【1】書式概要
人材採用市場が急速に変化する昨今、企業の採用活動を成功させるためには専門的なコンサルティングが不可欠です。本契約書は、人材応募単価の適正化や年間3万人規模の応募者獲得ノウハウを持つ採用コンサルティング会社との業務委託関係を法的に整備するための完全雛形です。
改正民法に完全対応し、実務上の重要ポイントを網羅した本契約書は、中小企業から大企業まで幅広くご利用いただけます。採用コンサルタントへの業務委託を検討している人事担当者や経営者の方々に最適な内容となっています。
本契約書の特長
初年度無償でのコンサルティング提供や、人材応募単価980円以下という具体的な成果指標の設定など、実務に即した条項を盛り込んでいます。秘密保持義務や個人情報保護についても詳細に規定し、コンプライアンス面でも安心してご利用いただけます。
採用業務の外部委託を検討している企業や、自社の採用コンサルティングサービスの契約書を整備したい人材サービス会社にとって、すぐに実務で活用できる内容です。求人広告の作成支援から面接・内定・承諾に関するコンサルティング、採用担当者への教育・研修支援まで、採用プロセス全体をカバーした包括的な内容となっています。
この契約書雛形を活用することで、採用コンサルティング業務の委託関係をスムーズに構築し、効果的な採用活動の実現につなげることができます。人材獲得競争が激化する現代において、専門家のノウハウを最大限に活用するための強固な法的基盤を整えましょう。
〔条文タイトル〕
第1条(目的)
第2条(定義)
第3条(業務内容)
第4条(業務実施体制)
第5条(業務遂行方法)
第6条(成果指標及び目標)
第7条(委託料)
第8条(契約期間)
第9条(再委託の禁止)
第10条(秘密保持)
第11条(個人情報の取扱い)
第12条(報告義務)
第13条(権利義務の譲渡禁止)
第14条(損害賠償)
第15条(免責事由)
第16条(解除)
第17条(反社会的勢力の排除)
第18条(協議事項)
第19条(管轄裁判所)
第20条(解除)
【2】逐条解説
第1条(目的)
この条項は契約全体の趣旨を明確にするものです。採用コンサルティングサービスという専門性の高い業務を委託する際の基本的な関係性を規定しています。目的条項は契約解釈の基準となるため、業務の性質を端的に表現することが重要です。将来的に契約内容について解釈の相違が生じた場合、この目的条項が判断基準となります。
第2条(定義)
契約書で使用される重要な用語の意味を明確にしています。特に「応募者」「採用」「応募単価」「コンサルティングサービス」といった本契約の核となる概念を定義することで、当事者間の認識の齟齬を防ぎます。採用業界特有の専門用語について明確にしておくことで、後々のトラブル防止に役立ちます。
第3条(業務内容)
委託する業務の具体的な内容を明記しています。求人媒体の選定から始まり、選考支援、面接・内定・承諾に関するコンサルティング、マニュアル作成、教育・研修支援、分析・改善提案まで、採用プロセス全体をカバーする包括的な業務範囲となっています。業務内容を明確にすることで、成果物やサービス品質の評価基準が明確になります。
第4条(業務実施体制)
業務を遂行するための人的リソースについて規定しています。専門知識と経験を持つ担当者の配置を義務付け、担当者変更時の手続きを定めています。また、サービス品質確保のための教育・研修実施義務も含まれており、長期的な品質維持を図る条項となっています。
第5条(業務遂行方法)
業務の進め方について規定しています。委託者の要望把握と適切な提案、定期的な進捗報告、市場動向を踏まえた戦略見直し提案などが含まれています。特に月1回以上の進捗報告は、プロジェクト管理の観点から重要な規定です。
第6条(成果指標及び目標)
業務の成果を測定するための具体的な指標を設定しています。人材応募単価980円以下という具体的な数値目標や、年間30,000名規模の応募者数実績に基づくノウハウ提供などが明記されています。市場環境変化に応じた見直し条項も含まれており、柔軟性を持たせた設計になっています。成果指標の設定は、特に成果報酬型の契約では極めて重要です。
第7条(委託料)
