性行為による精子提供契約書(無償提供版)

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性行為による精子提供契約書(無償提供版)

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【1】書式概要

 

この契約書は、性行為による方法で精子を無償提供する際に、提供者と受領者の間で取り交わす合意文書です。昨今、様々な理由で子どもを望む方が増えている中で、医療機関を介さずに精子提供を受けるケースも存在します。しかし、こうした場合に最も問題となるのが、将来的な親子関係や扶養義務をめぐるトラブルです。例えば、提供者が後になって子どもへの面会を要求したり、逆に受領者が養育費を請求するといった事態が考えられます。

 

この文書では、提供者が親権や扶養義務を放棄すること、受領者が単独で養育責任を負うことを明確にし、双方の権利と義務を詳しく定めています。性行為による提供という特殊な方法を選択する場合、プライバシーの保護や健康管理についても慎重な取り決めが必要です。契約書には、感染症検査の実施、秘密保持、遺伝情報の取扱い、将来子どもが成人した後の対応まで、幅広い項目が盛り込まれています。

 

Word形式で提供されるため、ご自身の状況に応じて自由に編集や修正が可能です。記入欄に必要事項を入力し、双方が署名・捺印することで、正式な合意文書として機能します。専門的な表現が使われていますが、各条文は平易な言葉で書かれており、どなたでも内容を理解できるよう配慮されています。

 

精子提供を検討している段階で、事前にこの契約書の内容を双方で確認し、納得した上で合意することで、後々のトラブルを未然に防ぐことができます。

 

 

 

 

【2】条文タイトル


第1条(当事者)
第2条(目的)
第3条(精子の提供)
第4条(提供者の表明保証)
第5条(受領者の表明保証)
第6条(親権および扶養義務の放棄)
第7条(受領者の権利および義務)
第8条(性行為の実施に関する合意)
第9条(連絡体制)
第10条(プライバシーの保護)
第11条(秘密保持)
第12条(情報提供)
第13条(遺伝情報の取扱い)
第14条(責任制限)
第15条(当該子との接触)
第16条(契約の変更)
第17条(契約解除)
第18条(紛争解決)
第19条(準拠法)
第20条(その他)

 

 

 

 

【3】逐条解説

 

第1条(当事者)

契約を結ぶ両当事者の基本情報を記載する条項です。提供者と受領者それぞれの氏名、住所、生年月日を明記することで、誰と誰の間の契約なのかを明確にします。将来的に何らかの確認が必要になった際、この情報が重要な役割を果たします。住所が変わった場合には、後述の連絡体制の条項に従って相手方へ通知する必要があります。

 

第2条(目的)

この契約が何のために存在するのかを定義する、いわば契約の根幹となる条項です。性行為による無償の精子提供と、それによる妊娠の試みという目的を明示しています。また、この契約に基づいて生まれた子どもを「当該子」と呼ぶことを定めており、以降の条文ではこの用語が繰り返し使われます。目的を明確にすることで、単なる性的関係ではなく、妊娠を意図した行為であることを双方が確認し合います。

 

第3条(精子の提供)

具体的な提供方法について取り決める条項です。性行為という方法で精子を提供することを確認し、その日時や場所は当事者間の話し合いで決めるとしています。医療機関を通さない方法を選択する以上、感染症のリスクには十分な注意が必要です。そのため、HIV、肝炎、梅毒などの検査を実施することを求めており、検査結果は受領者に開示されます。ただし、あくまでも「努めるものとする」という努力義務にとどめており、強制ではありません。また、提供は完全に無償であり、いかなる対価も発生しないことを明記しています。

 

第4条(提供者の表明保証)

提供者が自身の状態について保証する内容を列挙しています。健康状態、感染症の有無、遺伝性疾患の家族歴など、受領者にとって重要な情報を正直に開示することを約束します。過去に他の人へ精子提供をしたことがある場合、その事実も伝えなければなりません。配偶者がいる場合には、その同意を得ていることも確認事項に含まれます。これらの表明が虚偽だった場合、後に契約解除の理由となる可能性があります。

 

第5条(受領者の表明保証)

受領者側が理解し保証すべき事項をまとめた条項です。性行為が妊娠目的であること、様々なリスクを理解していること、成年に達していることなどを確認します。単に精子提供を受けるだけでなく、その方法や結果について十分に納得した上で契約を結ぶことが求められます。

 

第6条(親権および扶養義務の放棄)

この契約書の中でも特に重要な条項の一つです。提供者は、生まれてくる子どもに対して親としての権利を一切主張しないことを約束します。親権、扶養義務、相続権のすべてを放棄し、万が一受領者や子どもから親子関係の確認を求められても異議を述べないとしています。例えば、子どもが成長して「父親は誰か」と尋ねたとしても、提供者は親としての立場を主張できません。この条項により、受領者は安心して単独で子育てができる環境が整います。

