【1】書式概要
この契約書は、ゲームソフトの制作・開発を外部企業に委託する際に必要不可欠な書類です。特にアニメーション作品やキャラクターを原作としたゲーム化プロジェクトにおいて、委託者と受託者の間で発生する様々な権利義務関係を明確に定めています。
近年のゲーム業界では、多くの企業が自社のリソースを効率的に活用するため、専門性の高い開発業務を外部に委託するケースが増えています。そうした場面でこの契約書が威力を発揮します。改正民法にも対応しており、従来の瑕疵担保責任から契約不適合責任への変更も適切に反映されています。
この書式は、ゲーム開発会社がアニメ制作会社から原作の使用許諾を得てゲーム化を進める際や、大手パブリッシャーが独立系デベロッパーに開発を委託する際などに活用できます。また、モバイルゲームアプリの開発委託や、家庭用ゲーム機向けソフトウェアの制作委託など、幅広いシーンで使用可能です。
著作権の帰属先を明確にし、第三者の知的財産権侵害に対する保証条項も含んでいるため、権利関係が複雑になりがちなゲーム開発プロジェクトでも安心して利用できます。秘密保持や再委託の制限、反社会的勢力の排除など、現代のビジネス環境に必要な条項もしっかりと盛り込まれています。
Word形式での提供となりますので、プロジェクトの内容や取引条件に応じて自由に編集・カスタマイズしていただけます。委託料や納期、仕様書の内容など、具体的な条件は貴社の状況に合わせて調整してください。
【2】条文タイトル
第1条(目的) 第2条(委託業務) 第3条(委託業務の内容) 第4条(委託期間) 第5条(委託料) 第6条(成果物の納品) 第7条(検収) 第8条(契約不適合責任) 第9条(著作権) 第10条(権利非侵害の保証) 第11条(秘密保持) 第12条(再委託の禁止) 第13条(契約の解除) 第14条(損害賠償) 第15条(反社会的勢力の排除) 第16条(協議事項) 第17条(管轄裁判所)
【3】逐条解説
第1条(目的)
この条文は契約全体の根幹を成す部分で、何のためにこの契約を結ぶのかを明確にしています。単なる業務委託ではなく、ゲームソフト制作という特殊な分野での委託であることを強調し、当事者間の権利義務を整理する目的を示しています。
第2条(委託業務)
委託する業務の概要を定めています。重要なのは、受託者がすでにゲーム化権の許諾を受けているアニメーション作品を原作とする点です。例えば、人気アニメ「鬼滅の刃」のゲーム化権を持つ会社が、実際の開発を専門会社に委託する場合などが想定されます。
第3条(委託業務の内容)
具体的な業務内容は別紙仕様書で定めるとしており、契約書本体をスリムに保ちながら詳細な技術仕様は別途管理できる構造になっています。また、開発の進捗に応じて仕様変更も可能としており、ゲーム開発特有の柔軟性に配慮しています。
第4条(委託期間)
開発期間を明確に定めることで、プロジェクトの時間管理を行います。ゲーム開発では発売日が重要な要素となるため、期間の設定は慎重に行う必要があります。
第5条(委託料)
開発費用の総額と支払方法を定めています。ゲーム開発では多額の費用が発生するため、分割払いや成果物の完成度に応じた段階的支払いが一般的です。
第6条(成果物の納品)
完成したゲームソフトの納品について定めています。ソースコードや実行プログラム、関連ドキュメントまで含めることで、将来のメンテナンスや改良にも対応できるようにしています。
第7条(検収)
納品された成果物の検査期間と手続きを定めています。ゲームソフトの場合、動作確認やバグチェックなど複雑な検証が必要なため、適切な検収期間の設定が重要です。
第8条(契約不適合責任)
改正民法に対応した条文で、従来の瑕疵担保責任から契約不適合責任に変更されています。ゲームにバグが発見された場合の修正対応や、仕様通りに動作しない場合の対処方法を明確にしています。
第9条(著作権)
ゲーム開発において最も重要な条項の一つです。完成したゲームの著作権は委託者に帰属し、受託者は著作者人格権を行使しないことを定めています。これにより、委託者は安心してゲームの商用展開を行えます。
第10条(権利非侵害の保証)
第三者の知的財産権を侵害しないことを受託者が保証する条文です。例えば、他社のゲームエンジンを無断使用したり、他社キャラクターに類似したデザインを使用したりしないことを約束します。
第11条(秘密保持)
ゲーム開発では企画段階から機密情報が多く含まれるため、秘密保持義務を明確にしています。新作ゲームの内容が事前に漏洩することを防ぐ重要な条項です。
第12条(再委託の禁止)
受託者が勝手に他社に開発を丸投げすることを禁止しています。ゲーム開発では技術力やノウハウが重要なため、委託者が信頼する会社に直接開発してもらうことが前提となります。
第13条(契約の解除)
契約違反があった場合の解除手続きを定めています。開発の遅延や仕様からの逸脱などが是正されない場合に、契約を終了できる仕組みを提供しています。
第14条(損害賠償)
契約違反による損害の賠償責任を定めています。ゲーム開発では発売延期による機会損失なども考慮する必要があります。
第15条(反社会的勢力の排除)
現代のビジネス契約では標準的な条項で、暴力団などの反社会的勢力との関係を完全に排除することを約束しています。上場企業などでは特に重要視される条項です。
第16条(協議事項)
契約に定めのない事項や解釈に疑義が生じた場合の解決方法を定めています。まずは当事者間での話し合いによる解決を目指します。
第17条(管轄裁判所)
万が一紛争が発生した場合の裁判所を事前に決めています。これにより、どこで裁判を行うかで揉めることを防げます。
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