【1】書式概要
〔改正民法対応版〕秘密保持誓約書は、企業が従業員から業務上知り得た機密情報や個人情報の保護を約束してもらうための重要な書類です。この書式は改正民法に対応しており、会社の機密情報保護と情報漏洩リスク管理において必須のツールとなります。
新入社員の入社時や、重要プロジェクト参加時、取引先との情報共有前など、様々な場面で活用できます。特に、退職後5年間の秘密保持義務について明記しており、企業の知的財産や顧客情報を長期的に保護する効果があります。形式はシンプルながらも要点を押さえた構成で、会社名と代表者名を記入するだけですぐに使用可能です。企業の大小を問わず、情報資産を守るための基本的な対策として導入を検討しましょう。
【2】解説
誓約事項1: 機密情報・個人情報の重要性認識
会社の保有する機密情報や顧客の個人情報が重要な資産であることを従業員自身が理解し認識することを求める条項です。例えば、新製品の開発情報や取引先リスト、マーケティング戦略などが漏洩すれば企業の競争力が大きく損なわれます。
また、顧客の住所や連絡先などの個人情報は、プライバシー保護の観点からも特に慎重な取扱いが求められるものです。この条項は、情報保護の基本となる「意識付け」を行う重要な役割を果たします。
誓約事項2: 社内ルールの遵守
情報取扱いに関する社内規定やマニュアルに従って業務を行うことを約束する条項です。例えば「社外へのデータ持ち出し禁止」「パスワード定期変更」「シュレッダー使用義務」などの具体的なルールを含むことが想定されます。
これらのルールは会社によって異なりますが、この誓約書を通じて従業員がルール遵守の責任を負うことを明確にします。
誓約事項3: 個人的な情報保管・利用の禁止
業務上知り得た情報を私的な目的で保存したり利用したりしないことを約束する条項です。たとえば、顧客リストを転職先で活用する目的でUSBメモリにコピーしたり、競合他社の株を購入するために非公開の業績情報を利用したりする行為が禁止されます。この条項により、会社の情報は業務目的にのみ使用されるべきことが明確になります。
誓約事項4: 情報漏洩による損害の認識
情報漏洩や紛失が発生した場合に会社が被る経済的・社会的ダメージの大きさを認識することを求める条項です。例えば、ある企業では顧客情報の流出により数億円の損害賠償責任が生じたケースや、取引先からの信頼を失い主要契約を失った事例などが考えられます。この条項は、情報管理の重要性を「結果責任」の観点から理解させる効果があります。
誓約事項5: 罰則・損害賠償の認識
情報漏洩や紛失に対する社内処分の可能性や、故意または重大な過失がある場合には損害賠償責任を負う可能性があることを確認する条項です。懲戒処分から民事訴訟、場合によっては刑事罰に至るリスクがあることを明示することで、情報管理に対する意識を高める効果があります。特に意図的な情報持ち出しや過失による紛失では、当事者が経済的責任を問われる可能性があることを理解させる重要な条項です。
誓約事項6: 退職後の秘密保持義務
退職後も5年間にわたって知り得た情報の非開示・秘密保持義務が継続することを定める条項です。例えば、研究開発部門の社員が退職後すぐに競合他社で同じ製品開発に従事する場合、前職で得た技術情報を使わないことを約束する内容になります。この期間設定により、一定期間は企業秘密が保護され、不正競争を防止する効果があります。期間については業種や情報の性質によって適切な長さを検討する必要があります。