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【1】書式概要
「外国人を採用したいけど、何を確認すればいいのかよくわからない」「在留カードを見せてもらったが、それで十分なのかどうか不安」——そういった悩みをよく耳にします。外国人を雇用する際に最も怖いのは、知らないうちに「不法就労助長罪」(最大3年の懲役または300万円の罰金)に問われるリスクです。悪意がなくても、確認を怠った場合に処罰対象になることがあると法律に書いてあります。
本セットは、そのリスクを避けながら外国人労働者を適切に雇用・管理するための4点セットです。「在留資格確認チェックリスト」では採用前・雇用中・更新時の3段階で確認すべき事項を整理し、技術・人文知識・国際業務から特定技能・育成就労・留学生アルバイトまで19種類の在留資格の就労可否を一覧で確認できます。「雇用契約書(日英対照版)」は、日本語と英語を左右に並べた見開き設計で、外国人本人が内容を理解した上で署名できる作りになっています。労働時間・賃金・社会保険・退職に関する事項を8条の構成で整理しており、労働条件通知書を兼ねた書式です。「在留カード管理台帳」は複数の外国人スタッフの在留期限・在留資格・届出状況を一元管理し、期限切れの見落としを防ぎます。「育成就労制度対応ガイド」は2024年に法律が成立し2027年施行予定の新制度の手続きフローと受入企業のチェックリストをまとめています。
4ファイルすべてWordで提供しており、社名・氏名・日付などの【 】部分を書き換えるだけで使えます。
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【2】条文タイトル
(在留資格確認チェックリスト)
STEP1(在留資格の種類と就労可否一覧) STEP2(採用前 確認チェックリスト) STEP3(雇用中 定期確認チェックリスト) 別項(不法就労助長罪についての注意)
(雇用契約書・日英対照版)
第1条(雇用期間) 第2条(業務内容) 第3条(労働時間・休憩) 第4条(賃金) 第5条(休日・休暇) 第6条(社会保険・雇用保険) 第7条(機密保持・個人情報) 第8条(退職・解雇)
(在留カード管理台帳)
第1表(在留カード管理台帳・全従業員) 第2表(在留期限アラート管理) 第3表(在留資格 更新・変更記録) 第4表(ハローワーク届出記録)
(育成就労制度対応ガイド)
比較表(技能実習制度 vs 育成就労制度) STEP1(受入れ可否の検討) STEP2(監理支援機関との連携) STEP3(育成就労計画の作成・申請) STEP4(入国・受入れ準備) STEP5(育成就労期間中の管理) STEP6(特定技能1号への移行) 別項(受入れ企業 コンプライアンスチェックリスト)
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【3】逐条解説
STEP1(在留資格の種類と就労可否一覧)
外国人を採用する前に最初にすることは、相手が持っている「在留資格」が何なのかを確認することです。在留資格は全部で30種類近くあり、仕事をしてよいもの・週何時間まで働けるもの・まったく働けないものに分かれます。
一覧表では、技術・人文知識・国際業務(いわゆる「就労ビザ」として最もよく使われる資格)から、特定技能・育成就労・永住者・定住者・留学生まで19種類を網羅しています。たとえば「永住者」は日本人と同じくどんな職種でも制限なしに働けますが、「留学生」は週28時間という上限があり、それを超えると本人も会社も違法になります。「特定活動」のように資格の種類だけでは就労可否が判断できないケースもあり、その場合はパスポートに貼付された「指定書」の内容を必ず読む必要があります。
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STEP2(採用前 確認チェックリスト)
採用前に最も重要なのは「在留カードの原本を手で持って確認する」ことです。コピーや写真では確認義務を果たしたことにならない、というのが運用上の大原則です。
チェックリストには10項目が並んでいますが、特に重要なのは「在留カードの表裏をコピーして採用書類として保管する」「ハローワークへの外国人雇用状況届出を翌月末までに行う」の二つです。在留期限が雇用開始日の翌月に切れる予定なのに気づかずに採用してしまうケースも実際にあります。カードの「在留期間満了日」欄を確認し、管理台帳にその日付を記入する習慣が事故防止につながります。
