性行為による精子提供契約書(有償提供版)

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性行為による精子提供契約書(有償提供版)

¥2,980
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税込
 

【1】書式概要

 

この契約書は、性行為を通じた精子提供において、提供者と受領者の間で金銭的な対価を伴う取り決めを行うための書式です。近年、医療機関を介さない個人間での精子提供を希望される方が増えており、特にシングルマザーを目指す女性や、同性カップル、事情により医療機関での治療が難しい方などが利用されています。

 

この書式では、精子提供に対する報酬額や支払方法、支払期限を明確に定めることで、後々のトラブルを防ぐことができます。提供1回ごとに固定額を支払うパターンや、妊娠が確認できた時点で一括払いするパターンなど、当事者の希望に合わせて柔軟に設定できるよう工夫されています。

 

特に重要なのは、生まれてくる子どもに対する提供者の親権や養育義務を完全に否定する内容が盛り込まれている点です。提供者は認知や養育費の支払いを一切求められず、受領者も提供者に対してそうした請求を行わないことを約束します。また、お互いのプライバシーを守るための秘密保持条項や、性感染症などの健康状態についての確認事項も含まれており、安全で透明性の高い取り決めができるようになっています。

 

この書式はWord形式で提供されるため、ご自身の状況に合わせて金額や期間、その他の詳細を自由に編集していただけます。専門的な知識がない方でも記入しやすいよう、空欄に必要事項を書き込むだけで完成する形式になっています。実際に精子提供を受ける前の面談時や、双方が条件について合意した段階で作成し、署名押印することで正式な契約として成立します。

 

 

 

 

【2】条文タイトル

 

  • 第1条(目的)
  • 第2条(精子提供の方法)
  • 第3条(対価)
  • 第4条(支払方法および期限)
  • 第5条(税金の取扱い)
  • 第6条(親権および養育義務の不存在)
  • 第7条(個人情報の取扱い)
  • 第8条(秘密保持)
  • 第9条(健康状態の告知)
  • 第10条(提供回数および期間)
  • 第11条(契約解除)
  • 第12条(損害賠償)
  • 第13条(協議事項)
  • 第14条(管轄裁判所)

 

 

 

【3】逐条解説

 

第1条(目的)

この条文は契約全体の目的を明らかにするものです。精子提供の目的が「乙(受領者)の妊娠」であることを最初に確認し、双方がこの目的を共有していることを示します。単なる性行為ではなく、妊娠という明確な目標に向けた行為であることを文書として残すことで、後から「そんなつもりではなかった」といった食い違いが生じるのを防ぎます。

 

第2条(精子提供の方法)

提供の方法を「性行為」に限定し、人工授精などの医療行為は行わないことを定めています。つまり自然な形での妊娠を目指すということです。医療機関を通さない個人間の取り決めであることを明確にし、医療行為との線引きをはっきりさせる意味があります。たとえば、後から「やっぱり人工授精に切り替えたい」と言われてもこの契約の範囲外になるわけです。

 

第3条(対価)

精子提供に対する報酬について定めた条文です。まず具体的な金額を記入する欄があり、次に支払いのパターンを3つ提示しています。1回ごとに支払うか、妊娠が確認できた時点で一括払いするか、あるいは当事者間で別の方法を決めるか、柔軟に選べるようになっています。たとえば「1回3万円で最大5回まで」とか「妊娠確認時に30万円一括」といった具合に、お互いが納得できる形で設定できます。

 

第4条(支払方法および期限)

お金をどうやって渡すのか、いつまでに支払うのかを決める条文です。現金手渡しか銀行振込か、その他の方法かをチェックボックスで選び、支払期限も「提供日から●日以内」というように具体的な日数を記入します。振込の場合は手数料を受領者が負担することも明記されています。これによって「お金をもらってない」「いや払った」といった水掛け論を避けられます。

 

第5条(税金の取扱い)

報酬を受け取った場合の税金処理について、それぞれが自分で責任を持つことを定めています。提供者側は受け取った報酬を雑所得などとして申告する必要があるかもしれませんし、受領者側も支払った金額の扱いを考える必要があります。「税金のことは知らなかった」とならないよう、お互いが自己責任で対応することを最初から合意しておく内容です。

 

第6条(親権および養育義務の不存在)

この契約の核心部分と言える条文です。提供者は生まれてくる子どもに対して親としての権利を一切持たず、認知も養育費の支払いもしないことを約束します。逆に受領者も提供者に対してそうした要求をしないことを誓います。たとえば子どもが成長してから「やっぱり父親として関わりたい」とか「養育費を払ってほしい」といった話が出ても、この契約があることで双方の立場が守られるわけです。

 

第7条(個人情報の取扱い)

お互いの住所や氏名、連絡先といった個人情報を、契約の目的以外に使ってはいけないという決まりです。契約が終わった後もこの義務は続きます。たとえば提供者が受領者の個人情報を使って勝手に連絡してきたり、逆に受領者が提供者の情報を第三者に漏らしたりすることを防ぎます。

 

第8条(秘密保持)

契約の存在自体や内容、やり取りの過程で知った情報を他人に話してはいけないという約束です。ただし法律で開示が求められる場合は例外とされています。プライバシーの保護は双方にとって重要で、たとえば提供者が「実は精子提供してるんだ」と周囲に話したり、受領者が「この人から提供を受けた」とSNSで明かしたりすることを禁止する内容です。

 

第9条(健康状態の告知)

