【1】書式概要
この文書は、インフルエンサーとクライアントを仲介するマッチングプラットフォームを運営する事業者が使用する利用規約の雛形です。近年急速に成長しているインフルエンサーマーケティング市場において、企業とインフルエンサーを効率的に結びつけるサービスが注目を集めています。
このサービスでは、商品やサービスのPRを依頼したい企業(クライアント)と、SNSで影響力を持つインフルエンサーが登録し、プラットフォーム運営者が両者のマッチングから契約締結、報酬支払いまでを一括して管理します。従来の広告代理店を通した複雑な手続きとは異なり、デジタル完結型のスムーズな取引を実現できる点が大きな特徴です。
この規約テンプレートは、プラットフォーム運営開始時の会員登録から業務完了後の報酬支払いまで、サービス利用の全プロセスを網羅的にカバーしています。特に、インフルエンサーマーケティング特有の著作権の取り扱いや成約手数料の仕組み、三者間でのコミュニケーション方法など、この業界に特化した条項が盛り込まれているため、一般的な契約書では対応しきれない細かな運用ルールまで明確に定められています。
Word形式での提供となりますので、自社の事業形態に合わせて条項の追加・削除・修正が容易におこなえます。マッチングプラットフォーム事業の立ち上げや既存サービスの規約見直しの際に、そのまま活用いただけるよう実用性を重視した構成となっています。
【2】条文タイトル
第1条(定義) 第2条(適用) 第3条(登録) 第4条(登録事項の変更) 第5条(アカウントの管理) 第6条(業務の流れ) 第7条(報酬および支払い) 第8条(業務の中止・変更) 第9条(業務遂行上の義務) 第10条(禁止事項) 第11条(本サービスの停止等) 第12条(権利帰属) 第13条(業務成果物の権利) 第14条(退会) 第15条(当社による解除等) 第16条(保証の否認および免責) 第17条(秘密保持) 第18条(利用者情報の取扱い) 第19条(本規約等の変更) 第20条(連絡/通知) 第21条(サービス利用契約上の地位の譲渡等) 第22条(分離可能性) 第23条(準拠法および管轄裁判所) 第24条(協議解決)
【3】逐条解説
第1条(定義)
この条項では、規約全体で使用される重要な用語について明確な定義を行っています。プラットフォームサービスでは、複数の当事者が関わるため、それぞれの立場や役割を明確にしておくことが重要です。例えば、「クライアント」は企業だけでなく個人事業主も含むことで、幅広い依頼者を想定した設計となっています。また、「成約手数料」の定義により、収益構造を明確にしています。
第2条(適用)
この規約がどの範囲に適用されるかを定めた条項です。プラットフォーム上で発生するあらゆる関係性について規約が適用されることを明確にしています。また、随時更新される細則やガイドラインも規約の一部として扱われることで、運営の柔軟性を確保しています。条項間で矛盾が生じた場合の優先順位も定められており、後から追加されたルールが優先される仕組みになっています。
第3条(登録)
会員登録のプロセスと条件を定めています。登録は申請制となっており、運営会社が審査を行った上で承認する仕組みです。反社会的勢力の排除や未成年者への対応など、プラットフォーム運営上のリスクを軽減するための審査基準も含まれています。例えば、過去に契約違反歴のある者や、提供情報に虚偽がある場合は登録を拒否できる規定があります。
第4条(登録事項の変更)
会員情報に変更があった場合の手続きを定めています。プラットフォームでは正確な会員情報の管理が重要なため、変更があった際の速やかな通知を義務付けています。これにより、連絡不通や契約書類の不備を防ぐことができます。
第5条(アカウントの管理)
アカウントのセキュリティ管理について規定しています。他人への貸与や売買を禁止することで、なりすましや不正利用を防止しています。万が一アカウントが不正利用された場合でも、管理責任は会員にあることを明確にしており、プラットフォーム側の責任を限定しています。
第6条(業務の流れ)
マッチングサービスの核となる業務フローを詳細に定めています。クライアントによるインフルエンサー選定から、三者でのオンライン協議、契約締結、業務実行、完了確認まで、一連のプロセスが明確化されています。特に、運営会社がインフルエンサーを代理して契約を締結する点が特徴的で、個人のインフルエンサーでも安心して業務を受託できる仕組みになっています。
第7条(報酬および支払い)
金銭の流れと支払い条件を定めています。クライアントは運営会社に対して報酬を支払い、運営会社が手数料を差し引いた後にインフルエンサーに支払う仕組みです。この中間管理により、支払いトラブルのリスクを軽減しています。手数料率は別途定めることで、市場状況に応じた柔軟な料金設定が可能になっています。