法務省が無料で提供している在留カード読取アプリ(ICチップ確認)を使うと、偽造カードも見抜けます。番号だけ確認していたケースで偽造が発覚した企業が実際にあるため、アプリの活用を推奨しています。
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STEP3(雇用中 定期確認チェックリスト)
採用したら終わりではなく、雇用中も定期的な確認が必要です。特に「在留期限の3か月前に本人に更新申請を促す」という行動が最重要で、更新申請には書類準備に時間がかかる場合があり、3か月前から動き始めないと間に合わないことがあります。
よくある失敗が「更新申請中だから大丈夫」と思っていたら、申請が不許可になっていて本人が黙ったままだったというケースです。申請中は「特例期間」として従前の在留資格で働き続けられますが、不許可後は速やかな対応が必要になります。在留カードのコピーを更新のたびに差し替えて最新版を保管することも、記録としての意味を持ちます。
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第1条(雇用期間)
外国人の雇用契約で特有の注意点として、「在留期限が雇用期限より短い場合は、在留更新を条件に更新を検討する」という一文を盛り込んでいます。特定技能・育成就労の場合、在留期限と雇用契約の終了日が連動しているため、在留資格の更新ができなければ雇用継続ができないという関係にあります。
実務上、在留期限が3か月後に切れる状態で1年契約を結ぶケースがよく見られますが、「在留が更新されることを前提にした契約」であることを明示しておくことで、万が一更新が認められなかった際の手続きが明確になります。
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第2条(業務内容)
「在留資格の範囲外の業務に従事させてはならない」という禁止規定を契約書の中に入れています。これが重要なのは、会社側が「知らなかった」という弁解を防ぐためではなく、外国人本人が「自分はこの業務を超えた仕事はしなくていい」と理解できるようにするためです。
たとえば技術・人文知識・国際業務の在留資格で採用したエンジニアに、現場での単純作業(製造ラインの補助など)を継続的にやらせると資格外活動になります。業務内容欄に記載した仕事と実際の業務が乖離しないよう、採用時に丁寧に確認することが必要です。
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第3条(労働時間・休憩)
留学生アルバイトについて「週28時間(長期休暇中は40時間)の上限を遵守する」という条文を入れています。この時間を超えた分について、会社は不法就労助長罪に問われるリスクがあります。
複数の職場を掛け持ちしている留学生の場合、他の職場での勤務時間も合算して28時間以内である必要があります。採用時に「他でアルバイトをしているか」を確認し、合計が28時間を超えないよう調整することが会社側の管理義務になります。シフト管理ソフトで外国人スタッフの週間労働時間に上限アラートを設定しておくと実務上の漏れを防げます。
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第4条(賃金)
「最低賃金法に基づく最低賃金を下回る賃金は支払わない」という確認規定を入れています。外国人だから最低賃金が異なる、という考えは完全に誤りで、国籍・在留資格を問わず地域別最低賃金以上の賃金を支払う義務があります。
特に監理支援機関を通じた育成就労・技能実習では、監理費を徴収する際に実質的な賃金が最低賃金を下回るケースが過去に問題になっています。月額賃金から宿舎費・食費を控除した後の手取り額が最低賃金を下回らないかどうかを確認してください。
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第5条(休日・休暇)
年次有給休暇は労働基準法第39条に基づき付与する旨を明記しています。外国人労働者に有給休暇の権利があることを知らせずに取得させなかった事例が問題になることがあります。
言語の壁から「有給を取りたい」と言い出せない外国人スタッフは少なくありません。入社時のオリエンテーションで、母国語での説明資料と一緒に有給休暇の付与日数と取得方法を伝えることが、後のトラブル防止につながります。
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第6条(社会保険・雇用保険)
