【1】書式概要
本契約書雛型は、チラシ印刷業務を外部業者に委託する際に必要な基本条項を網羅した実用的な書式です。印刷会社に依頼する側(甲)と印刷を受託する側(乙)の間で締結するための契約書として、発注から納品、検収までの流れを明確に規定しています。
この契約書は、広告チラシやイベント告知、セール案内など様々な商業印刷物の制作において活用できます。特に小売業、サービス業、イベント主催者、各種団体など、定期的にチラシ印刷を外注する事業者に最適です。
本契約書には、印刷業務の委託目的、代金支払条件、原稿の引渡し、色校正の提供と承認手続き、納品方法、検査基準などの重要事項が明記されています。また秘密保持義務や遅延損害金、契約解除条件、版権の帰属など、トラブル予防のための条項も充実しています。さらに改正民法に対応しているため、最新の法的要件を満たした内容となっています。
初めて印刷を外注する方でも安心して使える明確な構成で、必要に応じて空欄部分を埋めるだけで簡単にカスタマイズできます。定期的なチラシ作成の際にも継続して使用でき、印刷業務における権利義務関係を明確にすることで、スムーズな業務進行と万一のトラブル防止に役立ちます。
〔条文タイトル〕
第1条(委託目的)
第2条(印刷代金)
第3条(原稿の引渡し)
第4条(色校の提供)
第5条(納品)
第6条(検査)
第7条(秘密保持)
第8条(遅延損害金)
第9条(契約解除)
第10条(契約解除後の措置)
第11条(中間生成物の帰属)
第12条(協議事項)
第13条(合意管轄)
【2】逐条解説
第1条(委託目的)
この条項では契約の基本的な目的を定めています。甲(発注者)が乙(印刷会社)にチラシの印刷業務を委託する関係を明確にしています。また、具体的な納品場所や部数などの詳細は別途発注書で指定することを定めており、柔軟な運用を可能にしています。
第2条(印刷代金)
印刷業務の対価とその支払方法について規定しています。金額、支払期限、支払方法(振込)を明記し、振込手数料は甲(発注者)負担であることも明確にしています。代金の支払いは納品完了後としており、成果物の履行と対価の支払いのバランスを取っています。
第3条(原稿の引渡し)
印刷の元となる原稿の引渡し期限と、それを受けた後の初校作成・引渡しの期限を定めています。制作プロセスの最初のステップを時間的に管理することで、全体のスケジュール管理を容易にする条項です。
第4条(色校の提供)
校正完了後の印刷見本(色校正)の提供と、その承認プロセスについて定めています。特に不合格の場合の理由明示義務と修正プロセスを規定しており、品質確保のための重要な条項となっています。
第5条(納品)
承認された印刷見本に基づく印刷着手から納品までのプロセスと期限を定めています。納品時には納品書の交付も義務付けており、履行の証明と記録のためのルールを設けています。
第6条(検査)
納品後の検査プロセスを詳細に規定しています。検査期限、合格基準、検査費用負担、不合格時の通知方法と再履行について明確なルールを設けており、納品物の品質確保のための重要な条項です。期限内に通知がない場合は自動的に合格とみなす規定も盛り込まれています。
第7条(秘密保持)
契約を通じて知り得た相手方の秘密情報の保持義務について規定しています。秘密保持の例外となる情報の類型を明確にし、再委託時の秘密情報取扱いについても定めています。情報の適切な管理と保護のための包括的な条項です。
第8条(遅延損害金)
契約履行の遅延が生じた場合の賠償について定めています。遅延損害金の算定方法(年率×日数)を明確にすることで、履行の遅延防止と適正な損害填補を図っています。
第9条(契約解除)
契約を解除できる事由を明確に列挙しています。信頼関係の破壊、経営状況の悪化、法的処分、事業譲渡、反社会的勢力との関係などの場合に、催告なしに解除できることを定めています。特に反社会的勢力排除条項の詳細な記載は現代の契約書として重要です。
第10条(契約解除後の措置)
契約解除時の完成品の取扱い、代金支払い、貸与品の返還義務など、解除後の措置について具体的に定めています。契約が終了した後のトラブルを防止するための条項です。
第11条(中間生成物の帰属)
版下や印刷版など、制作過程で生じる中間生成物の所有権は印刷会社(乙)に帰属するが、その利用には甲の許可が必要なことを定めています。知的財産権や資産の帰属を明確にすることでトラブルを防止します。
第12条(協議事項)
契約書に明記されていない事項が生じた場合の対応方法を定めています。当事者間の協議によって解決を図ることを規定し、契約書の不備や想定外の事態に柔軟に対応するための条項です。
第13条(合意管轄)
紛争が生じた場合の管轄裁判所を予め定めています。訴訟になった場合の裁判所を明確にすることで、紛争解決の透明性と効率性を高めるための条項です。