 

第7条(受領者の権利および義務)

受領者が子どもの唯一の親権者であることを定めています。養育に関するすべての決定権を持ち、提供者に対して経済的な支援を求めることはできません。また、子どもに提供者の存在を知らせるかどうかも、受領者の自由な判断に委ねられます。つまり、子育てに関する完全な自律性が保証される一方で、すべての責任も受領者が負うという構造になっています。

 

第8条(性行為の実施に関する合意)

性行為という行為の性質上、特に慎重な合意が必要です。この条項では、あくまでも妊娠を目的とした行為であり、それ以外の意図はないことを双方が確認します。強制や威圧は絶対に許されず、常に双方の同意が前提となります。実施する場所や時間、頻度についても事前によく話し合うことが求められます。妊娠が成立した時点で、受領者は速やかに提供者へ知らせることになっています。

 

第9条(連絡体制)

契約期間中の連絡方法を定める条項です。電話番号やメールアドレスなど、互いの連絡先を記載します。引っ越しなどで連絡先が変わった場合には、必ず相手に知らせる義務があります。緊急事態が発生した際の連絡方法についても、別途話し合って決めておくことが推奨されます。

 

第10条(プライバシーの保護)

性行為による提供という方法の特性上、プライバシーへの配慮は極めて重要です。双方のプライバシーを尊重し、第三者に知られることのないよう注意を払います。実施場所も、プライバシーが守られる適切な環境を選ぶことが求められます。

 

第11条(秘密保持)

契約の内容や精子提供の事実を、第三者に漏らさないことを約束する条項です。ただし、法令で開示が義務付けられている場合や、子どもに提供者の情報を伝える場合、医療関係者や弁護士に相談する場合は例外となります。この秘密保持の義務は、契約が終了した後も永続的に続きます。

 

第12条(情報提供)

提供者に健康上の重大な変化があった場合、例えば新たに遺伝性疾患が見つかったり、性感染症に罹患したりした際には、できる限り受領者に知らせるよう努めます。一方、受領者が子どもの出生や性別、健康状態などを提供者に伝えるかどうかは、受領者の自由です。伝える義務はありません。

 

第13条(遺伝情報の取扱い)

提供者の遺伝情報が子どもに引き継がれることを、提供者は理解し同意します。遺伝情報はプライバシーに関わる重要な情報なので、慎重に扱われなければなりません。もし将来、子どもが病気の治療などで提供者の遺伝情報を必要とする場合、受領者は提供者に情報提供を求めることができ、提供者は正当な理由がない限りこれを拒否できません。

 

第14条(責任制限)

提供者は、子どもの健康状態や発育、妊娠の成否、受領者の健康問題について一切の責任を負いません。精子提供に伴うあらゆるリスクは、受領者が理解し承諾した上で引き受けます。性行為の実施によって生じる健康上のリスクについても、各自が自己責任で対処します。

 

第15条(当該子との接触)

原則として、提供者は子どもとの接触を求めません。ただし、子どもが成人した後、子ども自身が提供者との接触を望んだ場合、提供者はそれに応じるかどうかを自由に決められます。もし接触が実現する場合は、その方法や程度について、当事者全員で改めて話し合うことになります。

 

第16条(契約の変更)

契約の内容を変更するには、必ず双方が書面で合意する必要があります。口約束だけでは変更できません。社会の状況や関連する規制が変わって契約の見直しが必要になった場合は、誠実に話し合うことが求められます。

 

第17条(契約解除)

相手が契約に違反し、催促しても改善されない場合や、表明保証の内容に嘘があったことが分かった場合、契約を解除できます。ただし、妊娠が成立した後は、いかなる理由があっても契約を解除することはできません。これは、既に子どもが存在する以上、契約の解除によって状況を元に戻すことができないためです。

 

第18条(紛争解決)

何か問題が起きた場合、まずは双方で誠実に話し合って解決を目指します。それでも解決しなければ、調停やADR(裁判外紛争解決手続)を利用できます。最終的には、指定された地方裁判所で裁判を行うことになります。

 

第19条(準拠法)

この契約は日本の法律に基づいて解釈され、適用されます。

 

第20条(その他)

契約書に書かれていない事項や、解釈に疑問が生じた場合は、当事者間で誠実に話し合って解決します。また、もし契約書のどこかの条項が無効と判断されても、他の部分の有効性には影響しません。

 

 

 

 

【4】FAQ

 

Q1: この契約書を使えば、提供者が後から親権を主張することを完全に防げますか?

