【1】書式概要
この書式は、企業がシステム開発を外部委託する際に利用できる基本契約のひな型です。特に発注者側の利益を強く守る内容になっており、納期や品質の担保、知的財産権の帰属、契約不適合への対応などを詳細に定めています。実務上は個別契約の前提として利用されることが多く、委託先とのトラブル防止や責任分担の明確化に役立ちます。
Word形式で編集可能なため、企業の実情に合わせて条文を加除修正することが容易です。スタートアップや中小企業でも弁護士に依頼することなく、自社に有利な契約条件を整えられる点が大きな魅力です。
【2】条文タイトル
第1条(基本契約の性質) 第2条(用語の定義) 第3条(開発業務の委託) 第4条(業務の実施体制) 第5条(納期及び遅延時の措置) 第6条(検査及び検収) 第7条(不適合への対応) 第8条(契約不適合責任) 第9条(知的財産権の帰属) 第10条(機密保持義務) 第11条(報告義務) 第12条(代金の支払) 第13条(契約の解除) 第14条(損害賠償) 第15条(準拠法及び管轄裁判所) 附則
【3】逐条解説
第1条(基本契約の性質)
システム開発は一度の取引で終わらないことが多く、個別契約の基礎となるルールを定めておくことで契約関係を安定化させます。発注者はこの条文により、各案件ごとに改めて細かく交渉する負担を軽減できます。
第2条(用語の定義)
誤解や認識の相違を避けるために、成果物や仕様書といった重要用語を明確に定義しています。例えば「納品日」と「検収日」を区別している点は、支払時期や契約不適合責任の起算点に直結するため極めて重要です。
第3条(開発業務の委託)
受託者が「善良な管理者の注意」をもって業務を行うと明記されており、発注者側にとって開発品質を担保する強力な根拠となります。
第4条(業務の実施体制)
要員変更にも事前承認が必要とされており、発注者がプロジェクト体制をコントロールできる仕組みになっています。
第5条(納期及び遅延時の措置)
遅延損害金を1日単位で算定できる規定は、納期を守らせるための強力な抑止力です。発注者にとって実務上の安心材料になります。
第6条(検査及び検収)
「30日以内に合格通知がなければ自動検収」としない点は、発注者に有利な特徴です。検査が不十分なまま強制的に検収とされるリスクを避けられます。
第7条(不適合への対応)
修正や再納品を無償で求められる仕組みであり、納品後のトラブル発生時にも発注者が優位に立てます。
第8条(契約不適合責任)
検収日から1年間の担保責任が定められており、納品後にバグが発覚しても修補や損害賠償を請求できる点で発注者に安心感を与えます。
第9条(知的財産権の帰属)
開発成果物に関する知的財産権をすべて発注者に帰属させる内容です。受託者が権利を主張できないため、自社の資産として安心して利用できます。
第10条(機密保持義務)
違約金条項を含めており、万一情報漏洩が発生した場合も発注者が迅速に損害回収できる仕組みです。
第11条(報告義務)
進捗報告の義務を明文化することで、開発状況を発注者がコントロールしやすくなります。
第12条(代金の支払)
支払停止権を認めており、不具合が残っている限り代金を支払わなくてもよいという点で発注者を守っています。
第13条(契約の解除)
発注者は30日前通知で自由に解除できる一方、受託者には高額な違約金が課されています。交渉力のある立場を反映した条文です。
第14条(損害賠償)
通常損害だけでなく特別損害まで請求でき、かつ上限を「個別契約代金の3倍」とする強い規定です。
第15条(準拠法及び管轄裁判所)
日本法準拠・特定の地方裁判所合意という形で、発注者にとって利便性の高い裁判地を確保できます。
【4】活用アドバイス
実務で利用する際には、まず自社のプロジェクト規模やスケジュールに合わせて納期や違約金の条件を調整してください。特に知的財産権や支払条件は、長期的なトラブル回避に直結するため、自社の業態に合わせた微調整が重要です。Word形式で編集可能なので、発注者内部の承認フローや社内規程に適合させることで、より実用的な契約書として活用できます。
【5】この文書を利用するメリット
弁護士にゼロから依頼せずとも、改正民法に対応した最新の契約内容をすぐに導入できます。特に発注者側に有利な条文が網羅されているため、交渉の出発点として優れた立ち位置を確保でき、リスク管理の負担が大幅に軽減されます。
|