医療過誤・診断ミス死亡事案 示談書(汎用版)―病名・診療科を問わず使えるWord雛型―

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医療過誤・診断ミス死亡事案 示談書(汎用版)―病名・診療科を問わず使えるWord雛型―

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【1】書式概要

病院やクリニックで「別の病気」と診断されたまま治療が進まず、後になって本当の病名が判明したときにはすでに手遅れになっていた――そのような悲惨な経緯をたどって患者が亡くなってしまったとき、遺族と医療機関がどのように問題を収拾するかは、双方にとって非常に重大な局面です。本書式は、まさにそういった場面、つまり診断の誤りや精密検査の不実施が原因で患者が死亡した事案について、医療機関(病院・クリニック・診療所・大学病院・介護施設など)と遺族代表者が合意内容を文書として残すための示談書の雛型です。

 

大きな特徴は「汎用性の高さ」にあります。胃潰瘍と診断されながら実際は胃がんだったケースはもちろん、うつ病と診断されていたものが双極性障害だったケース、良性腫瘍と言われていたものが悪性腫瘍だったケースなど、病名の組み合わせを問わず使えるよう設計されています。書式内の【 】部分を実際の内容に書き換えるだけで、さまざまな診療科・疾患に対応できます。

 

盛り込んだ内容は、示談の成立確認・医療機関による認識の表明・謝罪・解決金の支払い方法・診療記録(カルテ)の開示・再発防止策・守秘義務・清算条項・合意管轄・誠実協議義務という10の条項で構成されており、実務上必要とされる要素をひと通り網羅しています。

 

ファイルはWord形式(.docx)で提供しますので、パソコン上でそのまま文字を入力・修正することができます。専門的な知識がなくても、案件に合わせて日付・金額・当事者名・病名などを埋めるだけで、自院や担当案件に即した書面として仕上げることが可能です。

 


 

【2】条文タイトル

 

第1条(示談の成立)
第2条(甲の認識表明)
第3条(謝罪)
第4条(解決金の支払い)
第5条(診療記録の開示)
第6条(再発防止策)
第7条(守秘義務)
第8条(清算条項)
第9条(合意管轄)
第10条(誠実協議)

 


【3】逐条解説

第1条(示談の成立)

この条項は、示談書全体の「出発点」となる条文で、甲(医療機関)と乙(遺族)が、今回の事案を示談という形で解決することに合意したという事実を明確に記録します。重要なのは、「診断行為に医療水準を下回る懈怠があり、それによって治療機会が失われた」という因果関係を双方が認識したうえで合意している、という点を文書として残せることです。口頭での話し合いだけでは後から「言った言わない」の問題が起きやすいため、この確認を書面化することに大きな意味があります。

 


第2条(甲の認識表明)

医療機関側が「何をしなかったのか」を具体的に認める条項です。たとえば「胃潰瘍と診断した際に、胃がんを除外するための内視鏡検査や生検を行わなかった」というように、どの段階でどのような検査を怠ったのかを明記します。単なる謝罪と異なり、事実の認識を記録に残す条文ですので、後に万一紛争が再燃した際の重要な証拠にもなります。病名や検査の種類は案件に応じて書き換えができる構造になっています。

 


第3条(謝罪)

医療機関が遺族に対して正式に謝罪の意を表す条項です。「遺憾の意を表し、誠実に謝罪する」という表現は、責任を認めつつも法的な賠償義務の範囲を限定しない配慮をしながら、遺族感情に寄り添うための文言として実務上よく用いられます。謝罪の言葉は金銭的解決とは別に、遺族にとって精神的な区切りになることが多く、示談書に明記する実益は小さくありません。

 


第4条(解決金の支払い)

示談の核心ともいえる、金銭的な解決内容を定める条項です。支払金額・支払期日・振込先口座を具体的に記載する欄を設けており、「損害賠償」「和解金」「見舞金」など、性質の呼び方を柔軟に選べる構成にしてあります。振込手数料を医療機関側が負担する旨も明記し、遺族側に余計な負担がかからないよう配慮しています。支払いの証跡が残るよう、振込という方法を原則としているのも実務上の定石です。

 


第5条(診療記録の開示)

カルテや検査記録・画像データなど一切の診療記録を遺族の求めに応じて開示することを医療機関に義務付ける条項です。遺族が今回の経緯をきちんと把握し、納得したうえで示談を締結できるようにするためのものです。また、この記録が後に他の医師によるセカンドオピニオン的な検証に使われることもあります。情報の非対称性を少しでも解消することが、遺族との信頼関係構築につながります。

 


第6条(再発防止策)

同じような事案を繰り返さないための取り組みを医療機関に約束させる条項です。「診療プロトコルの見直し」「院内研修の実施」など、具体的な措置の例を示しつつも、実態に合わせて内容を調整できる書き方にしてあります。遺族にとっては「自分たちの経験が次の患者の命を救うことにつながる」という意味合いを持つ条項でもあり、金銭以外の面で納得感を得られる要素として機能します。

 


第7条(守秘義務)

