計画も立てやすくなります。
第3条(本件動産の引き渡し・所有権の移転)
代金支払いと商品引き渡しの同時履行を原則とし、引き渡し場所も明確にしています。所有権の移転時期も引き渡し時と定めることで、買主の権利を保護しています。例えば、工場で製造機械を購入する場合、設置場所での引き渡しと同時に所有権が移転するため、それ以降は買主の責任で管理することになります。
第4条(危険の移転)
商品の滅失や損傷リスクがいつ売主から買主に移るかを定めた条項です。引き渡し前に天災などで商品が損傷した場合、買主は代金を支払う必要がないとしており、買主に有利な内容となっています。台風や地震で倉庫の在庫が被害を受けた場合でも、まだ引き渡し前であれば買主のリスクではないということです。
第5条(解除)
売主が契約を解除できる事由を詳細に定めています。買主の財政状況悪化や反社会的勢力との関わりなど、様々なケースを想定しています。特に反社条項は現代のビジネスでは必須の項目となっており、暴力団関係者との取引を未然に防ぐ効果があります。例えば、買主企業の経営陣に反社会的勢力の関係者がいることが判明した場合、売主は即座に契約を解除できます。
第6条(契約不適合)
改正民法で新設された契約不適合責任について定めた最重要条項です。商品が契約内容と異なる場合の買主の権利を保護しています。従来の瑕疵担保責任よりも買主に有利な内容となっており、修補請求や代金減額請求が可能です。例えば、注文した機械の性能が仕様書と異なる場合、買主は修理を求めるか、性能不足分の代金減額を請求できます。3年間の期間制限も明記されています。
第7条(合意管轄)
契約に関する紛争が生じた場合の裁判所を事前に決めておく条項です。専属的合意管轄とすることで、他の裁判所への提訴を防いでいます。例えば、東京の会社と大阪の会社が取引する場合、どちらか一方の地域の裁判所を指定しておくことで、紛争時の対応がスムーズになります。
第8条(協議)
契約書に定めのない事項や解釈に疑義が生じた場合の解決方法を定めています。まずは当事者間での話し合いによる解決を目指すという基本姿勢を示しており、円満な取引関係の維持に寄与します。実際のビジネスでは、細かな条件変更や追加要望が出ることも多く、この条項により柔軟な対応が可能になります。