【1】書式概要
この契約書は、プロスポーツ選手とマネジメント会社の間で締結される包括的な業務委託契約書です。近年のスポーツビジネスの発展とともに、選手個人では対応が困難になった多岐にわたる業務を専門会社に委託する際に必要となる重要な書類となります。
改正民法に完全対応しており、現行の民法規定に沿った適切な条項構成となっているため、安心してご利用いただけます。競技活動の支援から商業的活動の展開まで、選手のキャリア全体をサポートする業務内容を明確に定めており、トラブルの未然防止に大きく貢献します。
この契約書が特に威力を発揮するのは、プロ選手として活動を開始する際のマネジメント会社との契約締結時、既存契約の見直し時、そして選手のキャリアステージに応じた契約条件の変更時です。また、スポンサー獲得や各種イベント出演などの商業的機会が増加する局面においても、権利関係を明確にする重要な役割を果たします。
Word形式での提供となりますので、選手や会社の具体的な状況に応じて自由に編集・カスタマイズが可能です。専門用語についても分かりやすい表現を心がけており、契約内容の理解促進にも配慮した構成となっています。
【2】条文タイトル
第1条(契約の目的) 第2条(委託業務の内容) 第3条(独占的委託) 第4条(選手の義務) 第5条(会社の義務) 第6条(報酬) 第7条(経費) 第8条(契約期間) 第9条(秘密保持) 第10条(競業避止義務) 第11条(権利の帰属) 第12条(損害賠償) 第13条(契約の解除) 第14条(反社会的勢力の排除) 第15条(契約終了後の処理) 第16条(譲渡禁止) 第17条(協議事項) 第18条(準拠法および管轄裁判所)
【3】逐条解説
第1条(契約の目的)
この条項は契約全体の基本的な枠組みを示しています。選手が自分の競技活動と商業活動に関するマネジメント業務を会社に委託し、会社がそれを引き受けるという基本構造を明確にしています。例えば、サッカー選手が代理人会社に移籍交渉や広告出演の調整を任せる場合の基本的な関係性がここで定められます。
第2条(委託業務の内容)
マネジメント会社が担う具体的な業務範囲を詳細に列挙した重要な条項です。競技面では練習環境の整備や大会参加手続き、商業面ではスポンサー契約の交渉や広告出演の調整など、選手のキャリア全般にわたる包括的なサポート内容が規定されています。野球選手であれば春季キャンプの調整から年俸交渉、テレビCM出演まで幅広い業務が対象となります。
第3条(独占的委託)
選手が契約期間中に他のマネジメント会社と重複して契約することを禁止する条項です。これにより会社は安心して選手への投資を行うことができ、選手も一貫したマネジメントサービスを受けることが可能になります。テニス選手が複数のエージェントと契約してしまうと、スポンサー交渉で混乱が生じる可能性があるため、こうした独占性の確保は双方にとって重要です。
第4条(選手の義務)
選手が果たすべき責任と義務を明記した条項です。競技力向上への努力はもちろん、プロモーション活動への参加、品位の保持、ドーピング禁止などが含まれます。フィギュアスケート選手であれば、技術向上への取り組みと同時に、ファンイベントへの参加やSNSでの適切な発信なども求められることになります。
第5条(会社の義務)
マネジメント会社が選手に対して負う責任を定めた条項です。選手の利益最優先での業務遂行、選手の意向尊重、個人情報の適切な管理などが規定されています。バスケットボール選手のマネジメントにおいて、選手の希望を無視して過度なスケジュールを組むことは許されないという原則がここで示されています。
第6条(報酬)
マネジメント会社への対価について定めた条項です。基本報酬と成功報酬の二本立てが一般的で、獲得した契約金額に応じた歩合制が採用されています。ゴルフ選手の場合、月額固定費に加えて獲得した賞金やスポンサー収入の一定割合を支払う仕組みが典型例となります。
第7条(経費)
業務遂行に必要な費用の負担について規定した条項です。原則として会社負担とされていますが、選手が特別に要求する費用については事前協議が必要とされています。水泳選手の海外遠征費は会社負担だが、選手が希望する特別なコーチとの個人レッスン費用は選手負担となる場合があります。
第8条(契約期間)
契約の有効期間と更新条件を定めた条項です。自動更新条項により継続的な関係維持が図られる一方、双方に契約終了の機会も提供されています。陸上競技選手の場合、オリンピックサイクルに合わせた4年契約とし、期間満了前に更新の意思確認を行うケースが多く見られます。
第9条(秘密保持)
契約に関連して知り得た情報の取り扱いについて定めた条項です。選手の年俸情報や移籍交渉の詳細など、機密性の高い情報の保護が求められています。プロ野球選手の年俸交渉の内容が外部に漏れることで、他球団との交渉に悪影響を与える可能性があるため、この条項は特に重要です。
第10条(競業避止義務)
選手が契約期間中および終了後一定期間、競合他社との契約を制限する条項です。会社の営業秘密や顧客関係の保護を目的としています。サッカー選手が契約終了後すぐに競合エージェントと契約することで、元の会社のスポンサー関係に悪影響を与えることを防ぐ効果があります。
第11条(権利の帰属)
知的財産権や肖像権の帰属と管理について定めた条項です。肖像権は選手に帰属するものの、その管理・活用は会社が行うという分離された構造が特徴的です。体操選手のオリジナル技の命名権や、選手の写真を使った商品化の権利関係がここで明確になります。
第12条(損害賠償)
契約違反による損害の賠償責任について定めた条項です。双方向的な責任を課すことで、契約の履行確保を図っています。レスリング選手が無断で他社主催のイベントに出演した場合や、会社が選手の意向を無視して不適切な契約を締結した場合の損害賠償が対象となります。
第13条(契約の解除)
契約終了の要件と手続きを定めた条項です。一般的な違反による解除と、重大事由による即座の解除を区別して規定しています。柔道選手がドーピング違反を犯した場合は即座の解除事由となりますが、軽微なスケジュール調整の問題であれば催告後の解除となります。
第14条(反社会的勢力の排除)
昨今のコンプライアンス強化の流れを受けて設けられた重要な条項です。暴力団等との関係を完全に排除することで、クリーンなスポーツビジネスの実現を図っています。ボクシング選手のマネジメントにおいて、興行主催者の身元調査も含めた総合的なリスク管理が求められます。
第15条(契約終了後の処理)
契約終了時の手続きと継続する義務について定めた条項です。帳簿や資料の返還義務により、選手の独立を支援する一方、一定の義務は継続することで会社の利益も保護しています。卓球選手が独立する際、過去の契約書類は返還されるが、秘密保持義務は継続するという仕組みです。
第16条(譲渡禁止)
契約上の地位や権利義務の第三者への譲渡を制限する条項です。個人的信頼関係に基づく契約の性質を保護しています。バドミントン選手と特定のマネジャーとの信頼関係で成り立っている契約を、会社の都合で他社に譲渡することは許されません。
第17条(協議事項)
契約に定めのない事項や解釈に疑義が生じた場合の解決方法を定めた条項です。訴訟に先立つ協議の機会を設けることで、円満な問題解決を促進しています。アーチェリー選手の海外遠征時の付添い人数について契約に明記がない場合、まずは当事者間での話し合いが求められます。
第18条(準拠法および管轄裁判所)
契約の解釈や紛争解決に適用される法律と裁判所を定めた条項です。予見可能性を高め、紛争の迅速な解決に寄与しています。カーリング選手のマネジメント契約で問題が生じた場合、日本法に基づいて指定された裁判所で解決が図られることになります。
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