示談書の内容や事案の詳細を第三者に漏らさないことを双方に義務付けます。医療機関にとっては風評リスクの管理、遺族にとってもプライバシー保護の観点から重要です。ただし法令に基づく開示や裁判手続上の必要性がある場合はこの限りでないとする例外規定も設けており、現実的な運用を考慮した構成になっています。


第8条(清算条項)

「この示談書に定めること以外に、甲乙間にはもう何の請求権も残らない」ということを相互に確認する、いわゆる「一切解決」の条項です。これがあることで、示談後に遺族側から追加の金銭要求が来るリスクや、医療機関側から逆請求されるリスクを双方がシャットアウトできます。第2項では、担当医師や看護師ら個人に対しても今後一切請求しないことを遺族が確約する内容にしており、現場スタッフを守る機能も持っています。

 


第9条(合意管轄)

万一、示談後に内容をめぐる紛争が起きた場合に、どの裁判所で争うかをあらかじめ決めておく条項です。医療機関の所在地に近い地方裁判所を指定することが一般的で、双方が遠方の裁判所まで出向く負担を避ける効果があります。裁判所名は実際の所在地に合わせて書き換えてください。

 


第10条(誠実協議)

示談書に明記されていない事項や、解釈に迷う点が出てきたときに、双方が誠実に話し合って解決するという姿勢を確認する条項です。完璧な文書であっても、実際の場面では想定外の事態が起きることはあります。その際に「契約に書いていないからこちらは一切対応しない」という態度をとれないようにする、いわば関係継続のための安全弁です。


【4】FAQ

Q1. 示談書とは何ですか?裁判を起こさないと解決できないのではないですか? 示談書とは、当事者どうしが話し合いによって問題を解決した内容を書面にまとめたものです。裁判を経なくても、双方が合意に至れば示談書を取り交わすことで解決できます。むしろ裁判より早く・費用をかけずに決着できるケースが多く、医療紛争では示談による解決が一般的です。

 

Q2. 「汎用版」とは具体的にどういう意味ですか?

胃潰瘍と胃がんといった特定の病名の組み合わせに限らず、【 】内の病名を書き換えることで、うつ病と双極性障害、良性腫瘍と悪性腫瘍など、さまざまな誤診・診断遅延の事案に転用できるという意味です。別紙として「用語置換ガイド」も付属しています。

Q3. 解決金の金額はどうやって決めるのですか?

金額の算定根拠はケースによって異なり、患者の年齢・収入・治療機会の喪失期間・精神的苦痛の程度などを総合的に考慮します。本書式は金額の決め方を定めるものではなく、合意した金額を記録するための書面です。

 

Q4. 清算条項があると、後で追加請求は一切できないのですか?

原則としてできません。清算条項は「この示談書で全て解決した」という合意を双方が確認する条文です。ただし、示談締結時に存在を知らなかった重大な損害が後から判明した場合などは、例外的に争いになるケースもゼロではありません。

 

Q5. 担当医師の名前は必ず記載しなければなりませんか?

必須ではありません。別紙の用語置換ガイドにも「省略も可」と記載のとおり、案件の状況に応じて氏名の記載を省くことができます。

 

Q6. 守秘義務に違反した場合はどうなりますか?

本書式では違反した場合の罰則条項は設けていませんが、守秘義務違反は損害賠償請求の対象となりえます。より厳格な管理が必要な場合は、違約金条項を追記することを検討してください。

 

Q7. Word形式でどこを書き換えればよいかわかりません。

ファイルを開くと【 】で囲まれた箇所が書き換え対象です。Wordの「検索と置換」機能(Ctrl+H)を使って一括変換するとスムーズです。また、冒頭の「テンプレート利用上の注意」と別紙の「用語置換ガイド」を参考にしながら作業を進めてください。

 


【5】活用アドバイス

まず、事案の概要表を最初に埋めることをお勧めします。患者氏名・当初診断名・真の疾患名・診察期間・死亡日という基本情報が揃うと、その後の条文への落とし込みが格段にスムーズになります。全体を俯瞰してから細部に入る手順が、記載漏れ防止にも有効です。

 

病名の置き換えはWordの「検索と置換」(Ctrl+H)を使って一括処理すると、書き忘れを防げます。たとえば「胃潰瘍」「胃がん」という文字列をまとめて実際の病名に変換すれば、第2条のような複数箇所への反映もれがなくなります。

 

解決金の金額・振込先・支払期日は、交渉が完全にまとまった後で最後に記入するのが無難です。交渉途中の数字を誤って本書式に書き込んだまま印刷・共有してしまうトラブルを防ぐためです。

 

守秘義務条項(第7条)が含まれているため、示談書のデータや印刷物の取り扱いには注意が必要です。担当者以外が閲覧できる場所への保存、メールへの無暗号化での添付などは避け、管理ルールを事前に決めておきましょう。

 

本書式には違約金条項や遅延損害金条項が含まれていません。解決金の支払いが遅れた場合に備えて遅延損害金の定めを加えたい場合や、再発防止策の不履行に対してペナルティを設けたい場合は、第4条または第6条の後に条項を追加することをご検討ください。Word形式ですので、条文の追加・削除・並べ替えも自由に行えます。

 

 

 

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