適法に就労する外国人は、日本人と同様に社会保険・雇用保険の加入対象になります。週20時間以上・2か月超の雇用が見込まれる場合は、原則として雇用保険の加入義務があります。
「外国人だから加入しなくていい」という誤解が中小企業の現場ではまだ残っています。未加入のまま在籍し続けた外国人スタッフが退職後にハローワークに相談し、遡及加入と延滞金の請求が来るケースが実際にあります。採用時のチェックリストと連動させて、加入手続きを漏れなく行うことが重要です。
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第7条(機密保持・個人情報)
外国人労働者に対しても機密保持義務・個人情報の取扱い規定を適用することを明記しています。顧客情報・技術情報・社内データの持ち出し防止は、国籍を問わない雇用管理上の課題です。
特に外国語でのコミュニケーションが多い外国人スタッフは、SNSに業務関連の写真・情報を投稿してしまうリスクが比較的高い場合があります。入社時に日本語と母国語の両方で「SNSへの投稿禁止事項」を説明し、本書に署名してもらうことで意識の定着を図ることができます。
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第8条(退職・解雇)
「在留資格が取り消された場合は雇用契約が終了することがある」という規定を入れています。在留資格の取消しは、虚偽の申請・就労制限違反・3か月以上の不就労などで発生します。
在留資格が取り消された外国人を継続して就労させた場合、会社は不法就労助長罪に問われます。「在留カードを持っているから大丈夫」と思っていても、取消し後に新しいカードが発行されないケースでは、古いカードを使い続けることになります。定期確認チェックリストと台帳を連動させ、資格取消しの兆候(更新が突然滞るなど)を早期に把握することが会社側のリスク管理になります。
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第1表〜第4表(在留カード管理台帳)
管理台帳の4つの表は「採用時登録→期限アラート管理→更新・変更記録→ハローワーク届出記録」という業務の流れに対応しています。
実務で最も役立つのが「第2表:在留期限アラート管理」のカラーコード(赤・橙・黄・緑)です。月初めに台帳を見て赤・橙の人がいたら即動くというルーティンを作ることで、期限切れの見落としがほぼゼロになります。担当行政書士の連絡先を台帳に記入しておくことで、更新申請のサポートを素早く依頼できる体制が整います。
ハローワーク届出記録(第4表)は、雇入れ・離職のたびに記録を残すための書式です。翌月末という期限を忘れがちなため、台帳に期限日を記入し、カレンダーアプリに登録しておくことを推奨します。
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育成就労制度 STEP1〜STEP6(手続きフロー)
6つのステップは「受入れ可否の確認→監理支援機関との契約→育成就労計画の作成・認定申請→入国・受入れ準備→3年間の育成期間中の管理→特定技能1号への移行」という時系列に対応しています。
最も重要なのがSTEP3「育成就労計画の認定が先」という順序の厳守です。認定前に雇用契約や送り出し機関との契約を締結することは禁止されており、この順序を逆にしてしまった事例が技能実習時代に多くありました。2027年の施行後は書類の様式・手続きの詳細が変わる見込みのため、行政書士との顧問契約を締結して最新情報を常時確認できる体制を今から作っておくことを推奨します。
STEP6の特定技能1号への移行は、育成就労修了者が技能評価試験・日本語試験を免除で移行できる点が大きな利点です。旧技能実習では修了後に特定技能の試験を別途受ける必要がありましたが、育成就労ではこの負担が軽減されます。企業側は3年間の育成期間から長期就労への移行をスムーズに計画できます。
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【4】FAQ
Q. 在留カードを確認した後、コピーは保管しなければいけませんか?
A. 法律上の明示的な義務規定はありませんが、「確認した」という証拠として保管することを強く推奨します。万が一不法就労問題が発生した際に「確認済みだった」と証明できるのはコピーだけです。採用書類の一部として表裏のコピーを保管し、更新のたびに最新版に差し替えてください。
