【1】書式概要
この「〔成功報酬制〕生活保護申請支援業務委託契約書」は、生活保護申請をサポートする事業者と申請者の間で締結する契約の雛型として最適な内容です。
この契約書雛型は、生活保護申請支援サービスを提供する事業者向けに、成功報酬制を基本とした明確な法的枠組みを提供します。申請支援の具体的なサービス内容から報酬の発生条件、支払方法、実費負担の取り扱いまで、両者の権利義務関係を詳細に規定しています。特に、クライアントが生活保護の支給決定を受けた場合のみ報酬が発生する成功報酬制を採用しており、サービス提供者とクライアント双方にとって公平な契約関係を構築できます。
また、個人情報保護や守秘義務に関する条項、禁止事項、免責事項など、トラブル防止のための条項も充実しており、法令遵守の観点からも配慮された内容となっています。契約期間や解約・解除条件も明確に定められており、業務の開始から終了までの一連のプロセスをカバーしています。
この雛型を活用することで、生活保護申請支援業務を行う事業者は、法的リスクを最小限に抑えつつ、クライアントとの間で透明性の高い契約関係を構築することができるでしょう。必要に応じて空欄部分を埋めるだけで、すぐに実務で使用可能な完成度の高い契約書として提供できます。
〔条文タイトル〕
第1条(契約の目的)
第2条(サービス内容)
第3条(甲の責務)
第4条(乙の責務)
第5条(報酬の発生条件)
第6条(報酬額及び計算方法)
第7条(支払方法及び時期)
第8条(実費の負担)
第9条(契約期間)
第10条(解約・解除)
第11条(守秘義務)
第12条(個人情報の取扱い)
第13条(禁止事項)
第14条(免責事項)
第15条(損害賠償)
第16条(再委託の禁止)
第17条(権利義務の譲渡禁止)
第18条(反社会的勢力の排除)
第19条(協議事項)
第20条(管轄裁判所)
【2】逐条解説
第1条(契約の目的)
本条項では契約の基本的な枠組みを定義しています。甲(サービス提供者)と乙(サービス利用者)の間で、生活保護申請手続きの支援に関する事項を定めることを目的としていることを明記しています。契約当事者の関係性と本契約の目的を明確にすることで、契約の解釈基準を示す重要な条項です。
第2条(サービス内容)
本条項では、甲が提供するサービスの具体的内容を列挙しています。生活保護制度の説明から申請書類作成支援、同行サービス、フォローアップまで幅広いサービス内容を規定しています。また、サービス提供にあたっての甲の姿勢(誠実かつ適切な方法でのサポート)を明記することで、サービスの質の担保を図っています。
第3条(甲の責務)
本条項では、サービス提供者である甲の責任と義務を明確に定めています。法令遵守、正確な情報提供、適切な判断、適格な担当者の配置など、甲がサービスを提供する上で守るべき基本的な責務を規定しています。この条項は甲のサービス品質を担保し、乙の利益を保護する役割を果たします。
第4条(乙の責務)
本条項では、サービス利用者である乙の責任と義務を明確にしています。正確な情報提供、必要書類の提出・手続きへの協力、状況変化の報告など、乙がサービスを受ける上で果たすべき協力義務を規定しています。甲が適切なサービスを提供するためには乙の協力が不可欠であり、その内容を明確にしています。
第5条(報酬の発生条件)
本条項は本契約の核心部分で、成功報酬制の基本原則を定めています。生活保護の支給決定を受けた場合にのみ報酬が発生するという条件を明確にし、申請取下げや不支給決定の場合は報酬が発生しないことを明記しています。この条項により、乙は結果が出なければ報酬を支払う必要がないという安心感を得られます。
第6条(報酬額及び計算方法)
本条項では、成功報酬の具体的な金額設定と計算方法について規定しています。初回支給額の一定割合(上限額あり)、遡及分の取扱い、医療扶助のみの場合の固定額など、様々なケースにおける報酬額の算定方法を明確にしています。具体的な割合や金額は当事者間で協議して決定できるよう空欄となっています。
第7条(支払方法及び時期)
本条項では、報酬の具体的な支払手続きについて規定しています。支払期限(受給から14日以内)、支払方法(振込)、手数料負担(乙負担)、未払い時の督促権など、支払いに関する実務的な事項を明確にしています。これにより支払いに関するトラブルを未然に防止する効果があります。
第8条(実費の負担)
