〔改正民法対応版〕漫画原作創作及び著作権譲渡契約書〔委託者有利版〕

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〔改正民法対応版〕漫画原作創作及び著作権譲渡契約書〔委託者有利版〕

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【1】書式概要 

 

この契約書は、出版社や制作会社が漫画の原作者に作品制作を依頼する際に使用する専門的な契約書です。近年の漫画業界では、原作と作画を分業するスタイルが主流となっており、特にヒット作品の多くがこうした制作体制で生み出されています。

 

この書式が最も力を発揮するのは、出版社が新人や中堅の原作者と継続的な制作契約を結ぶ場面です。例えば、週刊誌での連載開始時や、既存作品の続編制作時、さらには人気作品のスピンオフ企画立ち上げ時などで活用されます。また、最近増加している配信プラットフォーム向けの独占コンテンツ制作でも重宝されるでしょう。

 

現代の出版業界では、作品の価値が従来の紙媒体を超えて、アニメ化、映画化、ゲーム化といったメディアミックス展開まで視野に入れる必要があります。この契約書は、そうした多角的な権利処理を想定して作られているため、将来的な収益機会を最大化したい出版社にとって非常に有効なツールとなります。

 

特に注目すべきは、デジタル配信時代に対応した権利処理が盛り込まれている点です。電子書籍の普及により、従来の印刷部数ベースでは測れない新しい収益構造が生まれており、この契約書はそうした変化にも対応できる柔軟性を持っています。


【2】条文タイトル

 

第1条(定義)
第2条(委託業務)
第3条(納品及び検収)
第4条(委託期間)
第5条(報酬)
第6条(著作権の譲渡)
第7条(二次的利用)
第8条(競業避止)
第9条(クレジット表記)
第10条(秘密保持)
第11条(権利保証)
第12条(契約解除)
第13条(契約終了後の措置)
第14条(損害賠償)
第15条(反社会的勢力の排除)
第16条(協議事項)
第17条(管轄裁判所)

 

【3】逐条解説

 

第1条(定義)

 

この条文は契約書の土台となる用語を明確に定めています。実際の現場では「本作品」の範囲があいまいになりがちですが、ここで具体的な作品名を記載することで後々のトラブルを防げます。「二次的著作物」の定義も重要で、例えばスマートフォンゲーム化の際に権利関係で揉めるケースが業界では珍しくありません。


第2条(委託業務)

 

原作者が担当する具体的な業務内容を列挙した条文です。現代の漫画制作では、単純にストーリーを書くだけでなく、作画者や編集者との綿密な連携が求められます。例えば、人気作品「進撃の巨人」も原作者の諫山創氏が作画担当でしたが、多くのヒット作では原作者が別にいるパターンが増えています。この条文により、そうした複雑な制作体制での役割分担が明確になります。


第3条(納品及び検収)

 

制作スケジュールの根幹となる納品ルールを定めています。週刊連載では非常にタイトなスケジュールが要求され、例えば「週刊少年ジャンプ」のような人気誌では、プロット提出から掲載まで数週間しかありません。この条文により、そうした厳しいスケジュールでも品質を保てる体制が構築できます。


第4条(委託期間)

 

契約の存続期間を定めた条文で、自動更新条項が特徴的です。成功した連載作品は長期間続くことが多く、例えば「ワンピース」のように20年以上続く作品もあります。自動更新により、毎年契約更新の手続きをする煩雑さを避けながら、必要に応じて契約終了もできる柔軟性を持たせています。


第5条(報酬)

 

原作者への対価について定めた重要な条文です。現在の業界では、原稿料だけでなく印税による収益分配が一般的になっています。ただし、電子書籍については印税対象外とする条項が含まれており、これは出版社側に有利な設定といえます。近年は電子書籍市場が急拡大しているため、この点は交渉のポイントになるでしょう。


第6条(著作権の譲渡)

 

最も重要な条文の一つで、作品の著作権を完全に出版社側に移転させる内容です。これにより、出版社は作品を自由に活用できるようになります。例えば、人気作品のアニメ化やグッズ展開なども、この条文があることで円滑に進められます。ただし、原作者にとっては将来的な収益機会を手放すことにもなるため、慎重な判断が必要です。


第7条(二次的利用)

 

メディアミックス展開に関する条文で、現代のコンテンツビジネスでは極めて重要です。成功作品の多くは、漫画から始まってアニメ、映画、ゲームと展開していきます。「鬼滅の刃」のように、アニメ化により爆発的人気を獲得する例も珍しくありません。この条文により、そうした多角展開から生まれる収益を出版社が独占できる仕組みになっています。


第8条(競業避止)

 

原作者の活動を制限する条文で、出版社の投資を保護する目的があります。例えば、人気作品の原作者が他社で類似作品を発表してしまうと、元の作品の価値が薄れる可能性があります。契約終了後2年間という制限期間は、業界標準的な設定といえるでしょう。


第9条(クレジット表記)

 

原作者の名前表示に関する条文ですが、出版社の裁量により省略可能という条項が含まれています。クリエイターにとって名前の表示は重要な権利ですが、商業的な判断で省略される可能性があることを示しています。実際の現場では、売上向上のために有名作画者の名前だけを前面に出すケースもあります。


第10条(秘密保持)

 

作品情報の漏洩防止を目的とした条文です。現代では SNS の普及により、制作途中の情報が簡単に拡散してしまうリスクがあります。例えば、人気作品の重要な展開が事前に漏れてしまうと、読者の興味を大きく削ぐことになります。この条文により、そうしたリスクを最小限に抑えることができます。


第11条(権利保証)

 

原作者が作品の独創性を保証する条文です。近年は、既存作品との類似性を指摘される事例が増えており、出版社にとってはリスク管理の重要な要素となっています。万一、第三者から権利侵害の主張があった場合、原作者が責任を負うという内容になっています。


第12条(契約解除)

 

出版社側から契約を解除できる条件を定めた条文です。特に納期遅延による解除条項は実務上重要で、週刊連載などでは一度でもスケジュールが狂うと全体に影響が及びます。また、作品完成困難の場合の解除条項により、プロジェクトの早期終了判断も可能になります。


第13条(契約終了後の措置)

 

契約終了後も一部の条項が継続することを定めています。特に著作権譲渡や競業避止、秘密保持については、契約終了後も効力を持ち続けるため、出版社の権益保護が図られています。これにより、長期的な事業展開の安定性が確保されます。


第14条(損害賠償)

 

原作者の契約違反により出版社に損害が発生した場合の責任を明確にした条文です。例えば、納期遅延により雑誌の発行スケジュールが狂った場合の損失や、権利侵害により作品販売停止となった場合の機会損失などが対象となります。


第15条(反社会的勢力の排除)

 

近年の契約書では必須となっている条項で、コンプライアンス体制の一環です。出版業界でも企業の社会的責任が重視される中、取引先の適正性確保は重要な課題となっています。違反が判明した場合の無催告解除により、迅速な関係遮断が可能になります。


第16条(協議事項)

 

契約書で定めきれない事項や解釈の違いが生じた場合の解決方法を定めています。実際の制作現場では予期しない状況が多々発生するため、柔軟な対応を可能にする重要な条文です。まずは当事者間での話し合いを基本とすることで、円満な解決を目指します。


第17条(管轄裁判所)

 

万一、裁判になった場合の裁判所を事前に決めておく条文です。出版社の本社所在地の裁判所を指定することが一般的で、これにより出版社側の負担軽減が図られています。全国に展開する大手出版社にとっては、訴訟対応の効率化につながる重要な条項といえます。

 

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