Q. 在留資格の確認は採用時の1回だけでいいですか?
A. 採用時の1回だけでは不十分です。在留期限が切れた後も就労を続けさせると不法就労になります。少なくとも年1回・在留期限の3か月前には必ず確認し、管理台帳に更新状況を記録することを推奨します。特定技能の場合は四半期ごとの定期報告義務も別途あります。
Q. 外国人を雇ったら必ずハローワークに届け出る必要がありますか?
A. 雇用保険の被保険者かどうかにかかわらず、外国人を雇用した場合(または離職した場合)は、翌月末日までにハローワークへ届出が必要です(外国人雇用状況届出書)。被保険者の場合は資格取得届・喪失届と同時に提出できます。未届の場合は30万円以下の罰金の対象になります。
Q. 日英対照の雇用契約書で、どちらの言語が正式なものになりますか?
A. 本セットの雇用契約書では「日本語を正文とする」旨を明記しています。日本の労働法が適用されるため、解釈が分かれた場合は日本語が優先されます。英語版はあくまでも本人が内容を理解するための参考訳として位置づけています。
Q. 育成就労制度はいつから使えますか?現在の技能実習生への影響は?
A. 2024年に法律が成立し、2027年施行予定です(移行期間あり)。現在の技能実習生は3年間の移行期間中に育成就労または特定技能1号のいずれかに切り替える必要があります。既存の技能実習1号・2号の在留資格を持つ方はそのまま在留期限まで活動を継続できますが、更新・変更の際に新制度への対応が求められます。
Q. 在留資格の確認を行政書士に頼む必要がありますか?
A. 在留カードの確認・雇用契約書の作成・ハローワーク届出といった日常的な管理業務は会社自身で行えます。一方、在留資格の認定申請・変更申請・更新申請(特に複雑なケース)・育成就労計画の認定申請は、行政書士が代理申請できる業務です。書類が複雑で不許可リスクが高い案件は早めに行政書士に相談することを推奨します。
Q. 外国人社員の退職時に特別な手続きはありますか?
A. ハローワークへの外国人雇用状況届出(離職)を翌月末日までに提出することが必要です。また、在留資格によっては、雇用先がなくなったことで在留資格の根拠が失われる場合があります(特定技能・技術・人文知識・国際業務等)。退職する外国人本人が速やかに入管局に届出(所属機関の変更・喪失の届出)を行う必要があることも伝えてください。
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【5】活用アドバイス
4ファイルは「採用前→雇用中→育成就労受入れ」という時系列で使い分けることが基本です。採用前にはチェックリストのSTEP2と雇用契約書、雇用中の日常管理には管理台帳、育成就労・特定技能の受入れを検討する際には対応ガイドという流れです。
在留カード管理台帳は、ExcelやGoogleスプレッドシートに転記して使うことを推奨します。台帳をデジタル化することで、在留期限が3か月以内に迫っている人を自動でフィルタリングし、毎月アラートを受け取る仕組みを作れます。10名以上の外国人スタッフを抱える企業では、紙だけでの管理は見落としのリスクが高いため、デジタル台帳との併用が安全です。
雇用契約書の日英対照版は、署名前に外国人本人にゆっくり読む時間を与えることが大切です。「サインするだけ」という流れにしてしまうと、後から「内容を知らなかった」というトラブルの原因になります。英語以外の言語(ベトナム語・インドネシア語・タガログ語など)を話す方の場合は、英語版をさらに通訳してもらうか、母国語での補足説明を追加することを検討してください。
育成就労制度対応ガイドの6ステップのフローは、印刷して監理支援機関・担当行政書士と共有した上で使うことを推奨します。「今どのステップにいるか」を関係者全員が把握することで、手続きの抜け漏れを防げます。2027年の施行に向けて、今から監理支援機関の選定と行政書士との顧問関係を構築しておくことが、施行後にスムーズに動き出すための準備になります。
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