A1: この契約書は、双方の合意を明確にし、将来のトラブルを予防するための重要なツールです。しかし、日本の民法や家族法では、生物学的な父親の権利や子どもの福祉を重視する規定があり、私的な契約だけでは完全に権利関係を確定できない場合があります。特に、子どもの福祉に関わる事項については、裁判所が契約内容よりも子どもの利益を優先して判断する可能性があります。そのため、契約書は重要な証拠となりますが、絶対的な保証ではないことを理解しておく必要があります。

 

Q2: 検査の実施は義務ですか?

A2: 第3条では「努めるものとする」という表現になっており、強制的な義務ではなく努力義務として規定されています。ただし、感染症のリスクを考えると、双方の安全のために検査を実施することを強くお勧めします。受領者の立場からは、提供者に検査を求める権利があり、提供者がこれを拒否する場合は契約を結ばない選択も可能です。

 

Q3: 妊娠後に契約を解除できないのはなぜですか?

A3: 妊娠が成立した後は、既に子どもの存在が現実のものとなっており、契約解除によって状況を元に戻すことができません。この段階で契約を解除しても、生物学的な親子関係や子どもの権利に影響を与える可能性があり、かえって混乱を招きます。そのため、第17条では妊娠成立後の解除を禁止しています。

 

Q4: 子どもが将来、提供者を探し出すことは可能ですか?

A4: 第7条で、受領者は子どもに提供者の存在を知らせるかどうかを自由に決定できるとされています。もし受領者が提供者の情報を伝えれば、子どもは成人後に接触を試みることも可能です。第15条では、成人した子どもからの接触希望に対して、提供者が応じるかどうかを自由に決められると規定されています。

 

Q5: この契約書は公証人による認証が必要ですか?

A5: 法律上、必ずしも公証人による認証は必要ありません。双方が署名・捺印することで有効な契約として成立します。ただし、より証拠力を高めたい場合や、将来的な紛争予防を重視する場合は、公証役場で公正証書として作成することも検討できます。公正証書にすることで、契約の存在と内容がより確実に証明できるようになります。

 

Q6: 提供回数に制限はありますか?

A6: 第3条では「提供の回数、時期および具体的な方法については、当事者間の協議により決定する」としており、回数の制限は特に設けられていません。双方の合意があれば、妊娠が成立するまで複数回の提供を行うことも可能です。ただし、第3条第5項では、妊娠が成立しなかった場合に再度の提供を求めることはできるものの、提供者に応じる義務はないとされています。

 

Q7: 契約書に記載されていない事項が後で問題になったらどうすればいいですか?

A7: 第20条で、契約書に定めのない事項については当事者間で誠実に協議して解決することが規定されています。また、第16条により、必要があれば双方の書面による合意で契約内容を変更することも可能です。予期せぬ状況が発生した場合は、まず双方で話し合い、必要に応じて契約の追加条項を作成することをお勧めします。

 

Q8: 提供者が既婚者の場合、配偶者の同意は絶対に必要ですか?

A8: 第4条第7号で「本契約締結にあたり、配偶者または家族の同意を得ていること(該当する場合)」という条項があります。これは表明保証事項として記載されており、配偶者がいる場合は同意を得ていることが前提となります。配偶者の同意なく進めた場合、後に配偶者から異議が出たり、家庭内のトラブルに発展したりするリスクがあります。

 

 

 

 

【5】活用アドバイス

 

この契約書を最大限に活用するためには、まず双方が契約書の全文をしっかりと読み、各条項の意味を理解することが出発点です。専門用語が含まれている部分もありますが、分からない点は事前に調べたり、必要に応じて弁護士などの専門家に相談したりすることをお勧めします。

 

契約を締結する前に、十分な時間をかけて話し合いの場を設けることも重要です。性行為による精子提供という極めてデリケートな事柄である以上、お互いの価値観や考え方、将来への期待などを率直に共有することが、後々のトラブル防止につながります。特に、子どもへの情報開示、提供者との接触、健康情報の共有などについては、契約書の条文を参照しながら、具体的にどうするのかを話し合っておくと良いでしょう。

 

記入欄には、できるだけ詳細に情報を記載してください。住所や連絡先は正確に書き、変更があった際には必ず相手に知らせることを忘れないようにしましょう。また、第3条で触れられている感染症検査については、実際に検査を受けた場合、その結果を書面で保管し、相手方にも共有することで、より確実な記録を残すことができます。

 

契約書は双方が1通ずつ保管し、大切に保存してください。将来何か問題が生じた際、この契約書が重要な証拠となります。また、契約締結後に状況が変わり、内容の変更が必要になった場合は、第16条に従って必ず書面で変更契約を作成しましょう。

 

可能であれば、契約書の内容について弁護士のチェックを受けることも検討してください。特に複雑な家庭環境にある場合や、将来的なリスクをより確実に回避したい場合は、専門家のアドバイスが有益です。また、前述のように公正証書として作成することで、証拠力をさらに高めることもできます。

 

 

 

 

 

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