【1】書式概要
この契約書は、企業がコンサルタントに業務を委託する際に必要となる取り決めを明文化したものです。近年、企業経営の専門性が高まる中で、外部の専門家に助言や指導を求める場面が増えています。そうした時に、お互いの権利と義務をはっきりさせておくことが、後々のトラブルを防ぐ重要なポイントになります。
改正民法に完全対応しているため、現在の制度に沿った内容で安心してご利用いただけます。Word形式で作成されており、必要な箇所を簡単に編集できるよう工夫されています。会社名や報酬額、契約期間など、実際の取引内容に合わせて自由に変更可能です。
実際の使用場面としては、経営コンサルタントを招いて事業戦略の立案をお願いする場合、IT専門家にシステム導入のアドバイスを求める場合、マーケティングの専門家に販売戦略の見直しを依頼する場合などが考えられます。また、継続的な顧問契約を結ぶ際や、特定のプロジェクトに限定した委託を行う際にも活用できます。
契約書には報酬の支払い方法、秘密保持の取り決め、契約期間と解除条件、紛争時の管轄裁判所など、実務上重要な項目がすべて盛り込まれています。特に秘密保持については、コンサルタントが企業の機密情報に触れる機会が多いことを考慮し、十分な配慮がなされています。
このテンプレートを使用することで、専門家との契約を適切に結ぶことができ、双方にとって安全で信頼性の高い業務関係を構築できるでしょう。
【2】条文タイトル
第1条(契約の成立) 第2条(報酬の支払) 第3条(秘密保持) 第4条(契約期間及び解除) 第5条(合意管轄) 第6条(協議事項)
【3】逐条解説
第1条(契約の成立)
この条文は契約の基本的な内容を定めています。委託者(発注側の企業)が受託者(コンサルタント)に対して、経営や企画に関する助言・指導サービスの提供を委託することを明記しています。ここで重要なのは、具体的にどのような業務を委託するかを明確にすることです。例えば「売上向上のためのマーケティング戦略立案」「業務効率化のためのシステム導入支援」など、できるだけ具体的に記載することで、後の紛争を防げます。
第2条(報酬の支払)
報酬に関する取り決めを定めた条文です。月額での支払いを基本とし、消費税は別途とすることが明記されています。振込手数料は委託者負担とするのが一般的です。また、通常の顧問業務とは別に、特別な調査や書面作成などの依頼があった場合は別途協議して報酬を決めるという規定も含まれています。これにより、想定外の業務に対する対価も適切に設定できます。実際の運用では、例えば月次の経営会議への参加は基本報酬に含まれるが、特別な市場調査レポートの作成は別途費用が発生する、といった使い分けが可能です。
第3条(秘密保持)
コンサルタント業務では企業の機密情報に接する機会が多いため、秘密保持に関する規定は特に重要です。この条文では、業務で知り得た営業上・技術上の秘密情報を、契約期間中だけでなく契約終了後も第三者に漏らしてはならないことを定めています。さらに、コンサルタントが関与させる従業員や協力者に対しても同様の義務を課すことで、情報漏洩のリスクを最小限に抑えています。例えば、新商品の開発計画や顧客リスト、財務情報などの機密情報が適切に保護されることになります。
第4条(契約期間及び解除)
契約期間を1年間とし、期間満了の3か月前までに申し出がない場合は自動延長される仕組みを採用しています。これにより、双方が満足している場合は継続的な関係を維持できます。一方で、期間中であっても1か月前の書面通知により、いずれの当事者も契約を解除できる規定も設けています。この条文により、長期的な関係構築と柔軟な契約終了の両方を実現できます。例えば、プロジェクトが予想以上に早く完了した場合や、経営方針の変更により外部コンサルタントが不要になった場合でも、適切に契約を終了できます。
第5条(合意管轄)
万が一紛争が発生した場合の管轄裁判所を事前に定めておく条文です。委託者または受託者のいずれかの本店所在地を管轄する地方裁判所を専属的合意管轄とすることで、紛争解決の場所を明確にしています。これにより、遠隔地での訴訟による負担を避けることができます。実際の契約書作成時には、どちらの本店所在地にするかを協議して決めることになります。
第6条(協議事項)
契約書に定めがない事項が発生した場合や、条項の解釈に疑義が生じた場合の対応方法を定めています。まずは当事者間で誠意をもって協議・解決することを基本とし、いきなり法的手段に訴えるのではなく、話し合いによる解決を優先する姿勢を示しています。これにより、良好な関係を維持しながら問題解決を図ることができます。例えば、業務範囲の解釈に違いが生じた場合でも、まずは双方で話し合いの場を設けることで、関係を悪化させることなく解決を目指せます。
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