【1】書式概要
この和解契約書は、個人間や事業者間での金銭の貸し借りにおいて、借主が返済に困った際に利用する重要な書式です。特に、元本の返済は継続しつつ、利息や損害金の支払いを免除することで、現実的な返済計画を立て直すことができます。
日常生活や事業運営において、知人からの借入、取引先への未払金、個人事業主の資金調達など、様々な場面で金銭の貸し借りが発生します。しかし、予想外の収入減少や事業の悪化により、当初の約束通りに返済することが困難になるケースは決して珍しくありません。
そのような状況で、貸主と借主が話し合いを行い、現実的な解決策を見つけるために使用するのがこの和解契約書です。貸主にとっては、裁判などの手続きを避けながら確実に元本を回収でき、借主にとっては過重な利息負担から解放されて生活や事業の再建を図ることができます。
この書式の最大の特徴は、利息と損害金を完全に免除する一方で、元本については分割払いで確実に返済する仕組みを設けている点です。また、返済が滞った場合の取り決めも明確に定められており、双方にとって公平で実用的な内容となっています。
Word形式での提供により、当事者の具体的な状況に応じて金額や支払回数、支払開始日などを簡単に編集・修正することができます。専門的な知識がなくても、必要箇所を入力するだけで、しっかりとした契約書を作成することが可能です。
【2】逐条解説
第1条(債務の確認)
この条文では、現在の借金の内訳を明確にします。元本、利息、損害金の三つに分けて、それぞれの金額を具体的に記載することで、後々のトラブルを防ぎます。例えば、100万円を借りて利息が30万円、延滞による損害金が20万円発生している場合、これらの金額を明確に区分けして記録します。
第2条(債務の一部免除)
貸主が利息と損害金を放棄することを定めています。これにより、借主は元本のみを返済すればよくなります。先ほどの例でいえば、150万円の負担が100万円まで軽減されることになります。これは任意整理の核心部分であり、借主の返済負担を大幅に軽減する重要な条項です。
第3条(債務の分割払い)
元本の返済方法を定めています。一括払いではなく分割払いとすることで、借主の月々の負担を軽減します。例えば、100万円を50回払いなら月2万円程度の支払いとなり、現実的な返済計画が立てられます。振込手数料を借主負担とすることで、貸主の負担も軽減されています。
第4条(期限の利益の喪失)
分割払いの約束を破った場合の取り決めです。一定額以上の滞納があった場合、残金を一括で支払わなければならなくなります。これにより、借主には継続的な支払いへの動機を与え、貸主には最終的な保護手段を提供します。
第5条(遅延損害金)
期限の利益を失った後の遅延損害金について定めています。約束を破った場合の追加負担を明確にすることで、契約の履行を促進します。ただし、この時点での損害金は元本のみに対してかかるため、当初の利息免除の効果は維持されます。
第6条(債権債務の確認)
この契約以外に当事者間で金銭の貸し借りがないことを確認します。例えば、他にも借金があったり、逆に貸主が借主に何かを借りていたりする場合の混乱を防ぐ重要な条項です。
第7条(協議事項)
契約書に記載されていない問題が生じた場合の解決方法を定めています。裁判ではなく話し合いによる解決を優先することで、双方の関係維持と円満な解決を図ります。
第8条(合意管轄)
万が一裁判になった場合の裁判所を事前に決めておく条項です。これにより、どこの裁判所で争うかで揉めることを防ぎ、手続きをスムーズに進めることができます。
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