対価の支払いに関する条項です。初年度無償という特徴的な条件設定がされており、2年目以降は応募者数や採用実績、応募単価実績などを考慮して決定する仕組みです。委託料の支払方法や振込手数料の負担についても明記されています。無償期間を設けることで、コンサルティング会社の実力を見極める機会を得られるという実務的なメリットがあります。
第8条(契約期間)
契約の有効期間と自動更新について規定しています。基本期間を1年間とし、30日前までに終了の意思表示がなければ自動更新される仕組みです。契約更新の手間を省きつつ、必要に応じて見直しができる柔軟な設計となっています。
第9条(再委託の禁止)
業務の再委託に関する制限を規定しています。全部または重要部分の再委託を禁止し、一部再委託も事前承諾を要件としています。再委託先にも本契約と同等の義務を負わせる条項により、業務品質の確保とリスク管理を図っています。特に個人情報を扱う採用業務では、情報管理の観点から再委託の制限は重要です。
第10条(秘密保持)
機密情報の取扱いについて規定しています。応募者情報、採用計画・戦略、人事制度・給与体系などが秘密情報として明示されており、採用業務特有の機密情報に配慮した内容となっています。契約終了後も3年間義務が継続する点も実務上重要です。
第11条(個人情報の取扱い)
応募者などの個人情報保護について詳細に規定しています。個人情報保護法の遵守、責任者の選任、目的外使用の禁止、安全管理措置、契約終了後の返還・廃棄義務などが含まれており、コンプライアンス面で充実した内容です。採用業務では大量の個人情報を扱うため、この条項は特に重要性が高いといえます。
第12条(報告義務)
業務遂行に影響を与える事象が発生した場合の報告義務を規定しています。法令違反、個人情報漏洩、システム障害など具体的な報告対象事項が明記されており、リスク管理の観点から重要な条項です。早期の問題把握と対応のための実務的な規定となっています。
第13条(権利義務の譲渡禁止)
契約上の地位や権利義務の第三者への譲渡を制限する条項です。採用コンサルティングでは担当者の専門性や相性が重要なため、当事者の固定性を確保することが契約の本質に関わります。この条項により、信頼関係に基づく契約関係の安定性が保たれます。
第14条(損害賠償)
契約違反による損害発生時の賠償責任について規定しています。通常損害を基本としつつ、特別損害も予見可能性がある場合には賠償範囲に含める民法の原則に沿った内容です。改正民法の債権法改正を踏まえた現代的な表現となっています。
第15条(免責事由)
不可抗力による契約不履行の免責について規定しています。天災地変や戦争だけでなく、法令改正や公権力による命令なども免責事由として明記されており、幅広いリスクに対応した内容です。採用市場は法令改正の影響を受けやすいため、この点への配慮は実務上重要です。
第16条(解除)
契約解除の要件と手続きを規定しています。重大な契約違反の場合の催告解除と、特定の事由発生時の無催告解除が区別されています。特に無催告解除事由として、監督官庁からの処分や倒産手続開始など、取引安全上重要な事項が網羅されています。
第17条(反社会的勢力の排除)
反社会的勢力との関係排除について規定しています。自社だけでなく役員についても該当しないことを表明保証し、違反時には無催告解除できる仕組みです。昨今のコンプライアンス要請を踏まえた必須条項といえます。
第18条(協議事項)
契約に定めのない事項や解釈に疑義が生じた場合の解決方法を規定しています。当事者間の誠実な協議による解決を基本とする柔軟な対応を定めています。長期的な業務委託関係においては、想定外の事態に対応するためのこうした条項の重要性は高いといえます。
第19条(管轄裁判所)
協議事項と同じ内容が重複して記載されています。本来は紛争時の管轄裁判所を定める条項であるべきところ、第18条の内容が誤って記載されている可能性があります。適切な修正が必要な箇所です。
第20条(解除)
本来は「合意管轄」などの表題が適切と思われますが、紛争時の管轄裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所として定めています。訴訟となった場合の予測可能性を高め、地理的に有利な裁判所を指定できる実務上重要な条項です。なお、「解除」という表題は第16条と重複しており、誤記の可能性がありますので注意が必要です。