本条項では、サービス提供過程で発生する実費の取扱いについて規定しています。負担すべき実費の範囲(書類取得費、通信費、交通費など)、事前の概算提示と承諾、支給決定の有無にかかわらず乙が負担すること等を明記しています。これにより、実費負担に関する誤解やトラブルを防止できます。
第9条(契約期間)
本条項では、契約の有効期間について規定しています。契約締結日から生活保護申請の結果確定までを基本期間とし、支給決定・報酬支払い後の契約終了、長期化した場合の延長協議など、契約期間に関する取扱いを明確にしています。これにより、契約関係の開始と終了が明確になります。
第10条(解約・解除)
本条項では、契約の中途終了に関する事項を規定しています。乙の任意解約権とその場合の実費負担、甲の解除権(乙の契約違反、虚偽情報提供等の場合)、解約・解除の方法(書面)など、契約関係を終了させる場合のルールを明確にしています。これにより、中途終了の場合でも公平な精算が可能になります。
第11条(守秘義務)
本条項では、甲の守秘義務について規定しています。乙の個人情報・秘密情報の目的外使用・第三者開示の禁止、契約終了後の義務継続、法令に基づく開示の例外など、情報管理に関する甲の義務を明確にしています。これにより、乙のプライバシー保護が図られます。
第12条(個人情報の取扱い)
本条項では、個人情報保護法に対応した個人情報の取扱いについて詳細に規定しています。適切な管理、目的範囲内での利用、第三者提供の制限、乙の権利(開示請求等)など、個人情報保護に関する包括的なルールを定めています。これにより、個人情報の適切な保護が確保されます。
第13条(禁止事項)
本条項では、甲乙それぞれが行ってはならない行為を明確に列挙しています。甲による虚偽申告・不正手段の使用等の禁止、乙による虚偽情報提供・権利譲渡等の禁止など、不適切な行為を明確に規定することで、契約の適正な履行を担保しています。
第14条(免責事項)
本条項では、甲の責任範囲の限界を明確にしています。支給決定の保証ではないこと、行政機関の判断に関する免責、乙の情報誤り・不足による不利益の免責、不服申立て・訴訟提起は別契約であることなど、甲の責任の及ばない事項を明確にしています。これにより、責任範囲の誤解によるトラブルを防止できます。
第15条(損害賠償)
本条項では、契約違反や法令違反の場合の損害賠償責任について規定しています。契約違反による損害賠償責任、法令違反行為による損害賠償責任など、賠償責任の発生要件と範囲を明確にしています。これにより、違反行為に対する抑止力となるとともに、違反があった場合の救済措置を定めています。
第16条(再委託の禁止)
本条項では、甲による第三者への再委託を制限しています。乙の事前の書面による承諾なくサービスを第三者に再委託することを禁止することで、サービスの質の維持と乙の信頼保護を図っています。これにより、乙が契約した相手以外からサービスを受けるリスクを防止します。
第17条(権利義務の譲渡禁止)
本条項では、契約上の地位や権利義務の第三者への譲渡を制限しています。相手方の事前の書面による承諾なく、契約上の地位や権利義務を第三者に譲渡したり担保に供したりすることを禁止しています。これにより、当事者間の信頼関係の維持を図っています。
第18条(反社会的勢力の排除)
本条項では、反社会的勢力との関係排除について規定しています。暴力団員等の反社会的勢力に該当しないことの表明・確約、違反時の無催告解除権など、反社会的勢力排除に関する基本的な取決めを定めています。これは、近年の契約書では標準的に設けられる条項で、健全な契約関係の維持に資するものです。
第19条(協議事項)
本条項は、契約書に定めのない事項や解釈に疑義が生じた場合の対応方法を定めています。誠意をもった協議による解決を原則とすることで、予期せぬ事態や解釈の相違に柔軟に対応する余地を残しています。すべての事項を契約書に盛り込むことは現実的に不可能なため、この条項が安全弁として機能します。
第20条(管轄裁判所)
本条項では、紛争発生時の裁判管轄について定めています。特定の地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とすることで、紛争解決の場を予め明確にしています。これにより、紛争発生時の裁判管轄争いを防止し、効率的な紛争解決を図ることができます。