【1】書式概要
この契約書は、データベースを所有する企業が他の企業に対してそのデータベースの使用を許可する際に必要となる重要な書面です。現代のビジネスでは、顧客情報や商品データ、市場分析データなど、様々なデータベースが企業の競争力を左右する貴重な資産となっています。
データベース提供会社がクライアント企業に対して、専用プログラムを通じてデータベースへのアクセス権を付与する場面で使用します。例えば、不動産会社が物件情報データベースを不動産仲介業者に提供する場合や、市場調査会社が業界データを企業の企画部門に提供する場合などが該当します。
この書式では、使用許諾の範囲、料金体系、知的財産権の保護、秘密保持義務、損害賠償の上限設定など、データベース利用に関する重要な取り決めを包括的にカバーしています。特に改正民法に対応した内容となっており、現在の商取引においても安心して使用できます。
初期費用と月額費用の二段階課金システムを採用しており、継続的なサービス提供に適した料金設定となっています。また、自動更新条項により、両当事者が異議を申し出ない限り契約が継続される仕組みも盛り込まれています。
Word形式で提供されるため、企業名や金額、契約期間など、具体的な条件に応じて簡単に編集・カスタマイズが可能です。印刷してそのまま使用することも、電子契約システムでの利用も想定しています。
【2】条文タイトル
第1条(定義) 第2条(使用許諾) 第3条(使用料) 第4条(著作権その他の知的財産権の帰属) 第5条(譲渡等の禁止) 第6条(保証) 第7条(第三者の権利主張) 第8条(損害賠償) 第9条(譲渡禁止) 第10条(秘密保持義務) 第11条(侵害の排除) 第12条(解除) 第13条(有効期間) 第14条(協議) 第15条(合意管轄)
【3】逐条解説
第1条(定義)
この条文では契約書全体で使用される重要な用語を明確に定義しています。「本件データベース」と「本件プログラム」という二つの核心的な概念を区別して定義することで、後続の条文での混乱を防いでいます。データベースは情報の集合体そのものを指し、プログラムはそのデータベースにアクセスするためのツールを意味します。実際の契約では、具体的なデータベース名やプログラム名を記載することになります。
第2条(使用許諾)
使用許諾の核心部分を規定しており、非独占的な許諾であることを明記しています。つまり、データベース提供者は同じデータベースを複数の企業に同時に提供することが可能です。第4項では使用方法を具体的に制限しており、1台のコンピュータでの使用に限定し、インターネット経由でのアクセスを前提としています。リバースエンジニアリングの禁止条項により、技術的な解析や模倣を防止しています。
第3条(使用料)
三段階の料金体系を採用しています。初期費用は契約開始時の一回限りの支払い、月額費用は継続的なサービス利用料、更新料は契約更新時に発生する費用です。前払い制を採用しており、翌月分を前月末までに支払う仕組みになっています。支払済みの料金は返還されない旨を明記することで、提供者側のリスクを軽減しています。
第4条(著作権その他の知的財産権の帰属)
データベースとプログラムの知的財産権がすべて提供者に帰属することを明確にしています。使用許諾は権利の移転ではなく、あくまで使用を許可するものであることを確認する重要な条項です。利用者が独自に改良や改変を加えても、その権利は提供者に帰属することになります。
第5条(譲渡等の禁止)
利用者が第三者に使用権を転売したり、担保に供したりすることを禁止しています。これにより、提供者は契約相手を管理し、不適切な第三者への権利移転を防止できます。書面による承諾があれば例外的に認められる仕組みになっており、完全な禁止ではなく管理された移転を可能にしています。
第6条(保証)
提供者の保証内容と保証しない事項を明確に区分しています。データの最新性維持については努力義務を負いますが、データの正確性や完全性については保証しません。これは、外部要因によるデータの変化や、利用者の特定目的への適合性について、提供者が無限の責任を負うことを回避するためです。
第7条(第三者の権利主張)
第三者から著作権侵害などの主張を受けた場合の対応手順を定めています。まず相手方への通知義務を課し、その後の協議を義務付けています。提供者に責任がある場合は、提供者が自己の費用で問題解決にあたることを明記しており、利用者を保護する内容となっています。
第8条(損害賠償)
損害賠償の上限を既払いの使用料総額に設定しています。これは提供者のリスクを予見可能な範囲に制限する重要な条項です。ただし、故意や重大な過失がある場合は例外とすることで、提供者の責任回避を完全には認めていません。利用者が使用を継続できなくなった場合の具体的な救済方法を示しています。
第9条(譲渡禁止)
第5条と類似していますが、こちらは契約上の地位全体の譲渡を禁止しています。利用者企業の買収や合併などの場面で重要となる条項です。事前の承諾を得れば譲渡可能とすることで、正当な事業承継には配慮しています。
第10条(秘密保持義務)
データベースに関する技術情報の秘密保持を義務付けています。役員・従業員への開示制限や、第三者への開示時の同等の秘密保持義務付けなど、段階的な管理体制を要求しています。公知の情報や正当に入手した情報については例外とする合理的な規定も含まれています。契約終了後も継続する永続的な義務であることが特徴です。
第11条(侵害の排除)
利用者に対して、第三者による権利侵害を発見した場合の通知義務と協力義務を課しています。提供者が自らの権利を保護するための協力を利用者に求める条項であり、双方の利益を守るための仕組みです。
第12条(解除)
契約違反から財務状況の悪化まで、様々な解除事由を列挙しています。事前の催告を不要とすることで、迅速な契約終了を可能にしています。手形の不渡りや破産手続きなど、客観的に判断できる事由を含めることで、解除の妥当性を担保しています。
第13条(有効期間)
自動更新条項を採用しており、継続的なサービス提供に適した仕組みとなっています。期間満了の数か月前までに異議がなければ自動的に更新される仕組みは、双方の手続き負担を軽減します。明確な更新意思表示の期限を設けることで、予期しない契約継続を防いでいます。
第14条(協議)
契約の解釈や未規定事項について、まず当事者間の話し合いでの解決を促す条項です。訴訟に至る前の解決手段として重要な役割を果たします。
第15条(合意管轄)
紛争が生じた場合の裁判所を事前に指定しています。専属的合意管轄とすることで、他の裁判所での訴訟を防ぎ、紛争解決の予見可能性を高めています。通常は提供者の本店所在地を管轄する裁判所を指定することが一般的です。
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