【1】書式概要
こちらの契約書雛型は、個人クリエイターがライブ配信プラットフォームを利用する際に必要となる法的枠組みを網羅した包括的な契約書です。改正民法に完全対応しており、プラットフォーム運営者とクリエイターの間で生じる権利義務関係を明確に定義しています。
この契約書雛型は、投げ銭やスーパーチャット、月額メンバーシップといった多様な収益モデルに対応した収益分配の条件を詳細に規定しています。特に重要な条項として、収益の分配率(投げ銭・スーパーチャットはクリエイター70%、月額メンバーシップはクリエイター75%)や支払い条件、源泉徴収の取り扱いなどが明確に記載されています。
また、配信要件やガイドライン、アカウント管理方法も具体的に定められており、クリエイターが安心して活動できる環境づくりをサポートします。知的財産権の帰属や利用許諾、個人情報の取り扱いなど、デジタルコンテンツビジネスで重要となる法的論点もカバーしています。
契約期間や解約・解除条件、紛争解決方法なども明記されており、将来的なトラブル防止にも配慮された構成となっています。ライブ配信プラットフォームの運営者やクリエイターとして活動を始める方、既存の契約を見直したい方にとって、専門的な法律知識がなくても安心して利用できる実務的な契約書雛型です。必要に応じて個別の状況に合わせてカスタマイズすることで、より確実な法的保護を実現します。
〔条文タイトル〕
以下に契約書の条文数とタイトルを抜き出しました:
第1条(目的)
第2条(定義)
第3条(アカウント管理)
第4条(配信要件)
第5条(収益の分配)
第6条(源泉徴収)
第7条(収益の取消・返金)
第8条(配信ガイドライン)
第9条(広告・スポンサー)
第10条(権利の帰属)
第11条(クリエイターの表明保証)
第12条(機密保持)
第13条(個人情報の取扱い)
第14条(契約期間)
第15条(解約)
第16条(解除)
第17条(契約終了後の措置)
第18条(損害賠償)
第19条(不可抗力)
第20条(権利義務の譲渡禁止)
第21条(契約の変更)
第22条(存続条項)
第23条(準拠法)
第24条(合意管轄)
第25条(協議事項)
【2】逐条解説
第1条(目的)
この条項では契約の目的を明確にしています。クリエイターがプラットフォーム上で行うライブ配信から得られる収益の分配方法や、プラットフォーム利用に関する基本的な事項を定めることが本契約の目的であると明示しています。この条項は契約全体の方向性を示す重要な役割を果たしています。
第2条(定義)
契約で使用される専門用語の定義を行っています。「ライブ配信」「アーカイブ配信」「視聴者」「投げ銭」「スーパーチャット」「月額メンバーシップ」「収益」といった用語の意味を明確にすることで、契約解釈における誤解を防ぎます。特にオンラインプラットフォームビジネス特有の用語が多いため、この定義条項は非常に重要です。
第3条(アカウント管理)
クリエイターのアカウント管理に関する義務を規定しています。専用アカウントの保有、登録情報の正確性維持、認証情報の適切な管理、不正利用発見時の通知義務などが含まれます。この条項はプラットフォームのセキュリティ確保とユーザー保護のために設けられています。
第4条(配信要件)
ライブ配信を行う際の技術要件と配信頻度について定めています。映像・音声のビットレートやフレームレートの最低基準、安定した通信環境の確保、月間配信回数の目標などが規定されています。この条項は配信の品質維持とプラットフォームの活性化を目的としています。
第5条(収益の分配)
収益分配の核心部分を規定しています。投げ銭・スーパーチャット(クリエイター70%、プラットフォーム30%)や月額メンバーシップ(クリエイター75%、プラットフォーム25%)の分配率、締め日、確定日、支払い方法、振込手数料の負担、少額分配金の取扱いなどを詳細に定めています。収益に関わる重要条項です。
第6条(源泉徴収)
税法上の義務として、プラットフォーム運営者が分配金から所得税・住民税を源泉徴収することと、源泉徴収税額計算書の交付義務を規定しています。税務コンプライアンスを確保するための条項です。
第7条(収益の取消・返金)
視聴者からの返金要求や不正な方法で得られた収益の取り扱いについて定めています。返金額のクリエイターへの次回分配金からの控除や、不正収益の分配取消権をプラットフォーム運営者に与えています。トラブル時の対応方針を明確にする条項です。
第8条(配信ガイドライン)
