【1】書式概要
インターネット通信販売事業譲渡契約書の雛型をご提供いたします。この契約書テンプレートは、ECサイト事業の譲渡を検討されている事業者様に最適な内容となっております。
本契約書雛型は、改正民法に対応した最新の法的要件を満たしており、インターネット通信販売事業の譲渡に必要な重要事項を網羅しています。
具体的には、譲渡対象資産の明確な定義、譲渡価額と支払方法、在庫確認と価格調整の方法、システムやデータの引継ぎ手順、顧客への通知方法、従業員の承継、表明保証や秘密保持義務など、ECサイト事業譲渡特有の課題に対応した条項を詳細に規定しています。
特に、顧客データの取扱いやシステム移行、ドメイン名やURL等のウェブ上の識別子の譲渡、商品在庫の実地棚卸による価格調整など、オンラインビジネス特有の移行プロセスを法的に保護する条項を含んでいるため、トラブルを未然に防ぎスムーズな事業譲渡を実現できます。
別紙には譲渡対象資産の明細を記載する様式も含まれており、ECサイトの仕様、有形・無形資産、引継対象となる契約などを明確に特定することが可能です。これにより、譲渡後のトラブルを防止し、両当事者の権利義務関係を明確にすることができます。
この契約書雛型は、必要に応じて各事業の特性や当事者間の合意に基づいてカスタマイズすることを前提としていますので、ご自身のビジネスモデルに合わせて適宜修正してご利用ください。なお、重要な法律文書ですので、最終的には弁護士等の専門家のアドバイスを受けることをお勧めいたします。
〔条文タイトル〕
第1条(目的)
第2条(定義)
第3条(営業譲渡)
第4条(譲渡日)
第5条(譲渡対象資産)
第6条(譲渡価額及び支払方法)
第7条(在庫の確認及び価格調整)
第8条(代金の決済)
第9条(システムの引継ぎ)
第10条(データの移管)
第11条(顧客への通知)
第12条(取引先との契約)
第13条(従業員の承継)
第14条(表明保証)
第15条(瑕疵担保責任)
第16条(秘密保持)
第17条(競業避止)
第18条(契約不履行)
第19条(反社会的勢力の排除)
第20条(譲渡禁止)
第21条(協議解決)
第22条(管轄裁判所)
別紙【譲渡対象資産明細】
【2】逐条解説
第1条(目的)
本条は契約の目的を明示しています。ECサイト事業を譲渡人から譲受人へ譲渡することに関する基本的事項を定めることが本契約の目的であると明確に規定しています。契約の解釈や紛争時に、当事者の意図を確認する基準となります。
第2条(定義)
契約で使用する重要な用語の定義を行っています。「本件ECサイト」「譲渡日」「譲渡対象資産」「顧客データ」などの用語を明確に定義することで、契約解釈の曖昧さを防ぎ、後の紛争リスクを減少させる役割を果たします。
第3条(営業譲渡)
本件事業に関する一切の権利義務を譲渡人から譲受人へ譲渡することを基本的に合意する条項です。この条項により、本契約が事業譲渡契約であることが明確になります。
第4条(譲渡日)
事業譲渡の効力発生日を明確に定めています。この日付が契約上の重要な基準日となり、この日を境に権利義務の帰属が移転します。
第5条(譲渡対象資産)
譲渡の対象となる資産を詳細に列挙しています。ECサイト特有の資産(ドメイン名、URL、ソースコード、顧客データなど)を具体的に挙げることで、譲渡対象の明確化を図っています。また、詳細は別紙に記載することで、柔軟な対応を可能にしています。
第6条(譲渡価額及び支払方法)
譲渡の対価、その内訳、支払方法を明確に規定しています。特に内訳を有形固定資産、無形固定資産、棚卸資産、のれん代に分けることで、税務上の処理も明確になります。また分割払いの方法も規定しています。
第7条(在庫の確認及び価格調整)
ECサイト運営では商品在庫が重要な資産となるため、譲渡日前日に実地棚卸を行い、予定数量との差異に応じて譲渡価額を調整する仕組みを規定しています。これにより公平な取引が確保されます。
第8条(代金の決済)
譲渡日前後の売上代金の帰属を明確にしています。特に譲渡日前に受注し譲渡日以降に出荷する商品に関する取扱いを明確にすることで、移行期の曖昧さを解消しています。
第9条(システムの引継ぎ)
ECサイト特有の要素として、システム面の引継ぎに関する詳細を規定しています。管理者アカウント、サーバー情報、決済サービス情報など、運営に必要な情報の引継ぎと、移行期の技術的支援について定めています。
第10条(データの移管)
ECサイトの重要資産である各種データの移管について規定しています。会員データベース、商品データ、受注データなどの移管方法と、データ保護や法令遵守の観点も含めて規定しています。
第11条(顧客への通知)
事業譲渡に際して顧客への通知義務を規定しています。通知の時期や内容を詳細に定めることで、顧客の信頼を維持し、個人情報保護法上の義務も果たします。
第12条(取引先との契約)
取引先との契約上の地位の譲渡に関する手続きを規定しています。承諾が得られない場合の対応も含め、事業継続の観点から重要な条項です。
第13条(従業員の承継)
本件事業に従事する従業員の雇用契約上の地位の承継について規定しています。労働条件の維持も明記することで、従業員の保護と事業の円滑な継続を図っています。
第14条(表明保証)
譲渡人が本件事業に関して表明・保証する事項を列挙しています。権利の適法な保有、必要な許認可の取得、知的財産権の侵害がないことなど、重要な事項について保証することで、譲受人の安全を確保しています。
第15条(瑕疵担保責任)
譲渡対象資産に隠れた瑕疵があった場合の責任について規定しています。責任期間を6ヶ月と定め、瑕疵発見時の通知義務も規定しています。
第16条(秘密保持)
契約に関して知り得た相手方の秘密情報の取扱いを規定しています。秘密情報の定義、例外事項、義務の存続期間を明確にすることで、情報管理の枠組みを提供しています。
第17条(競業避止)
譲渡人による競業を一定期間禁止する条項です。具体的な禁止行為と違反時の違約金を定めることで、のれん価値の保護を図っています。
第18条(契約不履行)
契約違反時の解除権と損害賠償請求権を規定しています。相当期間を定めた催告を経て解除できるとする一般的な規定となっています。
第19条(反社会的勢力の排除)
反社会的勢力との関係がないことの表明保証と、違反時の無催告解除権を規定しています。現代の契約では標準的に盛り込まれる条項です。
第20条(譲渡禁止)
契約上の地位や権利義務の第三者への譲渡を禁止する条項です。当事者間の信頼関係に基づく契約であることを担保します。
第21条(協議解決)
契約に定めのない事項や解釈の疑義が生じた場合の解決方法を規定しています。誠実協議条項は多くの契約で一般的に用いられます。
第22条(管轄裁判所)
紛争時の管轄裁判所を定める条項です。特定の地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とすることで、紛争解決の場を予め明確にしています。
別紙【譲渡対象資産明細】
譲渡対象資産の詳細を記載するための様式です。ECサイト仕様書、有形資産、無形資産、引継対象となる契約など、具体的な資産を明細化することで、譲渡対象を明確にします。