【1】書式概要
「介護老人保健施設利用契約書」のご案内
この契約書テンプレートは、介護施設と利用者さんの間で取り交わす大切な約束事を簡潔にまとめたものです。民法改正に対応した最新版なので安心してお使いいただけます。
どんな時に役立つの?
- お年寄りが介護老人保健施設に入所する際の手続きに
- ご家族が身元引受人になる時の責任範囲を明確にしたい時に
- 施設側が法律に沿った適切な契約を結びたい時に
この契約書には何が書いてあるの?
- サービスの目的と期間
- いつでも退所できる利用者の権利
- 施設側が契約を終了できる条件
- 利用料金の支払い方法
- 緊急時の対応方法
- 事故が起きた時の責任範囲
- 個人情報の取り扱い方
難しい法律用語もありますが、実際の利用場面を想定した内容になっているので、施設運営者にも利用者家族にも分かりやすい内容です。これ一つで必要な約束事がカバーできるので、安心して介護サービスを利用・提供するための土台となります。
必要に応じて施設名や料金などを書き換えるだけで、すぐにお使いいただける便利なテンプレートです。
〔条文タイトル〕
第1条(契約の目的)
第2条(適用期間)
第3条(利用者からの解除)
第4条(当施設からの解除)
第5条(利用料金)
第6条(記録)
第7条(身体の拘束等)
第8条(秘密の保持及び個人情報の保護)
第9条(緊急時の対応)
第10条(事故発生時の対応)
第11条(要望又は苦情等の申出)
第12条(賠償責任)
第13条(本契約に定めのない事項)
【2】逐条解説
第1条(契約の目的)
この条文では、「なぜこの契約を結ぶのか」を説明しています。介護施設は利用者さんが自分らしく生活できるようサポートし、最終的には自宅に戻れるよう支援します。その代わりに利用者さんと身元引受人は施設にサービス料金を支払うという、基本的な約束事を定めています。
第2条(適用期間)
契約はいつから効力を持ち、どれくらい続くのかを定めています。契約書にサインした日から有効になります。身元引受人が変わる場合は新たに同意が必要です。また、契約内容に変更がなければ、初回の契約書をそのまま使って繰り返し施設を利用できます。
第3条(利用者からの解除)
利用者さんはいつでも施設を退所できる権利があることを保証しています。「もう退所したい」と伝えるだけで契約を終了できます。これは利用者さんの意思を最大限尊重するための大切な条文です。
第4条(当施設からの解除)
施設側が契約を終了できるのは、次の場合だけと限定しています:
第5条(利用料金)
お金の支払いに関する約束です。利用者さんと身元引受人は一緒に責任を持って、毎月の利用料金を支払います。施設は前月分の請求書を送り、決められた日までに支払いを受けます。支払いを受けたら領収書を発行します。
第6条(記録)
施設はサービス内容の記録を作り、利用終了後5年間保管します。利用者さんはこの記録を見たり、コピーをもらったりする権利があります。ただし、ご家族など他の人が記録を見るには、原則として利用者さん本人の承諾が必要です。
第7条(身体の拘束等)
原則として、利用者さんの体を拘束することはありません。ただし、自分や他人を傷つける恐れがある緊急時には、施設の責任者の判断と家族の同意を得て、一時的に行動を制限することがあります。その場合、医師が理由や方法などを詳しく記録します。
第8条(秘密の保持及び個人情報の保護)
施設と職員は、利用者さんやご家族の個人情報を守る義務があります。法律で定められた場合や、命を守るために必要な場合などの特別な理由がない限り、勝手に他の人に情報を伝えることはありません。この約束は施設を退所した後も続きます。
第9条(緊急時の対応)
利用者さんの体調が急に悪くなった場合の対応方法です。施設の医師が必要と判断したら、提携している病院で診察を受けてもらいます。施設では対応できない専門的な治療が必要なら、適切な医療機関を紹介します。また、急変時には指定された連絡先にすぐに連絡します。
第10条(事故発生時の対応)
事故が起きた場合、施設はまず必要な応急処置を行います。専門的な治療が必要なら病院に連れて行きます。また、ご家族や役所にも速やかに連絡します。利用者さんの安全を第一に考えた対応を約束しています。
第11条(要望又は苦情等の申出)
サービスへの要望や不満がある場合の相談方法です。担当の相談員に直接伝えるか、施設内の「提案箱」に意見を入れることができます。利用者さんの声を大切にし、より良いサービスにつなげるための仕組みです。
第12条(賠償責任)
万が一、施設側の責任で利用者さんが怪我をしたり、物が壊れたりした場合は、施設が責任を持って賠償します。ただし、利用者さん側が重要な情報を隠していた場合や、施設の指示に従わなかったことが原因の場合などは除きます。反対に、利用者さんが施設に損害を与えた場合は、賠償責任があります。
第13条(本契約に定めのない事項)
契約書に書いていないことが起きた場合は、介護保険法などの法律に従いながら、お互いに誠意を持って話し合って解決します。すべての状況を事前に想定することは難しいため、柔軟に対応するための条文です。