禁止される配信内容(わいせつ表現、暴力的表現、差別的表現、虚偽情報、違法行為助長)を明示し、適切な視聴者モデレーションや権利侵害申立て時の報告義務をクリエイターに課しています。健全なプラットフォーム運営のための行動規範を定める条項です。
第9条(広告・スポンサー)
クリエイターが配信内で広告やスポンサー商品を紹介する際の手続きと、それらの収入の取り扱いについて規定しています。事前申請・承認の必要性と、収益分配については別途協議して決定するとしています。外部収益の取扱いを明確にする条項です。
第10条(権利の帰属)
配信コンテンツに関する著作権等の知的財産権の帰属と利用許諾について規定しています。権利はクリエイターに帰属すること、プラットフォーム運営者への利用許諾範囲(配信・公開、プロモーション利用、データ保存・バックアップ、分析)を明確にしています。権利関係を整理する重要条項です。
第11条(クリエイターの表明保証)
クリエイターが契約締結権を有すること、配信内容が第三者の権利を侵害しないこと、適切な権利処理を行っていること、反社会的勢力との関係がないことを表明・保証する条項です。リスク分散とプラットフォーム保護のための条項です。
第12条(機密保持)
両当事者の機密保持義務を規定しています。相手方の機密情報を第三者に開示・漏洩しない義務、例外事項(公知情報、既保有情報、適法取得情報、法令要求情報)、契約終了後の存続期間(2年間)を定めています。情報管理を徹底する条項です。
第13条(個人情報の取扱い)
個人情報保護に関する条項です。プラットフォーム運営者のクリエイター個人情報利用目的、法令遵守義務、クリエイターの視聴者個人情報取扱い義務を規定しています。個人情報保護法対応として必須の条項です。
第14条(契約期間)
契約の有効期間(1年間)と自動更新の条件を規定しています。期間満了1ヶ月前までに解約申出がなければ同一条件で1年間自動更新されるとしています。契約の時間的範囲を定める基本条項です。
第15条(解約)
クリエイターによる通常解約の手続きと効果について規定しています。1ヶ月前の書面通知による解約権と、解約後も未払い分配金の受領権は失わないことを明記しています。クリエイターの契約離脱権を保障する条項です。
第16条(解除)
契約違反や重大事由による解除権について規定しています。契約違反に対する催告解除権と、重大な法令・契約違反、倒産手続開始、支払停止・不能、反社関係判明などの場合の無催告解除権を定めています。契約の強制終了事由を明確化する条項です。
第17条(契約終了後の措置)
契約終了時の措置を規定しています。クリエイターのプラットフォーム利用停止義務、未払い分配金の支払い、機密保持・個人情報取扱い義務の存続について定めています。契約終了後のトラブル防止のための条項です。
第18条(損害賠償)
損害賠償責任について規定しています。契約違反による損害賠償責任と、プラットフォーム運営者の責任制限(故意・重過失の場合を除く免責)を定めています。リスク分配を明確にする条項です。
第19条(不可抗力)
天災地変、戦争、暴動、法令改廃、公権力による命令、ストライキなど不可抗力による契約不履行の免責を規定しています。当事者のコントロールを超えた事態への対応を定める条項です。
第20条(権利義務の譲渡禁止)
契約上の地位や権利義務の第三者への譲渡・担保提供を禁止する条項です。相手方の事前の書面による承諾がない限り、これらの行為ができないことを明記しています。契約の人的要素を保護する条項です。
第21条(契約の変更)
契約内容の変更手続きを規定しています。プラットフォーム運営者による1ヶ月前の変更通知と、クリエイターの黙示的同意(1ヶ月以内に異議を述べない場合)の仕組みを定めています。契約の柔軟な修正を可能にする条項です。
第22条(存続条項)
契約終了後も効力を有する条項を明記しています。権利帰属、機密保持、個人情報取扱い、損害賠償、権利義務譲渡禁止、準拠法、合意管轄の各条項が契約終了後も存続するとしています。重要義務の継続性を確保する条項です。
第23条(準拠法)
契約の準拠法を日本法と定めています。法的解釈の基準を明確にする条項です。
第24条(合意管轄)
契約に関する紛争の第一審専属的合意管轄裁判所を定めています。紛争解決の場所を特定することで、予測可能性を高める条項です。
第25条(協議事項)
契約に定めのない事項や解釈に疑義が生じた場合の解決方法として、両当事者による誠実協議を規定しています。予期せぬ事態に対処するための柔軟性を持たせる条項です。