第8条(業務の中止・変更)
業務開始後のキャンセルや変更について規定しています。クライアント都合での中止には手数料が発生することで、安易なキャンセルを抑制し、インフルエンサーの機会損失を補償しています。変更が必要な場合は三者協議による解決を基本としており、一方的な変更を防いでいます。
第9条(業務遂行上の義務)
双方の協力義務を定めています。インフルエンサーには誠実な業務遂行を、クライアントには必要な情報提供を求めることで、円滑な業務進行を確保しています。問題が発生した際は運営会社への報告を義務付けることで、早期解決とトラブルの拡大防止を図っています。
第10条(禁止事項)
プラットフォーム利用時の禁止行為を列挙しています。一般的な禁止事項に加え、情報収集の禁止や異性との出会い目的の利用禁止など、マッチングサービス特有のリスクに対応した条項も含まれています。これにより、健全なビジネス環境の維持を図っています。
第11条(本サービスの停止等)
システムメンテナンスや緊急事態におけるサービス停止について定めています。事前通知なしでの停止も可能とすることで、迅速な対応を可能にしています。また、停止による損害については免責とすることで、運営リスクを軽減しています。
第12条(権利帰属)
プラットフォームの知的財産権の帰属を明確にしています。サービス自体の権利は運営会社に帰属し、会員の投稿内容については適法性を保証させることで、著作権侵害などのリスクを防いでいます。
第13条(業務成果物の権利)
インフルエンサーが制作したコンテンツの著作権について詳細に規定しています。基本的にはクライアントに帰属するものの、インフルエンサーの既存スキルや汎用的な手法は保護されています。また、ポートフォリオとしての使用も認めることで、インフルエンサーのキャリア形成にも配慮しています。
第14条(退会)
退会手続きと退会時の義務について定めています。未払い債務がある場合は期限の利益を失い、即座に支払い義務が発生することで、踏み倒しを防いでいます。
第15条(当社による解除等)
運営会社による一方的な契約解除について規定しています。規約違反や長期間の利用停止、連絡不通などの場合に、事前通知なしでの解除を可能としています。これにより、問題のある会員を迅速に排除できます。
第16条(保証の否認および免責)
運営会社の責任範囲を限定する条項です。システムの完全性や継続性について保証しないことを明確にし、損害賠償の上限も設定しています。プラットフォーム事業では会員間のトラブルも想定されるため、そうした問題については当事者間での解決を求めています。
第17条(秘密保持)
会員が知り得た運営会社の秘密情報の取り扱いについて定めています。技術情報や営業情報の漏洩を防ぐため、厳格な秘密保持義務を課しています。ただし、既に公知の情報や法的な開示命令については例外としています。
第18条(利用者情報の取扱い)
個人情報の取り扱いについて規定しています。詳細は別途プライバシーポリシーで定めることとし、統計情報としての利用については許可を得ています。これにより、サービス改善のためのデータ活用が可能になっています。
第19条(本規約等の変更)
規約変更の手続きを定めています。事前通知後、継続利用または退会手続きを取らなかった場合は変更に同意したものとみなす仕組みです。これにより、サービスの発展に応じた柔軟な規約改定が可能になっています。
第20条(連絡/通知)
会員と運営会社間の連絡方法について定めています。登録されたメールアドレスへの送信をもって通知完了とすることで、確実な情報伝達を図っています。
第21条(サービス利用契約上の地位の譲渡等)
契約上の権利義務の譲渡について規定しています。会員は無断譲渡を禁止される一方、運営会社は事業譲渡時に会員情報も含めて譲渡できることとしています。これにより、M&Aや事業再編にも対応できます。
第22条(分離可能性)
規約の一部が無効になった場合でも、残りの部分は有効に存続することを定めています。これにより、規約全体が無効になるリスクを回避しています。
第23条(準拠法および管轄裁判所)
紛争が発生した場合の準拠法と管轄裁判所を定めています。日本法を適用し、東京地方裁判所を専属管轄とすることで、運営会社にとって予測可能性の高い紛争解決手続きを確保しています。
第24条(協議解決)
規約に定めのない事項や解釈に疑義が生じた場合の解決方法を定めています。まずは当事者間での誠実な協議による解決を求めることで、訴訟前の円満解決を促しています。
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