【1】書式概要
この内容証明郵便は、企業間取引において代金の一部が未払いとなった際に、債務者に対して支払いを督促するための書面です。改正民法にも対応した実用的な雛型として、多くの経営者や法務担当者にご活用いただいています。
特に建設業や製造業、卸売業などで継続的な取引を行っている企業において、月末締めや翌々月払いといった掛け売り取引で発生しがちな代金未払い問題を解決する際に威力を発揮します。単なる請求書や督促状とは異なり、内容証明郵便として送付することで相手方に心理的プレッシャーを与え、任意での支払いを促進する効果が期待できます。
この書面は、既に一部の支払いは受けているものの、残額について支払いが滞っているケースを想定して作成されており、実際のビジネス現場でよく発生する状況に対応できるよう工夫されています。工事代金の分割払いや、複数月にわたる継続的な商品供給契約など、様々な取引形態に応用可能な汎用性の高い構成となっているのが特徴です。
実際の使用場面としては、取引先からの支払いが約束の期日を過ぎても入金されない場合、電話や通常の督促状では効果が薄い場合、今後の取引継続を前提としながらも支払いを確実にしたい場合などが挙げられます。内容証明郵便という形式を取ることで、後の法的手続きの際の重要な証拠にもなり得るため、債権回収の初期段階として非常に有効な手段といえるでしょう。
【2】条文タイトル
第1項(取引開始の経緯)
第2項(売買契約の締結内容)
第3項(支払状況の確認)
第4項(一部支払いの事実)
第5項(残債務の確認)
第6項(支払請求と期限設定)
【3】逐条解説
第1項(取引開始の経緯)
この項目では、当事者間の取引関係がいつから始まったのか、どのような支払条件で取引を行ってきたのかを明確にしています。「月末締め・翌々月●●日払い」という具体的な支払条件を記載することで、相手方との間で支払期日について合意があったことを証明する重要な記述となります。例えば、4月の取引分であれば6月の特定日に支払われるべきであることが明確になります。
第2項(売買契約の締結内容)
具体的な契約内容を詳細に記載する部分です。目的物、代金総額、代金内訳を明示することで、何に対していくらの代金が発生しているのかを明確にします。工事関連の取引を例にしていますが、商品販売や役務提供など様々な取引に応用できます。税込み価格を明記することで、消費税についても支払義務があることを明確にしています。
第3項(支払状況の確認)
現在までの支払状況を客観的に記載します。いつ時点で、どの部分の代金がいくら支払われ、どの部分がいくら未払いなのかを具体的な金額とともに示します。これにより、債務者側も自らの支払状況を正確に把握でき、認識の齟齬を防ぐことができます。
第4項(一部支払いの事実)
その後に行われた一部支払いについて記載します。支払いの事実を認めることで、債務の存在自体は相手方も認識していることを暗に示し、残債務についても支払義務があることを印象付けます。日付と金額を明確にすることで、記録の正確性を担保しています。
第5項(残債務の確認)
現時点での未払い金額を明確に提示します。これまでの記載内容を踏まえ、最終的にいくらの支払いが必要なのかを明示することで、相手方が支払うべき金額について誤解の余地をなくします。
第6項(支払請求と期限設定)
具体的な支払期限と支払方法を明示した最も重要な部分です。「本書到達後7日以内」という期限設定により、相手方に適度なプレッシャーを与えながらも、実際に支払い手続きを行うのに十分な時間を確保しています。銀行振込による支払いを指定し、具体的な口座情報を記載することで、支払い方法についても明確にしています。