【1】書式概要
こちらのソフトウェア著作権譲渡契約書は、ソフトウェア開発者が制作したプログラムの著作権を第三者に譲渡する際に必要な法的枠組みを提供する雛形です。2020年の改正民法に対応しており、著作権の移転、譲渡代金の支払条件、納品と検収のプロセス、契約不適合責任、秘密情報や個人情報の取扱いなど、重要な条項を網羅しています。
特に、著作権法第27条(翻案権)と第28条(二次的著作物の利用に関する権利)を明確に含めることで、譲受人がソフトウェアを改変・拡張する権利を確保できる点が実務上重要です。また、著作者人格権の不行使や著作権登録への協力義務など、ソフトウェアビジネスの実態に即した規定も盛り込まれています。
この契約書は譲渡人と譲受人双方の権利義務を明確にし、将来的なトラブルを未然に防ぐための完成度の高い内容となっています。ソフトウェア開発会社、フリーランス開発者、スタートアップ企業など、ソフトウェア著作権の譲渡を検討している方々に最適な雛形です。必要に応じて条項を調整するだけで、実務ですぐに活用できる実用的な契約書として、安心してご利用いただけます。
〔条文タイトル〕
第1条(目的)
第2条(著作物の対象)
第3条(譲渡代金)
第4条(譲渡期日)
第5条(納品)
第6条(本件著作物の検収)
第7条(契約不適合責任)
第8条(納入物の所有権及び著作権)
第9条(秘密情報の取扱い)
第10条(個人情報)
第11条(期限の利益喪失)
第12条(損害賠償)
第13条(権利義務譲渡の禁止)
第14条(不可抗力)
第15条(合意管轄)
第16条(契約内容の変更)
【2】逐条解説
第1条(目的)
この条項では契約の基本的な目的を明確にしています。ソフトウェア著作権の譲渡に関する必要事項を定めることが契約の主たる目的であると宣言しています。これにより契約の解釈において判断基準となる根本的な合意内容を示しています。
第2条(著作物の対象)
譲渡対象となるソフトウェア「本件著作物」を特定し、その詳細は別途ソフトウェア仕様書に定めることを規定しています。また、著作物が第三者の知的財産権を侵害していないことの保証や、特許権に関する取り決めも含まれています。これにより譲受人は安心して著作権を取得できます。
第3条(譲渡代金)
著作権譲渡の対価として支払われる金額、支払時期、支払方法について定めています。特に、一部前払いと検収後の残金支払いという段階的な支払い方式を採用している点が実務上有益です。
第4条(譲渡期日)
著作権の譲渡が行われる具体的な日付を定めています。この日付は納品のタイミングと関連付けられています。
第5条(納品)
著作物の納品に関する条件を規定しています。納品場所、協力義務、そして重要な点として危険負担の移転時期(納品時点)を明確にしています。これにより納品前後の責任の所在が明確になります。
第6条(本件著作物の検収)
納品された著作物の検査方法と検収の完了について定めています。検査期間を10営業日と具体的に定めることで、検収プロセスの透明性を確保しています。
第7条(契約不適合責任)
改正民法に対応した条項で、従来の「瑕疵担保責任」に代わる概念です。検収後に発見された契約不適合(仕様との不一致など)に対する修正義務と、その請求期間(6ヶ月)を明確にしています。
第8条(納入物の所有権及び著作権)
著作権の移転時期を譲渡代金支払時と明確に定め、著作権法27条の翻案権や28条の二次的著作物の利用権も含まれることを明示しています。また著作者人格権の不行使や著作権登録への協力義務も規定しており、譲受人がソフトウェアを自由に活用できる環境を整えています。
第9条(秘密情報の取扱い)
秘密情報の定義、秘密保持義務、使用範囲、管理措置などを詳細に規定しています。特に秘密情報の例外事項を明確にし、契約終了後も効力が続く点が重要です。
第10条(個人情報)
個人情報保護法に基づく個人情報の取扱いについて規定しています。第三者への漏洩禁止、管理措置、使用範囲の制限、契約終了後の返還・処分義務などを定め、プライバシー保護を強化しています。
第11条(期限の利益喪失)
一方当事者が契約違反や経営破綻などの信用不安状態に陥った場合に、相手方が催告なしに契約を解除できる条件を列挙しています。取引の安全を確保するための重要な条項です。
第12条(損害賠償)
契約履行に関連して発生した損害に対する賠償請求権について定めています。責任の所在を明確にし、損害発生時の対応の基準となります。
第13条(権利義務譲渡の禁止)
契約上の地位や権利義務を第三者に譲渡することを原則として禁止しています。これにより当事者間の信頼関係に基づく契約の安定性を確保しています。
第14条(不可抗力)
天災地変や戦争など当事者の責めに帰さない事由による履行遅延や不能の場合の免責を定めています。予見できない事態に対するリスク分担の指針となります。
第15条(合意管轄)
訴訟が生じた場合の管轄裁判所を譲受人(乙)の本店所在地を管轄する裁判所と定めています。これにより紛争解決の場所が予め明確になります。
第16条(契約内容の変更)
契約内容の変更には書面による変更契約の締結が必要であることを明記しています。口頭での変更を認めないことで契約の安定性と証明可能性を確保しています。