提供者が性感染症や重大な病気にかかっていないことを約束し、求められれば健康診断書や検査結果を見せることを定めています。受領者にとって健康面の不安は大きいので、提供前にしっかり確認できる仕組みです。たとえばHIVやB型肝炎などの検査結果を提示してもらうことで、安心して提供を受けられます。

 

第10条(提供回数および期間)

何回提供するのか、いつからいつまでの期間行うのかを具体的に書き込む部分です。「3回まで」とか「妊娠が成立するまで」といった回数の設定と、「令和●年●月から●年●月まで」という期間を明記します。期間内に妊娠した場合は契約が終了することも定められており、ダラダラと続かないようになっています。

 

第11条(契約解除)

どんな場合に契約を解除できるかを定めた条文です。相手が約束を破った場合、お金を払わない場合、嘘をついていた場合などは即座に解除できます。また理由がなくても書面で通知すればいつでも解除できますが、すでに支払われたお金は返さなくていいという決まりです。たとえば「やっぱり気持ち的に無理」と思ったら途中でやめられますが、その時点までの報酬は戻ってきません。

 

第12条(損害賠償)

契約違反によって相手に損害を与えた場合は賠償しなければならないという内容です。たとえば提供者が虚偽の健康状態を申告して病気を移してしまった場合や、受領者が約束の報酬を払わず提供者に損失を与えた場合などが該当します。

 

第13条(協議事項)

契約に書かれていないことが起きた場合や、解釈について意見が分かれた場合は、お互いに誠実に話し合って解決しようという条文です。いきなり裁判に持ち込むのではなく、まずは当事者同士で協議することを約束する内容です。

 

第14条(管轄裁判所)

万が一裁判になった場合、どこの裁判所で争うかを事前に決めておく条文です。空欄に具体的な地名を入れることで、遠方の裁判所まで行かなければならないといった不便を避けられます。たとえば「東京地方裁判所」「大阪地方裁判所」など、双方が通いやすい場所を指定します。

 

 

 

 

【4】FAQ

 

Q1: この契約書に法的な効力はありますか?

A: 当事者間で署名押印された契約書として一定の効力を持ちます。ただし、親権や養育義務に関する部分については、将来的に家庭裁判所の判断が優先される可能性があります。契約はあくまで当事者間の合意を示すものであり、絶対的な保証ではないことをご理解ください。

 

Q2: 報酬額はどのくらいが相場ですか?

A: 決まった相場はありません。1回あたり数万円から十数万円、または妊娠成立時に一括で数十万円という設定が多いようですが、あくまで当事者間で自由に決めていただけます。

 

Q3: 契約書は公証役場で認証してもらうべきですか?

A: 必須ではありませんが、より確実性を高めたい場合は公証役場で公正証書にすることをお勧めします。費用は数万円程度かかりますが、後々のトラブル防止には有効です。

 

Q4: 生まれた子どもが将来、提供者を探すことはできますか?

A: この契約では秘密保持が定められていますが、子ども本人の出自を知る権利については別の問題です。契約で完全に制限できるものではありません。

 

Q5: 妊娠しなかった場合、支払った報酬は返金されますか?

A: 契約内容によります。「1回ごとの固定額」の場合は妊娠の有無にかかわらず支払いが発生します。「妊娠確認時の一括払い」であれば妊娠しなければ支払いは発生しません。

 

Q6: 提供者が病気を隠していた場合はどうなりますか?

A: 第9条違反として契約解除が可能で、第12条に基づき損害賠償を請求できます。健康診断書の提示を必ず求めることをお勧めします。

 

Q7: 途中で気が変わった場合、契約を解除できますか?

A: 第11条により、書面通知でいつでも解除可能です。ただし、すでに支払われた対価は返還されません。

 

Q8: 税金の申告は必要ですか?

A: 提供者が受け取る報酬は所得として申告が必要になる可能性があります。金額によっては雑所得などとして確定申告してください。詳しくは税務署にご相談ください。

 

 

 

 

【5】活用アドバイス

 

この契約書を使う際は、まず双方でしっかりと面談の時間を取り、お互いの考えや希望を率直に話し合うことが大切です。金額や回数といった表面的な条件だけでなく、妊娠後の関わり方や連絡の取り方など、細かい部分まで確認しておくと後々のトラブルを防げます。

 

記入にあたっては、空欄部分を具体的な数字や日付でしっかり埋めてください。「適当な額」「しばらくの間」といった曖昧な表現は避け、「金30万円」「令和7年4月1日から令和7年9月30日まで」というように明確に書きましょう。特に第3条の対価と第4条の支払方法は、後から「言った言わない」になりやすい部分なので注意が必要です。

 

健康面の確認は最優先事項です。第9条に基づいて、提供開始前に必ず最新の健康診断書や性感染症検査の結果を見せてもらいましょう。口頭での「大丈夫です」だけでは不十分です。検査結果のコピーをもらって保管しておくことをお勧めします。

 

契約書は2通作成し、双方が署名押印した後にそれぞれが1通ずつ保管します。できれば写真やスキャンでデータとしても保存しておくと安心です。また、実際の提供日時や場所、その際のやり取りなどを簡単に記録しておくと、万が一の際に役立ちます。

 

報酬の支払いについては、銀行振込を選択すると記録が残るのでトラブル防止に有効です。現金の場合は受領書を作成することをお勧めします。「●月●日、精子提供に対する対価として金●万円を受領しました」といった簡単なものでも構いません。

 

 

 

 

 

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