【1】書式概要
この情報管理規程は、現代企業が直面する情報セキュリティリスクに対応するための包括的な社内規則です。デジタル化が進む現在、企業の情報資産を守ることは経営の根幹に関わる重要課題となっています。
本規程では、従業員から役員まで全ての関係者が遵守すべき情報管理のルールを明確に定めています。個人情報保護から営業秘密の管理、システムセキュリティまで、幅広い情報資産を対象とした実践的な管理体制を構築できます。特に働き方改革関連法に対応した内容となっており、テレワークや多様な働き方が広がる中での情報管理課題にも対応しています。
実際の使用場面としては、新規事業立ち上げ時の社内体制整備、既存の情報管理体制の見直し、監査対応、取引先からのセキュリティ要求への対応、従業員教育の基盤作りなど様々な局面で活用いただけます。また、情報漏洩事故が発生した際の対応手順も明記されているため、危機管理体制の確立にも役立ちます。
このWord形式の雛型は完全に編集可能で、業種や企業規模に応じてカスタマイズしながらご利用いただけます。条文の追加や修正、用語の変更なども自由に行えるため、各社の実情に合わせた規程作りが可能です。
【2】逐条解説
第1条(目的)
この条文は規程全体の方向性を示す根幹部分です。単に「情報を守る」という抽象的な目標ではなく、機密性・完全性・可用性という情報セキュリティの三要素を明確に打ち出している点が特徴的です。これらは国際標準であるISO27001でも重視される概念で、現代的なセキュリティ思考を反映しています。実際の運用では、この目的を全社員が理解することが成功の鍵となります。
第2条(範囲)
適用範囲を「すべての役職員」と定めることで、組織内の階層や雇用形態による例外を排除しています。これは現実的な判断といえるでしょう。なぜなら、情報漏洩の多くは内部関係者によるものだからです。派遣社員やアルバイトも含める点は、多様な働き方が定着した現在において極めて重要です。ただし、個人情報については別規程に委ねる柔軟性も確保されています。
第3条(定義)
7つの重要概念を明確に定義することで、解釈のばらつきを防いでいます。特に「情報」の定義が包括的で、デジタルデータだけでなく紙媒体や音声、さらには「個人の記憶」まで含んでいる点は注目に値します。これにより、会議での口頭発言や電話での会話なども管理対象となることが明確になります。「情報セキュリティ管理リスク」の定義では、業務への支障だけでなくレピュテーションリスクや訴訟リスクまで言及しており、包括的なリスク認識を示しています。
第4条(情報の重要度)
情報を「重要情報」と「一般情報」に二分類するシンプルな仕組みです。重要情報の具体例では「営業及び技術に関する非公開情報」「個人情報」が明記されており、多くの企業にとって核心となる情報が適切に分類されています。ただし、●●●●部分は各社の実情に応じて具体化する必要があります。例えば「取締役会議事録」「人事評価情報」「財務データ」などが考えられます。
第5条(情報の収集)
情報収集の適正化を図る重要な条文です。「業務上必要なものに限定」という原則により、過度な情報収集を防止しています。これは個人情報保護の観点からも重要で、GDPR等の国際基準でも「データ最小化の原則」として確立されています。利用目的の明確化は、後の管理や廃棄判断の基準となります。
第6条(情報資産の管理)
この条文は規程の実効性を左右する重要な部分です。総務課長を情報管理責任者とする組織体制を明確化し、各部長には具体的な職務を課しています。特に「日常的な検証」や「教育・訓練」は継続的な取り組みが求められます。重要情報のアクセス権限制限、物理的な保管方法、離席時の注意事項など、実践的な管理手法が詳細に規定されています。情報システムの私的利用禁止は、働き方の多様化に伴い重要性が増している規定です。
第7条(情報資産の持ち出し)
原則禁止としながらも、現実的な例外規定を設けたバランスの取れた条文です。「顧客対応や当局要請等」という具体例により、判断基準が明確になっています。緊急時の事後許可制度は実務の円滑性を確保しつつ、報告義務により統制を維持する工夫です。外部委託先への提供に関する追加手続きは、サプライチェーン全体でのセキュリティ確保を意図しています。
第8条(委託先の情報の取り扱い)
外部委託が一般化した現在において欠かせない規定です。委託先の情報管理体制の事前確認は、自社のセキュリティレベルを委託先にも求める仕組みです。契約書への守秘義務明記は、法的な拘束力を確保する重要な手続きといえます。実際の運用では、委託先選定時のチェックリスト作成や定期監査の実施が効果的です。
第9条(情報セキュリティの維持・向上)
全員参加によるセキュリティ文化の醸成を目指した条文です。「業務の一部として」という表現により、セキュリティ活動が付加的なものではなく、本来業務の一環であることを明確にしています。これにより、「時間がない」「面倒だ」といった理由での回避を防止できます。
第10条(情報管理に関する啓蒙・研修)
継続的な教育体制の確立を規定しています。「定期的に実施」という表現により、一度きりの研修ではなく継続的な取り組みが求められます。全役職員を対象とすることで、組織全体のセキュリティリテラシー向上を図っています。実際の研修では、最新の脅威動向や事例紹介が効果的です。
第11条(規程体系)
情報管理に関する個別規程の制定根拠を示しています。これにより、個人情報保護規程、システム利用規程、機密情報管理規程など、より詳細な規程を体系的に整備できます。法令や業界基準の変化に応じた柔軟な対応が可能となります。
第12条(報告および対応)
インシデント対応の基本的な流れを定めた重要な条文です。「速やかに」という表現が重複して使われているのは、迅速な対応の重要性を強調するためです。各部の部長を経由する報告ルートにより、組織的な対応体制を確保しています。違反発見時の報告義務により、早期発見・早期対応が可能となります。
第13条(危機発生時の対応)
重大インシデント発生時の経営層への報告体制を規定しています。取締役会および代表取締役への報告により、組織の最高意思決定レベルでの判断が可能となります。影響を受けた情報の特定は、被害範囲の把握と適切な対応策の検討に不可欠です。この条文により、危機管理の責任の所在が明確になります。
第14条(罰則)
規程の実効性を担保する重要な条文です。就業規則との連動により、具体的な処分内容が明確になります。「対象となることがある」という表現により、情状酌量の余地を残しつつ、抑止効果を確保しています。実際の運用では、処分基準の明確化と公平な適用が重要となります。
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