【1】書式概要
この「月賦払い機械売買契約書(買主有利版)」は、機械設備の分割払い購入を検討されている事業者様向けの契約書雛型です。機械設備の導入を計画している中小企業や個人事業主の方々に特におすすめします。
本契約書は民法改正に完全対応しており、特に契約不適合責任(旧瑕疵担保責任)条項を最新の法律に合わせて設計しています。買主側の立場を保護する条項が充実しているため、購入者側にとって安心して利用できる内容となっています。
適用場面としては、工作機械、印刷機器、建設機械、医療機器、厨房設備など高額な業務用機械を分割払いで購入する際に最適です。月々の支払計画を明確にし、所有権の移転時期や危険負担、契約解除条件などを詳細に規定しているため、後々のトラブル防止に役立ちます。
また、反社会的勢力排除条項も盛り込まれており、コンプライアンス面でも安心です。契約不適合が発見された場合の修補請求権や代金減額請求権についても明記されており、買主の権利を適切に保護します。
万が一の紛争に備えた合意管轄条項も含まれており、法的安全性の高い契約書となっています。機械設備の分割購入を検討されている方は、この雛型をベースに自社の状況に合わせてカスタマイズすることで、スムーズな取引と安全な事業運営をサポートします。
〔条文タイトル〕
第1条(本件機械の売買)
第2条(代金の支払い)
第3条(本件機械の引き渡し・所有権の移転)
第4条(危険の移転)
第5条(解除)
第6条(契約不適合)
第7条(合意管轄)
第8条(協議)
【2】逐条解説
はじめに
本解説では、機械設備の分割払い(月賦払い)購入に関する契約書の各条項について、買主視点で重要なポイントを解説します。民法改正に対応した最新の法的観点から、各条項の意味と実務上の注意点を説明します。
第1条(本件機械の売買)
この条項では、売買の対象となる機械の詳細(品名、数量、型番、製造番号、製造年月日)と代金額を明記します。買主としては、購入する機械の特定が明確になされていることが重要です。特に中古機械の場合は製造番号や製造年月日の確認が欠かせません。また、代金総額を明確に定めることで、後々の金額トラブルを防止できます。
第2条(代金の支払い)
月賦払いの具体的な条件(支払開始月、支払終了月、月々の支払日、支払金額、振込先口座情報)を定めています。買主は支払計画を立てやすくなり、資金繰りの予測が可能になります。支払日や振込先が明確に定められていることで、支払い忘れによるトラブルを防ぐことができます。実務上は、支払スケジュールを別表として添付するケースも多いでしょう。
第3条(本件機械の引き渡し・所有権の移転)
機械の引き渡し場所と所有権移転時期を規定しています。引き渡し場所を明確にすることで、輸送責任の所在が明らかになります。本契約では、代金支払いと引き換えに所有権が移転すると定められており、買主にとって安全な条件となっています。買主は機械を確実に受け取った時点で所有権を取得できます。
第4条(危険の移転)
機械の滅失・毀損に関するリスク(危険)の移転時期を規定します。引き渡し時に危険が移転するとされており、それ以前に天災等で機械が損傷した場合は契約解除が可能です。買主としては、引き渡し前の不可抗力による損害を負担しなくて済むという点で有利な条項です。実務上は、引き渡し前の保険加入についても検討すべきでしょう。
第5条(解除)
契約解除の条件を規定しています。売主側の解除権としては、買主の財務状況悪化や反社会的勢力との関連が挙げられています。また相互の解除権として、相手方の契約違反があった場合の解除権と損害賠償請求権が定められています。買主側にとっては、売主の契約違反に対する救済措置が明確になっている点が重要です。
第6条(契約不適合)
旧法の「瑕疵担保責任」に代わる「契約不適合責任」に関する条項です。機械に契約内容と異なる点(契約不適合)があった場合の買主の権利として、修補請求権や代金減額請求権が規定されています。買主の請求権行使期間は引き渡しから3年と定められており、民法の原則通りです。買主にとって重要な保護条項であり、機械に不具合があった場合の救済を受けられます。
第7条(合意管轄)
契約に関する紛争が生じた場合の裁判管轄を定めています。専属的合意管轄裁判所を定めることで、訴訟提起の場所が明確になります。実務上は、買主の所在地を管轄する裁判所を指定することが買主にとって有利となるでしょう。
第8条(協議)
契約書に定めのない事項や解釈に疑義が生じた場合の解決方法を定めています。当事者間の協議による解決を優先する姿勢を