第1条(目的)
この条文は契約全体の目的を明確にする基本的な規定です。ゲーム実況動画の収録と配信という具体的な業務内容を特定し、契約当事者間で業務範囲に関する認識のずれが生じないようにしています。実際の契約では、対象となるゲームタイトルの範囲や配信プラットフォームの指定なども詳細に定めることが重要になります。
第2条(業務内容)
受託者が行う具体的な業務を定めた条文です。ゲームタイトルの指定権限が委託者側にあることを明記し、YouTube Liveなどの配信プラットフォームを使用することを規定しています。例えば、特定のゲームメーカーとのタイアップ企画で指定されたタイトルのみを実況する場合や、事務所の方針に沿った配信スケジュールを遵守する場合などに重要な条文となります。
第3条(権利帰属)
動画コンテンツの著作権と出演者の肖像権を分けて規定した重要な条文です。制作された動画の著作権は委託者に帰属する一方、実況者本人の肖像権は実況者に残るという現実的な権利関係を反映しています。これにより、委託者は動画を自由に活用できる一方、実況者の人格権も保護されるバランスの取れた構造になっています。
第4条(報酬)
業務に対する対価について定めた条文です。具体的な金額や支払い方法は別途定めるとしており、案件ごとに柔軟に対応できる構造になっています。実際の運用では、固定報酬制、成果報酬制、または両者を組み合わせた形など、様々な報酬体系を採用することが可能です。
第5条(費用負担)
業務遂行に必要な費用の負担区分を明確にした条文です。基本的に委託者が費用を負担する一方、実況者個人の機材や通信費用は実況者負担とする合理的な区分けを定めています。例えば、特別な撮影機材のレンタル費用は委託者負担、実況者の個人PCや自宅の通信費は実況者負担といった具体的な運用が想定されます。
第6条(秘密保持)
業務を通じて知り得た秘密情報の保護について定めた条文です。ゲーム実況の世界では、未発表ゲームの情報や企業の戦略情報などが取り扱われることがあるため、双方向の秘密保持義務を課しています。配信前のゲーム情報や企業の今後の展開計画などが秘密情報に該当する典型例です。
第7条(契約期間)
契約の有効期間と更新について定めた条文です。自動更新条項を設けることで、継続的な業務関係を前提とした安定的な契約関係を構築できます。長期的なコンテンツ制作計画を立てやすくなり、双方にとってメリットのある仕組みとなっています。
第8条(反社会的勢力の排除)
現代の企業間契約では必須となっている反社会的勢力との関係遮断を定めた条文です。コンプライアンス体制の確立と企業リスクの軽減を目的としており、特にエンターテイメント業界では重要な意味を持ちます。違反が判明した場合の即時契約解除も規定されています。
第9条(契約解除)
契約違反があった場合の解除手続きについて定めた条文です。催告期間を設けることで、軽微な違反については是正の機会を与える一方、重大な違反については契約関係を終了させることができる仕組みになっています。報酬の未払いや業務の著しい遅延などが解除事由の典型例です。
第10条(損害賠償)
契約違反による損害の賠償責任について定めた条文です。双方が対等な立場で損害賠償責任を負うことを明確にしており、契約の履行確保と被害の回復を図る規定です。例えば、無断でのゲーム実況配信や機密情報の漏洩により相手方に損害を与えた場合などに適用されます。
第11条(協議事項)
契約に定めのない事項や解釈上の疑義が生じた場合の解決方法を定めた条文です。まずは当事者間での誠実な協議による解決を図ることを規定しており、紛争の未然防止と円満な解決を目指す規定となっています。業界の慣行や技術的な進歩に応じた柔軟な対応が可能になります。